米国最高裁は、公民権運動の一環として、ジム.クロウに基づく黒人への投票差別を防止するため、1965年に制定された投票権法(Voting Rights Act)に対して、アラバマ州が非合法であると挑戦したため最高裁が聴聞を行ったが、判事らの意見は対立し未決定のままに終った。あれから約4ヶ月ぶりに開催された25日のShelby County v. Holderの判例で、投票権法の合憲性をめぐる最高裁の判決は5対4で、投票権法の一部を打破した。その判定は、ほぼ共和党に勝利をもたらし、民主党は敗北を味わう結果になる。
今回の最高裁の判決は、投票権法の第5項と第4項に分けて理解する必要がある。第5項はプリクリアランス.プロビジョンと呼び、幾つかの郡および州が投票法に関して何らかの変更をする場合、事前に連邦政府の認可を得なくてはならないと定めた部分である。第4項は方式的なもので、誰がこの要求に従わなくてはならないかを定めた部分である。この第4項に基づき連邦政府の監督下に置かれている幾つかの郡を含む州は、悪名高き人種差別の歴史を持つアラバマ、アリゾナ、アラスカ、ジョージア、ルイジアナ、ミシシッピー、サウス.キャロライア、テキサス、バージニアである。
最高裁は、25日の判定で第5項のプリクリアランス.プロビジョンを却下せず保持したが、特定の州と幾つかの地域のみに定めた方式的な第4項部分を非合法であると判定した。投票権法第4項に問題があったのは幾つかの郡を含めてわずか9州のみであったことである。最高裁長官のジョン.ロバーツは、約50年間続いた法の有効性について、如何なる人種差別にもうんざりしているが、今の時代には関連性がないとして「時代は著しく変わった」と述べた。 また、昨年の黒人であるオバマ氏の大統領再選での黒人の投票率の高さを引用して、黒人の投票率は白人の投票率を超過するほど向上していると指摘した。また、この法の第4項部分は時代にそぐわないため、新たな修正法案を制定する必要があると提案し、議会に委ねる決定を下した。ロバーツの判決に異議を唱えたルース.ベイダー.ギンズバーグ判事は、今日の皮肉な決定は、両党が憲法の力を効率的に活用してきたその投票権法の意義を理解していないためであると遺憾を表明した。
公民権運動時代に人種差別が顕著であったこれらの州、特にこの投票権法に挑戦したアラバマ州は、50年間多大な努力を続け向上したことが認められたとし、対象となっていたこれらの州も大勝利であると歓喜した。 最近、トレンドになってきた有権者ID法を制定する場合、これらの9州は連邦政府の許可を得る必要であったが、今後その必要はないばかりか、彼らが望むとおりの有権者ID法を含む投票法を制定する事が可能になる。一方、失望した民主党はこの判決は不均等に少数派の有権者が益々差別を受けやすい結果になると反発している。オバマ氏は、ホワイトハウスから「今日の最高裁の判定に深く失望している」と述べた。また、今日の判決は、歴史的に投票の差別がはびこっている地域では特に、投票が公正に行われているかを明確にするため長い間良好に慣行されて役立っていた法律を覆したと無念を表明し、修正法案の制定を促した。
この判決は共和党にとっては勝利をもたらし、民主党にとっては敗北を味わう結果になることはほぼ間違いない。最高裁長官の判定に失望したオバマ氏や民主党議員らは、すでに有権者ID法を制定している多くの州で、少数派、老人、貧困者などの投票を困難にしているケースや苦情も多いため、益々そのような可能性が増えると懸念している。なぜなら、このようなグループはほとんど民主党に投票するからである。この投票権法が最後に更新された時、超党派で圧倒的に支持された2006年とは異なり、極右派の圧力が目立つ共和党がコントロールしている現在の下院で、新たな投票権法を通過させるはずがないこともその2つ目の理由である。最高裁の判定で第5項のみを保持しても、その対象州と郡を指定した新たな修正法案を制定しないかぎり投票権法は存在しないことと同じであるため、ギンズバーグ判事が批判したとおり「皮肉な判定」なのである。しかも、すでに過半数以上の州が有権者ID法を制定しているような時勢で、議会が投票権法第4項の修正部分を論議する可能性はほとんどないことが予測される。この判決後、司法省に閉鎖されていたテキサス州有権者ID法が直ちに効力を発揮すると報告された。監督下に置かれていた9州は、その縄を解かれたため、今後彼らが望むとおりの有権者ID法を制定することが可能となった。