オバマ大統領は社会主義者?

2009年にオバマ氏が初の黒人大統領として就任後、まもなく台頭したティパーティ運動のメンバーは、オバマ氏が医療保険改正法(オバマケア)を提案した頃から「オバマは社会主義者だ」と言い始めた。社会主義者のレッテルは米国医療制度の歴史と深い関係がある。

ティパーティ運動のメンバーは「オバマは社会主義者だ」と主張し、オバマケアを「医療社会制度」と呼ぶようになった。医療社会制度は、医療費の課税や補助金を政府が規制するユニバーサル.ヘルスケアを意味する。 1947年、米国医師会の支持者が33代大統領ハリー.トルーマンの医療保険構想に反対した時代に、この言葉は政治的嫌悪感を表現する用語として広範に使用されるようになった。また、1965年、36代大統領リンドン.ジョンソン政権下で社会保障法が通過した際、議会はユニバーサル.ヘルスケア制度としてメディケアおよびメディケイドを制定した。しかし、制定に至る段階で、当時の保守派は政府が運営する医療制度は社会主義を先導すると反対したが、トルーマンやジョンソンは社会主義者と呼ばれることはなかった。

本来の社会主義の定義は、政府が生産と配分を統制する経済システムに言及する。オバマ氏が「社会主義者だ」と言われるようになった最初の経緯は、同じく、オバマ氏のユニバーサル.ヘルスケアの構想が発端になっている。しかし、 歴代の大統領と同じく、オバマ氏は米国を社会主義体制に変えてはいない。純粋な社会主義の医療制度は、例えば、キューバに見られるようなシステムであり、キューバ政府は国民に、無料の医療システムを提供している。全ての病院はキューバ政府が所有し、医者は政府から給与を支払われる。

世界の多くの国がユニバーサル.ヘルスケアを提供しているが、米国の場合、メディケアの適正年齢に達していない個人は、民間の医療保険会社の保険に加入する必要があり、プライメリー.ケアのクリニックを訪問するたびに、コォペイと呼ばれるサービス料を支払う必要がある。メディケアの場合でもメディケアの税金により政府が支払っているのは80%である。連邦政府が所有する病院は、軍人病院や退役軍人の病院だけであり、ほとんどの病院はカトリックの宗教組織による運営または民間経営である。オバマケアは、米国民に医療保険会社から医療保険を購入することを義務づけていて、むしろ、民間の医療保険会社を強化するシステムである。オバマ氏の経済思想は、紛れもなく資本主義であり、自由経済市場を支持していることは確かである。

また、多くの社会主義者や専門家は、オバマ大統領は「社会主義者どころか、リベラルでもない」と 述べている。第一期目には、 国民に医療や教育の重要性を掲げていても、高税により国民の医療費や教育費を無料にするような体制に変革する事は一切していない。むしろ、富裕層に有利なブッシュの永久減税を4年間維持してきた。最近の予算交渉では、社会保障さえ削減する方法を提案しているとおり、事実上、オバマ氏の政策は約60%がリベラルであり、約40%は保守的である。 保守派や極右派に妥協するためには、オバマ氏自身が右寄りにならざるを得ないため、必ずしもリベラルとは言えない 。

   左翼傾向                                        中道的                          右翼傾向

共産主義←社会主義←進歩主義←リバラル 保守主義→極右主義→ファシズム

オバマ氏の立場を分かりやすく上記のチャートで説明すると、オバマ氏はほぼリベラルと保守主義の中間に位置し中道的である。ティパーティ運動のメンバーは、少なくともオバマ氏が就任した当時、前代未聞の嫌悪感を表明した団体である。別な見方をすると、歴史上前例のなかった 「オバマは社会主義者だ」という表現には反オバマの要素が含まれている人種偏見の印象が濃厚である。近年、黒人に対する「ニガー」という表現は政治的に禁句となっている。従って、大統領に対してこの禁句をあからさまに使えないため、 社会主義者発言は憎悪を表現する「ニガー」の隠語だと思われる。

また、 社会主義者のレッテルに限らず、ある種の決まり文句の乱用は、政治的に敗北に追い込めない政策に対する戦略である。同じセリフを何回も繰り返すことで、国民に恐怖を植え付けることを可能にする。最もナンセンスな例は、「オバマケアは仕事を殺す」政策であると複数のティパーティ議員は宣伝をしていることである。これは全く根拠のない批判であり、実際はオバマケア法案により、新たに数千万人が民間の医療保険会社の保険を購入しているため、医療業界はむしろ人手不足なのである。連邦政府によると、2015年にはプライメリー.ケアで21,000人の医者が不足すると予測されていて、むしろ雇用機会の拡大を促している。また、最近の銃規制の論議でも、極右派は「連邦政府は国民の銃器を押収する」というプロパガンダを拡大することで、銃器保持の権利が脅かされていると恐怖を植え付けている。オバマ氏がなぜ社会主義者であるかを論論的に説明せず、単に「オバマは社会主義だ」と言っている人たちは、実際は、社会主義が何であるかを理解していないか、または、敵意を表明しているだけに過ぎない。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む