一連の銃乱射事件の相違点と類似性

今月起きた一連の銃乱射事件には明白な相違点や類似性がある。7月20日深夜、コロラド州デンバーの近郊外の映画館で起きた射殺事件では12名が死亡し58名が負傷した。土曜日逮捕された24歳の容疑者ジエイムス・ホルムズは、精神的に病んでいたことがその後報告されている。

26日の『ニューヨーク・タイムス』によると、ホルムズが通っていたコロラド大学が沈黙しているため、彼の生活や動機に関する情報は大々的に閉ざされているが、ホルムズは、事件の数週間前の7月上旬に別の女性の大学院生にテキスト・メッセージを送った内容が不可解であると伝えている。そのメッセージで、”私は悪いニュースになるから自分に近づかない方がいい“と忠告している。多くの人とのインタビューを通して判明したことは、本人は重篤な精神疾患に苦しんでいて、自分の立場を見失う不安をほのめかしていたことが判明している。”ホルムズは頭の良い学生だった“と話す同級生もいたようだが、学業に満足していなかったようである。概して、うつ病の妄想的傾向があることが報告されている。

8月5日にウィスコンシン州、オーク・クリークのシク教徒寺院で起きた銃乱射事件で7名が死亡し、他3名が重症した事件で、市民は8回から9回の射撃に遭遇している。その後、犯人は寺院の駐車場で警察官に撃たれて死亡した。犯人ウェイド・マイケル・ペイジは職を数回解雇され、財務上の問題、人間関係の問題があったことは既に報告されている。この2つの事件では、ペイジの犯行は憎悪犯罪が明示されているが、ホルムズの場合、憎悪の形跡が全く報告されていない点で対照的である。

8月13日にテキサス州のテキサス・エー・アンド・エム大学のキャンパス付近の住宅街で起きた銃乱射事件の犯人は立ち退き命令を受けていた。当日の『CBSニュース』によると、その日は夏休みでほとんどの学生はキャンパスにいなかった為大惨事に至らなかった。しかし、この銃乱射事件で、犯人、警察官1名、近辺の住民であった65歳の男性の合計3名が死亡し、他3名の警察官と55歳の女性が負傷した。当日、警察官が正午頃立ち退き命令通知書を持参したところ、家の内側から30代半ばの犯人がいきなり銃を発砲した。その後、通報を受けた複数の警察官と犯人との間で銃撃戦に発展し、犯人は警察官に撃たれて死亡した。この事件は、家の立ち退き命令が直接的な原因であるとメディアは報じている。

8月24日、マンハッタンのエンパイア・ステートビルの外側で、元同僚を射殺した後、ニューヨーク市警2名に撃たれて死亡した白人男性のジェフリー・ジョンソンについて、複数のメディアはその後、犯人は58歳と修正している。負傷した人数についても、8人又は9人と、メディアの情報は異なるが、事件巻き込まれた人達は、全員警察官が発砲した弾丸の破片で負傷していて、ジョンソンが殺害したのは元同僚1名だけである。警察官に撃たれ死亡することを自ら予期していたか、または自殺の意志があったことが暗示されている。その後の調べでは、事件前本人はアパートの鍵を封筒に入れて家主に渡していて、最初から自宅には戻る意志がなかったことを家宅捜査した警察官が報告した。更にコンピューターに残された情報から、殺された元同僚は、ハザン・インポートの幹部で、長期的にジョンソンと個人的ないざかいがあったようである。ジョンソンは失業後、精神的経済的に行き詰っていて、決定的な犯行に出たのは、アパートの立ち退き命令を受けた直後であったことを8月26日の『ニューヨーク・ポスト』が報告している。

一連の銃乱射事件のうちこの最後の2件の犯人はいずれも経済的に紛糾し立ち退き命令に直面していた点で共通していている。現在、抵当流れに直面、または住宅の立ち退き命令を受けている人口は年間数百万人いる。しかし、普通の人はそのような苦境に直面しても殺人など犯さない。また、50%以上の米国人は小さな銃さえ保持していない現状は、最近の銃乱射事件で使用されたような中型や大型のセミ自動銃など、一般の市民には不要であることを示唆している。

上記全ての事件の類似点は、罪のない市民が犠牲になったことである。また、ホルムズのケースを除き、犯人と複数の警察官との間で銃撃戦に発展し、警察官を含め、他の市民が巻き添えになっている点で類似している。現在の銃規制の論争では、「銃規制を徹底しても、殺人を犯す人間は別の手段を使うため銃規制は意味がない」とする意見が多い。しかし、銃保持の統計事実、事件のパターン、及び犯人が使用した武器などの側面から考えると、この意見はどこか矛盾している。

米国での無差別殺人に使用される武器は殆どセミ自動銃であり、その理由は、銃が最も容易に入手可能であり、最も手っ取り早い武器であるからである。銃規制を徹底すれば、銃の犠牲者は減少すると考える方が自然である。しかも、上記最初の2件のケースで言えることは、銃購入者の精神状態や身元を一切検証せず、危険な銃が簡単に販売され、また、夥しい量の弾薬が簡単にインターネットで購入できる現実に重大な問題がある。

銃規制だけでは解決しない様々な社会問題が事件の背後に潜んでいることも確かである。現在の政治・経済システムは、精神的および経済的に行き詰る人間を救っていないばかりか、そのような社会体制に対して、不満と憤りを向ける人間が容易に銃を入手できる状況に何ら対策が講じられていないこと自体が、ある意味で歪んだ社会を反映している。

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