オバマ氏の圧勝は何を教えているのか?

オバマ氏を1期のみの大統領で終わらせることが4年間の最優先課題であることを宣告した古参共和党議員の夢を皮肉にも無残に打ち砕いたオバマ氏の圧勝は何を教えているのか? 歴代の多くの偉人は、何かを成就する際「絶対にあきらめなかった」ため、成功を遂げた。オバマ氏の選挙には、そのような目に見えない動力が潜んでいた気がする。

選挙キャンペーン中、双方の経済論争に注目しながら、どちらが大統領になっても大差はないとか、経済や社会状況が即向上するマジックはないと考えながらも、オバマ氏とロムニー氏の人間的な側面をずっと観察していた筆者が一番強く感じたのは、オバマ氏の「絶対に勝利する」という強い意志であった。努力と行動に裏づけされた内面に秘めた強い決意があったことを確信する。その決意に触発されたオバマ陣営は並々ならぬ努力をしてきた。「絶対に勝利する」との強い意志と団結があったことを感じていた。オバマ氏本人、ミッシェル夫人、ジョー・バイデン氏、ビル・クリントン氏は選挙キャーペーンの職員と連携し、多種のメールを頻繁に送っていたからである。寄付の依頼も含めて、潜在的なオバマ支持者に向けたプロパガンダであることは間違いなかったが、オバマ陣営は、オバマ氏の過去の功績を長い文章で伝え、投票日の数日前は、早期投票を促すメールを送るなど、有権者と直結しようとする努力とその組織力は驚異的であった。

このような表面下の努力と行動力はおそらく、ロムニー氏に勝っていたのではないと思う。少なくとも熱意の差が結果となったことは否定できない。別の側面では、確かに、迅速なハリケーンの対応などが高く評価されたこともあるが、それもオバマ氏が大統領としてのリーダーシップと人間性が試される機会になったからである。

もうひとつ忘れてはならないことは、時代が変わってきているということだ。オバマ氏は、米国史上初の黒人大統領である。しかも、歴史上前例のない人種偏見と圧力を受けた大統領である。オバマ政権誕生直後に台頭したティーパーティを代表する保守派勢力の一部に、「オバマは米国市民ではない」、「ケニアに帰れ」、「社会主義者だ」など、オバマ氏ほど、露骨な偏見と中傷を浴びせられた大統領は過去に例を見ない。更に、彼の政権下の反勢力は、オバマ氏の政策提案に悉く反対し、党派がこれほどまでに分裂した時代も例にない。ジョー・バイデン氏は9月5日の民主党大会で、オバマ氏を1期だけの大統領で終わらせることを優先課題にし、オバマ氏の前に立ちはだかる圧力が議会にあることを明確に述べた。昨日、MSNBCのベテラン・ニュース・キャスター、エド・シュルツ氏は、「オバマ氏が再選したら、大統領の前に立ちはだかる圧力に対抗する法案を制定すべきだ」と述べた。それは、国民にとって有利な法案を阻害する議員に対処することを意味している。

2009年9月、ジミー・カーター元大統領はこのような風潮を見て「オバマに対する敵意は、彼が黒人だからだ」と率直にコメントしたことがあった。しかし、有色人種に向けれれる人種差別や偏見が平然とまかり通っていた時代はもう終わったのだ。1960年以降の人工動態的変化に伴い、社会風潮は変わっている。全米各地で、ヒスパニックやアジア系アメリカ人の人口層が増えている近年の指導者に求められるものは、多様人種有権者の支持を得ることなのだ。今朝CNNニュースは、ヒスパニック系アメリカ人でオバマ氏に投票したのは71%であると伝えた。また、主に年配者の白人に依存していたGOP〔共和党〕は、ヒスパニックの重要性に気付いていなかったと述べている。GOPのように白人に強く依存する時代は終わっている。

更に、両候補者の人間的側面では81%がオバマ氏を評価し、ロムニー氏はわずか18%であった。結局、候補者の選択基準になったのは「本当に国民を思ってくれるのはどちらの方か」との質問に対する有権者の答えが反映した投票結果であった。昨夜シカゴで勝利のスピーチを披露する前に、オバマ氏が多くの支持者に宛てたメールの最後には、「これからやる事が山積している。でも、何よりも、まず貴方に『ありがとう』と言いたい」と書いてあった。オバマ大統領の圧勝はある意味で、大衆の心を掴んだ本人の努力と情熱によるものであることを教えている。

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