ロムニー氏の海外選挙キャンペーンの印象

昨日まで予定されていたロムニー氏のロンドン、イスラエル、ポーランドの3カ国訪問は多忙なスケジュールだったようだ。ロンドンでは夏のオリンピック開催中であり、オリンピック運営の経験のあるロムニー氏とっては、家族同伴の興味深い訪問であったはずだ。また、選挙献金集め、外交、オリンピック参観、更に、家族とともに多少観光の機会もあるなど多彩な目的があったのではないだろうか。カメラが撮らえたこの期間のロムニー氏の行動と言動は興味深い。

ロンドンでは、当地に在住するアメリカ人から200万ドルを集めることに成功したが、民間の警備保障会社が充分な人員を配置していないことなどを含め、「オリンピックの準備が不完全で当惑している」と言ったような発言をして、デビッド・キャメロン首相の反感を買った。キャメロン首相は「我々はオリンピック・ゲームを世界で最も忙しく、最も活動的な都市で準備をしている。閑散とした場所で開催するのとは事情が違う」とコメントした。これは、ロムニー氏が2002年ウインター・オリンピックが閑散としたソルトレイク市で開催された際、組織運営を援助したその経験を皮肉った反応であると思われる。次ぎの日、キャメロン首相と対談したロムニー氏は、前日の失言を埋め合わせするように、オリンピック・ゲームは「かなり成功している」とコメントした。

イスラエルでは、エルサレムのキング・デイヴッド・ホテルでユダヤ系アメリカ人の支持者から100万ドル集めている。イスラエルで選挙資金を集めた大統領候補は歴史上ほとんど存在しないと言われている。しかし、ロムニー氏はこの集会の席上でイスラエル人はパレスチナ人より優れた文化を持っているので高い生活水準を満喫しているといった類のコメントを行った。また、イスラエルのGDPはパレスチナの2倍以上あるとコメントし、文化的な違いにより経済力に優劣があるとのニュアンスを感じさせる発言に、パレスチナ人は痛烈な怒りを露にした。近年、パレスチナはイスラエルから貿易の制限を受けている事情など、ロムニー氏は両国関係の事情を知らないと批判され、また、人種差別的発言であるとの怒りを煽ったようだ。

最後の30、31日のポーランド滞在の目的は、元首相のレフ・ヴァウェンサの招待を受けていたためであると言われる。ロムニー氏と会談したヴァウェンサ氏は、米国はもちろん、ヨーロッパ諸国や他国のためにも「成功を祈る」とロムニー氏を激励した。また、ポーランドの首都にあるワルシャワ大学でのスピーチで、ロムニー氏はポーランドの独占的経済と厳しい貿易制限から離脱して、事業家が育つ環境と国際貿易への自由の道を歩んだことを誇りに思うと語った。更に、ポーランドが著しい経済発展を遂げたことや強力な軍事力を褒め称え、米国との友好関係の重要性を強調した。しかし、ヴァウェンサ氏との会談のため、ロムニー氏がポーランドに到着した月曜日、広場にたむろしていた群集はオバマ氏を支持するプラカードを掲げて、「オバマ、オバマ、オバマ」と叫んだエピソードもあった。

歴代の多くの大統領を含め、選挙前に大統領候補者が海外に赴き、外交政策の経験を積むことはめずらしいことではない。ロムニー氏も外交政策の信頼性を築く目的で訪問した3カ国で首脳陣とも会談し、スピーチの機会も多かった。しかし、選挙資金を集めることができた点では成功したと言えるが、対応、発言で恥を晒すことも多かったようだ。国際舞台での選挙キャンペーンと外交政策の演習は、本人の予定と期待どおり、すべてが順調ではなかった印象もある反面、ポーランドの数回のスピーチでは言葉を慎重に選んだような印象もあった。ロムニー氏の3カ国訪問成功の可否については意見が二分しているが、少なくともポーランドでの滞在は成功したのではないかと思う。

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