数十年前までは米国は頻繁に「機会の地」と呼ばれていた。貧しい家庭環境に生まれた子供に向上または成功するチャンスがあるかどうかという疑問については、最近、専門家の間で賛否両論があると思われる。オバマ大統領は12月4日経済格差スピーチで統計を用い、貧困家庭に生まれた子供はトップに昇るチャンスより底部に留まる可能性が高いと述べた。この統計の是非はともかく、ハーバード大学およびカリフォルニア大学バークレーの4人の経済学者は、経済的な向上の機会は幾つかの要素に相関関係があると指摘した。
ハーバード大学の複数の経済学者が1月に出版した論文の研究概要によると、長年の研究に基づいた結果として、米国内での経済的向上の要因には地域的な幾つかの特徴があるとして、人種や所得などの分離 、学校、地域社会のネットワーク、および家族構造を挙げている。貧しい家庭に育った子供が成功するかどうは、土地柄にも関係があると指摘している。この研究は全米の741の地域で、1980年から1982年に生まれた全ての子供が対象であり、30年後の彼らの2011年から2012年の収入、学歴、人種、両親の所得などを基準に、向上の機会との相関関係を調査したものである。
研究の結果、黒人が圧倒的に多い地域は向上の機会が著しく低く、そのような地域では所得および人種にも分離傾向があり、向上の機会と人種および所得分離の基準測定と向上の機会には否定的な相関関係があることが判明した。また、K−12の学校の質も向上の機会に相関関係がある。試験の成績が高い、落第率が低い、クラスの生徒数が少ない、地方の税金が高く公立学校に優先的に融資されている学校は、向上の機会が高いことが判明した。地域社会のネットワークが強化され、地域の市民組織参加が活発であるほど向上の機会が高い傾向がある。また、家族構造は最も重要な要素であるが、結婚した両親が揃っている家庭の子供ほど向上の機会が多いことが判明している。
また、741の地域を比較検討した研究チームは、ニューヨーク.タイムスが「所得向上は場所が重要である」ことを研究した資料を利用し、経済的向上を追求する重要な要因は地理的なものが大きいと指摘している。貧困の家庭の子供が経済向上する機会がある、または貧困から抜け出す機会がある土地柄でアメリカの50州中ベスト10の地域と最低ランクの場所10を紹介している。
ベスト10はランキング順に、1. カリフォルニア州(CA)サンノゼ 2. サンフランシスコ(CA)、3. ワシントンDC、4. ワシントン州(WA)シアトル、5. ユタ州(UT)ソルト.レイク市、6. ニューヨーク、7. マサチューセッツ州(MA)ボストン、8. サンディエゴ、(CA)、9. ニュージャージ州(NJ)ニューアーク、10. ニューハンプシャー州(NH)マンチェスターとなっている。これらはほとんど民主党州のブルー地域である。
次に、50州中最低の地域は41から50番目にランク付けされている。41. オハイヨ州(OH)クリーブランド、42. ミズーリ州(MO)セントルイス、 43. ノースキャロライナ州(NC)ローリー 、 44. フロリダ州(FL ) ジャクソンビル、 45. コロンバス (OH)、 46. インディアナ州(IN)インディアナポリス 、 47. デイトン ( OH)、 48. ジョージア州(GA)アトランタ、 49. ウイスコンシン州(WI)、ミルウォーキー 、50. シャーロット(NC)であり、これらはほとんど共和党州のレッド地域である。
この研究では、米国の社会的向上の基準は1950年代からほとんど変わっていないが、米国が今でも機会を与える国かという問に対しては不明であると述べている。また、特に南東地域は西部に比較して向上の機会が執拗に低いことを示唆している。経済的成功のチャンスがあるかないかは、地域に大きな関連性があり、専門家の研究は、所得レベルも高く、望ましい地域がほとんどリベラルな民主党支持州である。一方、所得レベルが低く、著しく向上の機会がないか、又は少ない地域は共和党支持州であるという面白い結果を示している。幾つかの州や地域で多少のばらつきはあるが、上記リストの41から50までの保守派の地域では、貧困から抜け出すチャンスが低い傾向があることが判明した。この研究結果は、今でも米国は「機会の地」であるかどうかについて、完全に否定することも賛成することもできない現状であることを示唆している。