本日5月1日は国際労働者の日とあって、イギリス、オーストラリア、ギリシャ(アテネ)、トルコ、アメリカ合衆国を含む125都市の各地でグローバル規模のプロテストが行われている。
米国では、「ウオール・ストリートを占拠する(OWS)」運動の活動家達が、この日だけは学校も、職場も、全てを放棄しプロテストに参加するよう、テキスト・メッセージを市民に送信するなど事前に準備を行ったようだ。基本的には、平和的にメーデーを祝うことが目的だと思われる。規模は各地によって異なるが、総体的に、このプロテストの動機は(1)メーデーの行事として一般ストライキに参加する、(2)OWS 運動が学生と労働者との合同を呼びかけたプロテストを目的とする(3)民主主義を取り戻す運動(RDM)への参加などに分類できる。
〔2〕のOWS 運動は、昨年9月17日にニューヨークの金融街で、「アラブの春」に触発された学生達が開始したことは既に知られている。彼等の明白な目的は、2010年1月、最高裁が「企業も人である」とし、無限の選挙資金の提供を合法化したことに対する抗議、「公平な税制度改革」の要求、「不正な住宅ローン慣行」を原因とした相次ぐ抵当流れに対する抗議である。〔3〕のRDMの活動の核心部は、OWSと同様、憲法改正の要求、大企業が政治に影響を与えている現状の変革、総負差額が1兆ドルと言われている学生ローンの救済などのスローガンを掲げているものと思われる。最近の抗議活動もそのプラカードには「銀行救済より国民の救済を」とのメッセージも目立ち、公平で正常な経済回復が最も重要な課題になっている。
ニューヨークではOWS運動の発祥地となったズコッティ公園とウォール・ストリートの金融街までの行進が開始した。また、ニューヨークの労働組合組織のグループはユニオン・スクウェアからウォール・ストリートまでの区間で、学生、移民、労働者などのグループも参加して大規模のデモが行われているため、交通の混乱を懸念した機動隊が出動している。ワシントンDCの区域では、メリディアン・ヒル・パークからホワイト・ハウスまで参加者が行進。本日の『ワシントン・ポスト』紙によると、オキュパイ(占拠)運動の活動家達は、5月18日―19日にかけてキャンプ・デイビスで開催されるG8首脳会談、及び5月20日-21日にシカゴで開催予定のNATO首脳会議の際もプロテストを計画している。
全国に拡大したOWS運動の現在の経済的背景と、全米労働者人口の20%が失業した1890年代の経済恐慌の時代を比較した場合、いずれも経済格差に不満を訴えた点で似ている。当時の不景気は1930年代に匹敵するような悲惨な状況で、企業、鉄道産業が次々に倒産し、農民一揆や労働者のストライキが各地で発生した。1880年以降は、産業経済が発達し、市場拡大と農民の土地所有が可能になったものの、農産物の価格が低下したことで、特に土地のテナント農民に大きな打撃を与えた。このような農民を中心に、労働者、中産階級が一体となって、貧富の格差を抗議するため、ワシントンに行進を開始したのは1894年である。現在のOWSの不満はこのような過去の状況と比較して本質的に異なるものがある。市場の流れを簡単に変えることは不可能であっても、彼らが具体的に要求している金融規制と、富豪層が有利になっている部分の税制改革、無限の政治献金の改正は、決して不可能ではないはずだ。