オバマ大統領は移民法に関する大統領令を早くて今週末までに発表する可能性があると言われているが、上院の民主党は彼らが超党派の移民改正法に取り組む時間を与えてくれるよう要請し始めている。オバマ氏の意志が硬いことに反応している一部の共和党は、これに対抗する手段として政府閉鎖を公然と表明し、その強い団結力を固めている。11月4日の中間選挙で再選し、多数派リーダーとして選定された上院少数派(次期多数派)リーダーのミッチ.マコーネルは、政府閉鎖はあり得ないと表明したが、この移民問題と政府閉鎖の衝突で、彼はその公約どおりのリーダーシップを発揮することができるかどうか試される可能性がある。政府閉鎖を強固な手段として繰り返すことに躊躇しない共和党には幾つかの理由がある。
上院の民主党は、移民問題に取り組む意志があり政府閉鎖を避けたい主流派の共和党と同様、大統領令を待ってくれるようオバマ氏に要請し始めたが、移民提唱者のリーダー達は、早く大統領令に署名するよう圧力をかけている為、板挟みの状態である。オバマ氏は以前、移民問題を含む全ての政策を両党で取り組むことを望んでいると数回表明しているが、共和党内で移民改正法を協議することは困難であると悟ったようである。また、オバマ氏が移民法の大統領令に固執している理由は、移民支持団体が強制送還を早急に停止する必要性を訴えている事実に加えて、最初の大統領令を延期した際、選挙後の行使を公約した為であり、2回続けて公約を破れないというプレッシャーがある為である。また、強固な移民拒否者がいる共和党との協議は不可能であることを知り尽くしている事が主な理由である。移民提唱者のリーダー達も、議会での移民法取り組みが如何に困難であるかを見ているため待つ必要はないと提案し、最初の公約を破り選挙に敗北した為、同じ失敗を繰り返すべきではないと主張している。
しかし、オバマ氏の意志も強いが、移民法の大統領令を阻止するためには政府閉鎖も辞さない事を決意している共和党の理由も甚だ強固である。政府閉鎖をリードしているのは上院共和党のジェフ.セッション(右)であり、他に約60人の下院共和党が移民法の大統領令に対抗する手段として強固に推し進めている。彼らはオバマが単独行動を取るのであれば、我々は我々の手段でそれに対抗すると述べている。下院多数派のジョン.ベイナーは、長期的融資を政府に提供する法案を通過することも考慮したと言われているが、ベイナーは先週記者会見で政府の閉鎖も含めて大統領の単独行動を防ぐため、全てのオプションはテーブルにあると語った。昨年オバマケアの融資停止を要求し、結果的に16日間の政府閉鎖を遂げたティーパーティ議員らに対して、ベイナーがその行動を容認した時とほとんど同じパターンである。
深刻な脅威とダメージを与えた政府閉鎖を共和党はなぜ再度繰り返すことができるのか? 彼らにとっては充分納得できる理由がある。基本的に、極右派のティーパーティによる保守派運動はまだ衰えていないことも要因であるが、政府閉鎖を強行する一部の共和党と極右派には彼らの政治的利害による動機がある。彼らが最も嫌っている事は政府が税金を福祉や助成金に配分することである。助成金を利用して低所得者に医療保険の支払いを援助するオバマケアは彼らが最も嫌っている政策であるため、保守派運動の活動家に送り出されたティーパーティ議員は、オバマケアの融資停止を要求し、その要求が満たされなかった為、政府閉鎖に追い込んだ。移民改正が緊急課題になっている今年、不法移民を嫌うティーパーティ議員は、不法移民を合法化することで税金が福祉に利用されることに反対している。この理由に加えて、市民権又は合法的滞在資格を得た不法移民の大半は民主党を支持する傾向が強い為、彼らにそのような受益を与える事は政治的および財政的にメリットがないという打算があるからである。従って、政府閉鎖により経済的ダメージが予期されていても決行する動機がある。 不正手段で税金を逃れている一部のティーパーティ活動家らは、皮肉にも不法移民が億単位の税金を支払っていることに気付いていないかまたは完全に無視している。レーガンを含む歴代の大統領は、少なくとも移民が米国の経済に重要な役割を担っていることを認識し、彼らを保護するため似たような大統領令を行使した。
なぜ、現在の共和党は政府閉鎖を武器にしてまで、オバマケアの次に移民改正の大統領令を行使するオバマに対抗するのか? ジミー.カーターは、初の黒人大統領に対する嫌悪または人種差別が隠れた要因であることを暗示する発言をしたことがあるが、共和党有権者の政治的姿勢がその鍵を握っていると言えそうだ。11月6日から9日までに実施されたピュー.リサーチーの世論調査によると、66% の共和党支持者は彼らのリーダーがオバマ氏と共に取り込むことより、対抗することを好んでいるという驚くべき世論が報告された。共に取り組むことを好む共和党有権者はわずか32%であった。これはオバマ氏を嫌悪するティーパーティ運動が台頭し、共和党が下院で多数派を獲得した2010年とほぼ同じ傾向である。当時も対抗することを好んだ共和党有権者は62%、両党の協議を好んだ率は33%であった。つまり、共和党支持者の約2/3は両党が妥協し問題を解決することより、彼らが反対する政策には移民法の大統領令も含めて大統領に対抗し、勝利することを望んでいることを示唆している。従って、民主的な協議や投票を通して問題を解決することより、最初から紛争を望む共和党有権者は、政府閉鎖もその手段として黙認する傾向がある過激的な支持者が多いことを示唆している。従って、大半の共和党議員には大統領および民主党と協議する動機はなく、むしろ政府閉鎖の脅しは隠れた武器になり得る。
2013年10月に政府閉鎖を招いた際、それを先導した一部の過激派とそれを許可した主流派の共和党は批判されたが、1年以上経過した今年の中間選挙では共和党が大勝利した。民主党支持者である若い世代、ヒスパニック、黒人など少数派の投票参加率が激減した事に加えて、ゲリマンダー、投票登録申請の保留、有権者ID法など、共和党に有利な手段も多大な一因であるが、共和党は、有権者が移民法も含めて共和党の政策を支持したと主張している。従って、現在の共和党の威圧的ムードは、同じパターンの繰り返しとして政府閉鎖に陥る可能性が強くなっている。しかし、上院多数派のリーダーとして選出されたばかりのマコーネルは政府閉鎖を阻止すると公約している。彼は、11月4日ケンタッキー州ルイビルで再選された直後の勝利宣言スピーチで「明確にしておきましょう。政府閉鎖と国の負債で債務不履行に陥ることはありません」と述べた。極右派の政府閉鎖の動きに共和党リーダーのマコーネルがどう対応するか、早くもその公約が試される時がきた気配がある。両院で勢力を増した共和党、特に政府閉鎖を政治ゲームの武器として利用するような過激派は、彼らの政策を大統領に押し付けることが出来ると思い込んでいる強引な動機があるため、マコーネルが彼らに引き込まれない保証はない。