米国では過去10年間で 中年の自殺率が著しく上昇していることが判明した。しかもその傾向は白人の男女に顕著である。2009年には自殺で死亡する率が自動車事故で死亡する率を超過したため、米国では公衆保健が懸念されるようになっている。
2日の疾病対策予防センター(CDC) の死亡診断に基づく報告は、人種別、性別、年齢別、自殺の手段、地理的な状況などを分析している。自殺の約57%は年齢35歳から64歳に集中しているという驚くべき調査結果を発表している。またこの年齢層の自殺率は過去10年間で28.4%上昇している。この傾向は白人が最も顕著であり、この年齢層の自殺率は1999年の人口10万当たり13.7人から、2010年には人口10万当たり17.6人で28.4%上昇している。 同期間の人種別による年間および人口10万人あたりの調整自殺率は、インディアンとアラスカ原住民が最も高く、11.2人から18.5人で65.2% 、白人は15.9人から22.3人で40.4%と2番目に高いと記録している。男性で自殺率が高い年齢は50歳から54歳(49.4%)および55 歳から59歳(47.8%)が最も高い。一方、女性は60歳から64歳(59.7%)の自殺率が最も高いと報告している。
CDCの報告によると、35歳から64歳までの自殺は50州のうち39州が統計的に増大し、中でも自殺が最も多いのは南部州である。1999年から2010年の自殺数を比較すると、北東部は2,178から3,190に増大し、中西部は3,084から4,609に、南部は5,532から8,396に、西部は3,649から5,559に増大し、全域でほぼ同じ率で自殺率は拡大している。また、中年層の自殺手段についても調査していて、薬物過剰投与が 一般的であるようだ。また、次に高い自殺手段は絞首であるが、銃による自殺が圧倒的にリードしていて、2010年のこの年齢層の自殺の約50%は銃を使っていることが判明している。更に、銃による自殺件数は1999年の7,634から2010年には10,393に増大している。
過去の自殺の取り組みは、10代や高齢者に集中する傾向があった。しかし 、近年、自殺は癌、心臓病、事故などの死因より高くなっているという。過去数年間の研究で、中年層の自殺増大傾向が注目されるようになり、 白人中年層に自殺が増えている原因も分析されるようになった。2日の『AP通信』によると、景気後退、失業、住宅ローン危機などの経済的問題による情緒不安定に加えて「白人の団魂世代は常に鬱病と自殺率が高い傾向があるためである」とロチェスター大学の自殺研究者エリック.ケイン教授は分析している。この世代は人生の移行期に直面したとき、 鬱状態のピークを迎えると述べている。
2日の『ニューヨーク.タイムス』によるとCDCの理事長イレアナ.アリアスは、「団塊世代に特有の生活と財政事情が一連の原因かもしれない」と述べた。この世代の男女は多くの場合、老齢の両親を世話しながら、成人した子供の経済的および精神的な面倒も見ているケースが多いため、最もストレスを経験しているという。現在の35歳から64歳の年齢層は、過去の同じ世代より世相が異なる時代に生きているのかもしれない。現代社会には、過去の時代より対処しなくてはならない問題が多すぎることを示唆している。また、平均的な米国人は老後の十分な貯蓄がないことも要因であると思われる。経済状況と精神的な健康はある側面で相関関係が深いと言える。