大統領に対する訴訟と弾劾声明の呆れた政治ゲーム

下院議会は、オバマ大統領に対する告訴を決定する為今日夕方投票を行った。この決議案は可決したが、実際に告訴が可能であるかどうかは専門家の間で疑問視されている。訴訟騒ぎと同時に起きているのがオバマ氏に対する弾劾声明である。最初にオバマ氏を弾劾すると言い始めたのは共和党一部の議員であり、次に民主党は、告訴は弾劾の為の練習であると警告した。一部の共和党は、弾劾声明を利用して、民主党は選挙資金を集めていると批判し始めた。共和党の弾劾声明は民主党に有利である為、この弾劾論争は両党の政治ゲームであると言われている。

下院規定委員会は7月24日に7対4の票差で、下院議長のジョン.ベイナーが提起したオバマ氏に対する訴訟を承認した。次のステップとして、今日夕方、下院議会で全体的な投票を実施し、225対201票差で訴訟が可決した。この投票で告訴に反対した共和党は5人だけである。ベイナーが大統領を告訴すると言っていたのは本気だったようである。彼は27日、USAToday のオプイド投稿で「オバマ大統領は、彼の憲法上の権限を踏み越えている。そして憲法を守ることは下院議員の責任である。同時に、我々はアメリカの人々の最優先課題である雇用と経済に焦点をあてている」と述べている。告訴の理由について、ベイナーは「雇用を破壊するエネルギー規制を発表し、予告なしにグアンタナモからタリバンの5人を釈放し、福祉の労働要件を免除したことも含めて多くの分野で、私は大統領の行動は憲法上の権限を超えていると信じている」と書いている。

しかし、専門家は、これは充分な告訴の理由ではないと述べている為、実際に成功するかどうか不明である。ナショナル.ジャーナルによると、大統領に対する訴訟において、下院共和党が裁判所での聴聞機会を得ることは難しいだろうと予測されている。保守派を含む複数の専門家は、最初から下院が大統領を告訴する権利があるかどうか懐疑的であり、この訴訟の有効性を疑問視している。また、「例え裁判所が聴聞に同意しても、その訴訟はオバマケアの強制条項の延期に関する根本的な疑問に対処する充分な声明がない」と指摘している。議会のメンバーが過去に大統領を告訴した時、裁判所はこれらのケースは告訴の正当な理由が欠如していた為、それらの訴訟ケースを全て却下した。原告である議員は訴訟を提起するために必要な条件を満たしていなかったからである。

また、最新のケース(ベイナーの訴訟)が過去の例より公正で道理にかなっているかは不明である。ウェスタン·リザーブ大学法学部の教授及びオバマケアの批評家であるジョナサン·アドラーは「私は懐疑的です。それを却下はしませんが、ただ私がこれまで見たところでは、まだ分からないです」と述べた。つまり、「原告としての地位を確立するには、被告に起因する傷害を示す必要がある」が、それが見えないと指摘している。過去の起訴ケースも議会のメンバーには同じ問題があり、「裁判所は、彼らの政治的意見の相違は法的システムで表明する傷害ではない」と指摘している。更に大事なことは、「議会は行政府がやるべきことをやっていないと思えば、それを用いる独自の権限がある」と指摘している。アドラーは「これは関連する判例が積極的に読まれるような、前例のあるケースではないです」とコメントしている。

この訴訟騒ぎと並行して起きているのが大統領に対する弾劾声明である。中央アメリカからの不法移民児童が国境に殺到している報道がピークに達した頃、一部の共和党はオバマ氏の移民政策が原因であると批判した。元アラスカ知事のサラ.ペイリンは大統領をホワイトハウスから引き下ろすニュアンスを込めて「オバマを弾劾するべきだ」と主張した。下院議長のジョン.ベイナーは、ペイリンのコメントに即時反応し「同意できない」の一言の声明を発表した。基本的にはベイナーを含む共和党のリーダーは、実際に大統領を弾劾する意志はないようである。 また、テレビ.インタビューで、どうして弾劾するのかと数回聞かれても、その質問に答えられない共和党議員もいる。これはオバマ氏を弾劾する為の合法的な理由が何も無いからである。

29日のワシントン.ポストによると、弾劾とは米国憲法第二条で規定する反逆、贈収賄、又は他の重犯罪および軽犯罪を犯した大統領に対する罰則である。従って、弾劾を公言したペイリンに大統領が一体この罰則のどれに値するような犯罪を犯したかを聞けば、何も答えられないはずである。この二人の著者は、この憲法の規定を知ると、共和党が騒いでいる大統領に対する弾劾を米国民はどのように感じるだろうかと問いかけているが、弾劾は「両党のファンタシー」(空想)だと指摘している。

一方、民主党は、ベイナーの告訴は大統領を弾劾するための予備訓練だと言い始めた。民主党が弾劾を懸念すればするほど、一部の共和党は、弾劾声明は民主党が始めたゲームだと主張している。2016年の大統領選に候補する可能性がある下院予算委員長のポール.ライアンは今朝、クリスチャン·サイエンス·モニターが主催する朝食会に参加し、大統領に対する弾劾は民主党の「馬鹿げたゲームである」と批判した。また、記者団に「大統領と彼の政治チームによる、とんでもないゲームの類いを見ています」と述べた。弾劾騒動を先導したのは、紛れもなく一部の共和党であることは広範に知られているにも関わらず、11月の選挙が自分達の思うようにいかないと感じているため、資金を集めるための民主党の作戦だと主張した。

一部のメディアは共和党の弾劾声明は民主党を活性化させると見ている。30日ワシントン.ポストは「弾劾の話は、共和党の最も非常識な動きになる可能性がある」と批判し、共和党が告訴の次に弾劾を語る「目的は単純」であり「不人気のオバマ大統領」が中間選挙で不利になるよう集中しているだけであると指摘している。また、告訴や弾劾の語りは「あざけり」であると述べているが、これは民主党が「資金を調達し、 幾分無気力な党の基盤を活性化する」動機になるとし、「民主党は明らかに下院訴訟の動きに政治的な機会を見ていて、それを利用する動きがある」と主張している。 また、ベイナーは弾劾については断固たる態度であるが、「問題はそれがテーブルに上がらないことである」と述べ、 彼は弾劾を「絶対に選択しない」と彼のメンバーに明白にしていると伝えている。ベイナーは、弾劾は政治的にマイナスになることを最初から理解していたと思われる。なぜなら共和党の弾劾ゲームは「86%の民主党はオバマ大統領に対する弾劾に反対している」為、弾劾の話は「中間選挙前に活性化させる基盤を必死に探している民主党にとって秘密の材料になる」と報じている。

いずれにしても、国境では人道的な危機に直面し、ロシア問題及び中東問題は日増しに難局化している現状で、多数の共和党議員はティーパーティの攻撃を避ける為、重要な問題には一切取り組まず、記録的に「何もしない議会」とのレッテルが貼られている。その為、国内外の問題に議会の強い支持を得られないオバマ氏は国内問題では大統領令を行使せざるを得ない状況であり、外交政策では著しい葛藤に直面している。世界の各地で劇的な動乱が起きている時、米国の下院議長およびその仲間は、オバマ氏に対する告訴や空想的な弾劾による現実的にはありえないナンセンスな政治ゲームに明け暮れている。これは情けないほど惨めな米国の政治家達の弱さと議会崩壊の実体を反映している。

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