オバマ大統領の2014年一般教書演説の中で最も重要な事は、今年を行動の年と定め実行を促した点である。従って、議会が行動を起こさない場合、大統領令を駆使すると述べ、議会を慌てさせている。共和党は、オバマ大統領が連邦政府の契約業者に対して最低賃金の引き上げ、および他の複数の議題に関して大統領令を発令すると宣言したことに熾烈な反対をしている。しかし、大統領令は大統領が行使できる権限であると解釈され、歴代の大統領は頻繁に大統領令を行使している。
オバマ氏が、大統領令を提案した課題は最低賃金の引き上げ、年金退職預金、天然ガスの促進などである。オバマ氏のスピーチ後、総体的に賛否両論の反応があったが、スピーチの内容に反応した議員、特に共和党は大統領令に反応し、ティパーティ議員は極端なコメントをしている。下院議長のジョン.ベイナー氏は「大統領も含めて、我々はすべて宣誓した憲法があり、憲法に従うことは下院共和党の基本である」と述べた。上院共和党の古参議員ジョン.マケイン氏は、「我々は裁判所に行くことができる。憲法の意図の乱用を見ているとアメリカの人々に言う以外に選択の余地がない」と記者団に語った。アイオワ州出身の共和党スティーブ.キング氏は「憲法違反だと思う。それほどの大胆さとそれほどの自分の宣誓を侮辱する大統領はいない」と批判した。
下院共和党のティパーティ議員の代表者であるミッチェル.バックマン氏は、「大統領は議会を抜きにして一方的に法律を施行すると発表している」と批判し、告訴する構えを見せている。数回、著作権違反を指摘されたケンタッキー州のティパーティ上院議員ランド.ポール氏は、大統領を最高裁に告訴する準備をし「1,000万人が訴訟に署名した」と述べた。一般教書演説の次の日にすでに1,000万人の署名が集められるとは考えにくいため、目標を述べているのか誇張なのか不明である。いずれにしても、このような大統領令に関する反対勢力にたいして、民主党は概して、オバマ氏に与えられた権限内で対処していると反論している。
共和党がオバマ氏の大統領令を憲法違反であると主張している原因は、大統領は大統領令を行使することができると憲法は具体的かつ明瞭に述べていないためではないかと思われる。憲法第二条の第一項は曖昧に記載されているという複数の意見がある。1775年にアレクサンダー.ハミルトンが起草した米国憲法の第一条第一項は議会に立法権を与え、第二条の第一項は大統領に行政権を与えている。第二条の第一項には、「行政権はアメリカ合衆国大統領に帰属するべきである」(The executive Power shall be vested in a President of the United States of America)と記載されていて、大統領は憲法で最大の行政権を与えられていると解釈されている。また、ハミルトンは大統領の権限について明瞭に説明していないが、当時のイギリス君主に対抗できるほどの強い権力を米国の大統領に与えたものではないかと推測されている。
ワシントン.ポストによると、オバマ氏が公表した大統領令は憲法上の問題はないと解釈されている。 その理由は(1)議会が法律によって大統領にそのような権力を委任した時、ほとんどの大統領令は法的に大統領に与えられた裁量権の実行を可能にする、(2)大統領は、彼の職務に内在する憲法上の権限のいずれかを行使している場合、いくつかの立法権を行使することが可能である。
更に、歴代の大統領令の記録から、ティパーティ議員がオバマ氏を告訴することが可能であるとは思えない。過去の大統領が何回大統領令を発令しているかを知ると、共和党が短絡的に告訴すると反発している理由は感情的であり根拠がないことを示唆している。ワシントン.ポスト の調査によると、6年目を迎えたオバマ氏は、比較的に大統領令の発令頻度が低い。8年間の就任を完了していない大統領もいるが(1) 2期目も再選された大統領、および(2)1期のみの大統領がその間に行使した大統領令の回数は、前者の場合、ハリー.トルーマンが最も多く573回である。後者の場合、ジミー.カーターが320回で最も多い。オバマ大統領はこれまで167回行使している。
二期就任の大統領の大統領令行使回数 年間平均
33代目のハリー.トルーマン (1945—1953)573回 72
34代目のアイゼンハワー (1953—1961)320回 40
36代目のジョンソン (1963—1969)315回 52
37代目のリチャード.ニクソン (1969—1974)306回 61
40代目のロナルド.レーガン (1981—1989)256回 32
42代目のビル.クリントン (1993—2001)238回 30
43代目のG.W.ブッシュ (2001—2009)197回 25
44代目の現役のオバマ (2009—現在)167回 33
一期就任の大統領の大統領令行使回数 年間平均
35代目のJ.F.ケネディ (1961—1963)214回 102
38代目のジェラルド.フォード (1974—1977)169回 56
39代目のジミー.カーター (1977—1981)320回 80
41代目のG.H.W.ブッシュ (1989—1993)166回 42
結論として、歴代の大統領に比較し、オバマ氏が大統領令を行使した回数は控えめである。また、憲法の解釈から察すると、与えられた権限内で大統領は自分の職務を行使していると反論している民主党の認識は正しいことを示唆している。共和党が主張しているように、もし憲法違反であれば、なぜ歴代の全ての大統領はこの特権を利用したのか、共和党の理屈は歴史上の事実および一般的な大統領の権限の解釈に反している。議会は法案を制定する義務を与えられているが、多くの重要な問題に取り組む義務を怠っていたことは紛れもない事実である。歴史的に、大統領令は大統領に与えられた権利であり、最高裁がこの問題に関与する可能性があるとは考えにくい。