ニュータウンでの悲惨な事件後初めて、上院司法委員会による聴聞会で 3時間以上におよぶ銃の暴力を防ぐための真剣な討議が展開された。最初に、2011年1月、アリゾナ州ツーサンで起きた襲撃事件で6名が射殺され,頭を撃たれて奇跡的に一命をとりとめたアリゾナ州の議員ガブリエル.ギフォーズ氏は聴聞席にエスコートされた後、ゆっくりであるが、はっきりと透き通るような声で手書きの短いメモを読みあげた 。
「 これは、私たちの子供や地域住民にも民主党や共和党にとっても重要な会話です。話すことは難しいです。でも、とても大事なことを言わなくてはなりません。暴力は大きな問題です。あまりにも多くの子供達が死んでいます。あまりにも多くの子供達が。何とかしなくてはなりません。それは難しいことです。しかし、今がその時です。勇敢であってください。勇気ある行動をとってください。アメリカ国民は、あなた達(議会)に期待しています。」と述べた。
この討議に参加した一般のメンバーは、このような機会を希望していた全米ライフル協会(NRA)の最高経営責任者ウエイン·ラピエール氏、元宇宙飛行士で現在、銃暴力の犠牲者であるギフォーズ氏の夫であり、銃規制推進団体の共同創立者であるマーク.ケリー氏、デンバー大学法学部の助教授、メリーランド州ボルチモアの警察署長、保守派女性フォーラムの代表者の合計5名であった。代表質問にあたった上院議員らと5名の参加者は 、銃の暴力を防ぐ方法について真剣に論議した。
司法委員会の議長パトリック.リーヒ氏は最初に、 憲法改正第二条は個人の安全保護のための重要な柱であり、米国最高裁も保証しているため、この憲法が脅かされることはないと述べた。しかし、銃が殺人者の手に渡ったとき、多くの生命が危機に脅かされている為、子供と全てのアメリカ人を保護するため新たな法的措置について討議して頂きたいと述べた。討論の概要は、銃規制と銃所持権利の両方の側面から、どのような状況でどのような銃が自己防衛に役立つのか、犯罪者に対して高容量弾倉付銃を禁止することが、銃保持者にどのような法的影響があるのか、自己防衛のためなら、数分間で多量の人間を殺害できるような銃がハンティングや娯楽射撃も含めて一般の個人に必要であるのかどうか、銃販売の身元確認の現状報告など、多くの上院議員は、図表資料やパネルを利用し、様々な角度からの質疑と論議を展開した。
上院議員らの声明から察して、ほぼ全ての議員は銃所持者であることが判明した。オバマ氏が発表した銃規制に全面的に反対した極論派は、サウス.キャロライア州のリンジー.グレイアム氏であり、彼は、ニュータウンでアダム.ランザが使用したタイプのライフルは自己防衛のためには現実的な選択だと語った。また、自然災害後に「略奪ギャング」が家宅侵入した場合、セミ自動銃はかなり役立つと主張した。他の議員はほぼ全て、ユニバーサル.バックグランド.チエック(普遍的身元確認、UBC)の必要性を強調した。また、UBCに加えて、特定の銃に対しても何らかの制限が必要であると主張したのは、ほぼ大半の民主党議員らであった。ラピエール氏は多くの議員から集中的に質問を受け、 学校の武装は効力があるため、既に全米約3分 の1の 学校は安全強化のため武装していると語り、銃を悪用する犯罪者への連邦取締は近年著しく崩壊していると指摘。また、UBCに関し「問題は、犯罪者と精神異常者は銃法に協力しない」と述べ、UBCを厳格に実施する場所で彼らは銃を入手しない為意味がないと主張。
銃暴力の被害者の夫であるケリー氏は、自身も銃保持者であり第二条を強く擁護する立場であるが、 銃販売業者の40%以上は全く身元確認をしていない状況であると反論。また、ツーサンでの襲撃事件で死亡した少女の命と引き換えることができるなら高容量弾倉付銃を保持する権利を諦めると語った。しかし、精神異常者に銃が渡らない措置の研究に重点を置いたオバマ氏の提案に関しては、ラピエール氏も精神異常者の問題は留置、治療、法的な角度から全面的に検討する必要があると述べた。ケリー氏は、妻を撃った犯人も精神異常者であったとし、此の点でラピエール氏に同意した。また、当時アリゾナ州では12万以上の精神障害者が身元確認システムに記録されておらず、「ガブリエルを撃った犯人も、 精神異常者であったことが法的に認定されていなかった」と説明し、あの当時「 強いUBCがあったなら、彼女は今日ここにはいない」と語った。
近年発生した多数の銃乱射事件およびニュータウンでの悲劇を語る際、感情に流されやすい側面が多々あるが、初めて上院で開催された今日の聴聞会は銃について、全ての参加者が本気になって考える機会を与えていると感じた 。他の先進国より「銃による殺人が20倍高い」米国の銃保持者が、頻繁に発生する銃犯罪に強い警戒心を抱いている現状を明らかにした。また、オバマ氏が強調しているUBCは、銃規制の最初の段階として、上院議会で来月制定に向かう可能性がある。有意義な論争が展開された今日の聴聞会は、銃規制の第一歩を踏み出した画期的なイベントであると言える。