オバマ大統領は15日、ホワイトハウスのローズ・ガーデンで、記者団を前に、大統領令として異例の発表を行いました。「若い世代の将来を考え、一時的なステップとして、非合法で滞在している若い移民の国外追放はやめるが、引き続き、国境付近の強固な警備と安全性を維持する」と述べました。これを受けて、ロビー活動および各地でデモ運動を行っていた、不法移民の学生や若い人達は歓声をあげて喜びました。
この発表後、ミット・ロムニー氏は「この問題は、長期的観点で解決すべきであるが、オバマ氏は、この問題の解決を困難なものにした」と意味不明な一言のコメントを行いました。この決定にショックを受けた反対派は、選挙前であるだけに、政治的意図によるものと批判し、いずれ恩赦または市民権を与えることになると懸念しています。数千万人が失業している現在、アメリカの労働者を守ることが先決である、不法移民は、不当に永住権や市民権を要求している、「一方的な大統領令は計画的な法の回避につながる」と、反対派の意見は手厳しいものがあります。
『CNNニュース』でインタビューに答えた米国土安全保障長官のジャネット・ナポリターノは、「真剣に教育に取り組んでいる若者がこの国で必要としている人材である」と述べ、大統領の決定は良いことで賢い選択だと述べました。また、重罪、軽罪を問わず、不法移民の犯罪者や、安全保障を脅かす犯罪者は例外であり、恩赦を与えるようなこともなければ、市民権や永住権を与えるための措置ではないことを明白にしました。
この大統領令による不法移民法変更で、国外追放を免れる人達は、(1)入国時16歳以下であったこと、(2)5年以上米国で生活していること、(3)高校以上の高度教育を受けているか在学中であること、または技術習得を目指しているか、良好な勤務記録のある退役軍人であること、(4)30歳以下で犯罪経歴がない、などの条件に適合する必要があります。
オバマ氏の発表に関し、その是非をめぐる論議(特に経済的側面)は今後も続くものと思われますが、このような機会を長年待ち続けた若い多くの不法移民は、まさに「夢が叶った」と狂気しています。長い間、ドリーム法案を待ち望んでいた彼らにとっては、画期的な進展であり、ロビー活動やデモ運動、ヒスパニック系団体や民主党議員などからのプレッシャーなどが、今回の発表に至ったのではなかろうかと思います。オバマ氏が2011年1月の一般教書演説で、ドリーム法案を支持する声名を行ってから、約1年半が経過してやっと、彼等の「夢を叶えてあげた」ことになりますが、今後政局が大きく変わる時、またはロムニー氏が大統領になったとき、それが<つかの間の夢>に終わることにならないか懸念されるところです。
米国は1875年以前までは、不法・合法の厳格な区別はなく、歴史的に移民で構成され、移民で築かれた特殊な社会です。不法移民であっても、教育と技術で自己を磨き、努力して生きる者にチャンスを与え、開かれた多様文化の伝統を守り続けてきたユニークな国です。米国発展の大きな要因となった、このような伝統の強みは今後も守り続けていくべきだと思います。筆者は、米国をスープに例えて、スープは材料が多いほど美味しい味を出すと考えています。