世界は二酸化炭素削減に努力する風潮があるが、昨日米中が温室効果ガスの削減に歴史的な合意に達した後24時間も経過しないうちに、この動きに反する皮肉な事態が起きている。目先の事しか考えない一部議員の性急な行動により、両院議会はキーストーン.パイプラインの認可の是非を決定する投票を近日中に実施する事に同意した。オバマ政権は、パイプラインの建設をまだ延期している状態であり、論争的である。専門家は国務省のキーストーンからの二酸化炭素排出量の推定は過小評価であると指摘し、パイプライン建設後の排出量を具体的に推定し、賢い選択肢があることを提案しているが、議会の動きは皮肉な展開になりそうである。
上院両党のリーダーは12日、来週早々投票する事に同意した。下院は今日論議を行い、明日投票する予定であると伝えられている。この動きを煽動したルイジアナ出身の民主党現役上院議員のメアリー.ランドルーは、現在上院議席の決勝戦を待っているが、窮余のあげく、上院多数派のリーダーであるハリー.リードにパイプライン建設の投票を要請した。コーク兄弟がバックアップしているティーパーティ組織は共和党対抗者のビル.キャシディの当選に大金を投資している事実に加えて、11月4日の時点で4%ポイント以上キャシディがリードしていた為、ランドルーの勝利は困難な状態である。両候補はいずれも、同州でエネルギー生産による経済の活性化を政策として掲げている。生き残りに葛藤しているランドルーは、キーストーン.パイプラインの投票に望みを託したようである。
この動きにミッチ.マコーネルは、国民が共和党を多数派のリーダーとして選択したことが多大な違いであると述べ、民主党が投票に同意した為、パイプライン建設に反対することを止めたことをうれしく思うと語った。キーストーン.パイプライン建設をめぐって、猛烈な反対による5年以上の葛藤を続けた環境保護団体は、最終的な決定はオバマ大統領であると主張している。また、キーストーンは共和党の中間選挙の強力な課題であり、反対または躊躇している民主党に対する攻撃材料であった。しかし、今年1月、国務省が研究報告を公表して以来、建設を支持する民主党議員が増え、現在上院ではランドルーを含む 8人前後の民主党が支持している。従って、投票すれば両院で通過する可能性がある。
キーストーン.パイプラインはカナダから国境を超える国際ビジネスである為、国務省は数年間、調査と研究を続けていて、オバマ政権は許可を保留していた状態である。今年1月末、国務省は、建設した場合の環境には多大な悪影響はなく、構造的な連邦政府の安全基準に達しているとの結論を発表した。しかし(1)カナダからのタール.サンドは通常の原油より17%多い温室効果ガスを発生させるが、(2)かなり汚染されたタール.サンドは既に別の輸送方法、例えば鉄道などを利用してカナダから既に米国の石油市場に参入している。従って、(3)たとえ、パイプラインを建設しなくてもタール.サンドは輸入されている。しかし、(4)オバマ政権の温室効果ガスの基準に適合しているかどうか確定的なことは不明であるとの結論を公表した。この発表から約2ヶ月後、国務省の調査に関与した契約者は、カナダのキーストーン.パイプライン会社に関連していることが判明した。4月中旬、国務省はオバマ政権の複数の部署で検討を終えていない為、建設の延期を表明した。
このような状況で、専門家はキーストーンの二酸化炭素排出量に関する国務省の報告に幾つかの間違いがあることを発見した。発展途上国の気候監視や再生可能エネルギー発電を研究している熱科学教授のジョン.アブラハムによると、ビジネス調査グループは、国務省はカーボンの汚染を過小評価していると指摘した。ストックホルム大学の2人の科学者は「ネイチャー気候変動」に掲載された最近の論文で国務省の説明に大きな欠陥があることを発見したと伝えている。彼らは世界の石油市場にキーストーンが参入した場合の影響についても分析し、国務省の分析に比較して、キーストーン·パイプラインの気候変動の影響は3倍であると指摘した。また、実際のカーボンの排出量は、政府の分析によって提案された数値の最大4倍であり、キーストーンは、年間最大1.1億トンの二酸化炭素を排出すると報告した。
伝統的な石油よりタール.サンドは数倍カーボンの排出量があると指摘しているアブラハムは(1)キーストーンを建設し、タール.サンドを吸い上げる。(2)キーストーンを建設せず、何処かで同等の石油を抽出する。(3)キーストーンを建設する代わりに、エネルギーを賢く利用し、お金を節約し、汚染を減少させる、これら3つの選択肢があると述べた。また、一部の経済学者は1と2の展望を比較するが、1と3を比較するべきであると指摘し、「 キーストーンを介して汲み上げる混合物の配合は不明であるが、全てがタール.サンドだった場合、気候への影響は莫大になる」と警告した。キーストーンを建設した場合、1日当たり830,000バレルの輸送が計画されている為、二酸化炭素排出量は1バレル当たり575kg(石油コークスが含まれている場合625kg)で、キーストーンに関連する二酸化炭素は一日あたり約48万トン(石油コークス含有では52万トン)である。従って、年間の二酸化炭素排出量はそれぞれ1.7〜1.9億トンであると説明している。また、この二酸化炭素は約4,000万台の車又は55の石炭発電所に匹敵すると述べ、 機能的には「単純すぎる解決法ではあるとして、もし、米国が単に4mpgの燃費向上を選択すれば、キーストーンからタールの全出荷を削減し、汚染を減少し、アメリカ人は一人当たり年間約250ドルの節約をする」と述べている。
パイプラインからのタール.サンド漏れによる環境破壊を懸念している環境保護団体の主張、および米中両国間の温室効果ガス削減の合意に反して、ランドルーは自分の政治生命を救うため、論争的なキーストーンでカーボン排出量の削減に努力しているオバマ政権および科学者や専門家にチャレンジした。しかし、彼女の対抗者もキーストーンを支持している為、彼女が勝利するチャンスは希薄である。民主党は更に1議席失い、共和党は彼らが望んでいるものを 一石二鳥で得る可能性がある。しかし、このキーストーン問題も政治ゲームであるなら、大統領は投票に同意したハリー.リードに軍杯をあげることで弱体化した民主党の立場を強化する為、両院で通過した場合、署名する可能性がある。又は、中国と合意したばかりであるため、両院で通過した建設法案に拒否権を行使することも事も考えられるが、いずれにしても今日の展開は皮肉である。