7 日上院議会は、雇用非差別法案(ENDA)の投票を行い、64対32の圧倒的な票差で通過させた。これは17年ぶりの画期的な歴史的公民権の法案である。しかし、下院での通過は現在のところ期待できない状況である。ゲイ権利の保護団体は、この機会に大統領令で法案を通過させるようオバマ氏に要請している。
ENDAは、1974年に初めて紹介されたレスビアン、ゲイ、両性愛者、性転換者(LGBT)に対する雇用決定から補償、昇格、解雇に至まで職場での全ての差別を禁止する法律である。1995年以降、毎年議会で提案または制定を検討されているが、一度も通過したことはない。現在29州はレスビアン又はゲイであると言う理由で解雇しても違反ではなく、33州で性転換者の解雇を認めている。これらの州ではLGBTを保護する特定の法律が存在しないため、 40%以上のLGBT者は雇用の差別を経験していると言われている。一方、75%以上の国民および全米上位のフォーチュン500社のうち約70社はENDAを支持していると言われているが、 共和党はこの法案の制定には基本的に消極的である。
下院議会の複数の代表者は、下院では投票する可能性はないと宣言している。下院議長のジョン.ベイナー氏は労働市場での政府の干渉がビジネス、特に小規模企業での雇用拡大の足を引っ張ると主張している。また、保守派の政治活動グループであるヘリティジ.アクションも同じような理由で下院共和党の投票を阻止している。 政治家に圧力をかける宗教団体は、聖書は同性愛を禁じていると主張していることも長い間この法案が通過しない別の理由である。従って、 上院で通過した法案は宗教組織を除外しているため、教会の雇用決定はこの法律の制限を受けない。しかし、ベイナー氏は反対の姿勢を崩さない。
オバマ氏は7日「下院共和党のリーダーシップは、この法案を下院で投票させ、署名できるよう私の机に置くことを急遽要請する」と述べた。民主党は、LGBTであるという理由だけで雇用に差別があることを大半のアメリカ人は望んでいないと反論している。また、上院での通過さえ17年もかかったため、これ以上制定を延期するべきではないと主張している。しかし、下院議会での投票は期待できないため、人権保護団体は、オバマ氏に大統領令による法案の制定を希望している。
8日のトーキング.ポイント.メモ(TPM)によると、ゲイの権利を提唱する人権キャンペーンの責任者であるチャド.グリフィン氏は「我々は、オバマ大統領が行政命令に署名することで、職場の公平性を支持する明確なメッセージを送ることを要請する」と述べている。しかし、ホワイトハウス(WH)は、LGBTに対する一般の考え方が変わってきている風潮があるため、共和党がこの問題に対処する時であるとの見方をしている。WHのスポークスマン、ジァシュ.アーネスト氏は、「上院で可決した超党派の法案に共和党が行動するよう、圧力を上げる機会として利用する」と語り「この問題について共和党と公開討論する機会を歓迎する」と鼓舞した。
上院多数派のリーダー、ハリー.リード氏は、ベイナー氏が下院での投票を許可すれば通過すると予測している。いつもの通り、この法案に関しても投票を遮断しているベイナー氏に問題があるようだ。州レベルでは、同性結婚や有権者ID法など、まだまだ、平等問題に取り組む課題はあるが、米国には、人種、性別、国籍の違いによる差別を禁止する連邦法は既に存在しているため、LGBTに対する職場での差別を排除するこの法案を制定すれば、米国は法的に、ほぼ全ての側面で平等と公正性のある国になる。 従って、ベイナー氏は歴史的な雇用非差別法案を通過させることの深い意義を考慮し、せめて投票を許可し結果を見るべきである。