トランプ大統領は 9月24日、過去の4か国に加えて北朝鮮、ベネズエラ、チャドを加えた7か国からの旅行禁止を命じる大統領令に署名した。その後、米軍と協力しニジェールのISISに対する戦いを展開していたチャド軍隊はニジェールから突然撤退した。チャド軍隊の勢力を失った状況下で、4人の米軍が殺害されたため、その原因について現在論争的な問題に発展している。一部州の裁判所はこの大統領令を阻止するため挑戦していることに加えて、現在調査中であるこの事件が公表された後もトランプ大統領は10日以上無言を続けたため、遺族及び議会からの批判が集中した。チャドが旅行禁止され、チャド軍隊の撤廃後に米国兵士が死亡したタイミングの悪さは様々な疑問を提起している。
トランプ大統領は1月下旬にイスラム教7か国からの旅行を禁止する最初の大統領令に署名し、その後、3月初旬の改正版を発行した大統領令に対して、ハワイを含む複数の連邦地区裁判所がその禁止令を一時阻止した後、最高裁は6月26日に部分的に保持する決定を下した。この6か国からの禁止令の有効期限が切れた9月24日、スーダンのみを除去し、イラン、リビア、シリア、イエメンに加えて北朝鮮、ベネズエラ、チャドを加えた合計7か国からの旅行禁止令に署名した。3月の大統領令と同様、ハワイ及びメリーランド州はこの大統領令を一時阻止する判定を下した。17日、ハワイはトランプ政権の新たな旅行禁止令をブロックし、20日ハワイの米国地方裁判所のデリック.ワトソン判事は、一時的拘束命令を予備的差し止め命令に変更した。
加えて、米国へのテロリスト侵入を防ぐ目的であるチャドを追加したことは皮肉な事態に発展した。ISIS またはISIL(イスラム国家 )に対する戦いは西及び中央アフリカ(地図)にも及んでいるが、米軍はニジェールで激しい戦闘を展開し、近隣のチャド勢力は米軍に協力しISISと戦っていた。しかし、タイミングはあまりにも奇遇であり、9月24日の大統領令が公表された直後にチャド軍隊は近隣のニジェールから撤退した。フォーレン.ポリシー(FP)によると、チャド兵士のうち最大2,000人はボコ.ハラム(ナイジェリア北東部に拠点を置くイスラム過激派のテロリスト団体)との戦いの連合の一部だった。チャド政府はニジェールからの軍隊撤退について明確な理由を説明していないが、マトレーン.アリングエ通信相は「両国の間の良好な関係、特にテロとの戦いを深刻に傷つけている」と述べ、チャドが旅行禁止に含まれたことを非難した。貧困な国であるが「チャドはアフリカの安全保障と政治において大きな役割を果たし、 その部隊はその地域で最も有能な部隊とみなされている」ため、チャドをなぜ、旅行禁止の中に含めたのかその明確な理由は不明である。
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2017年10月18日の公表によると、西アフリカのニジェールで(左から順に)ブライアン.ブラック、ダスティン.ライト、ジェレミア.ジョンソン、ラ.ディビッド.ジョンソンの米軍兵士が殺害された。ジョンソンの遺体は数日遅れて発見された。この事件の調査は現在進行中であるが、そのような地域で「最も有能な部隊」が撤退した後、弱体化した戦地でこの米軍4人の兵士は死亡した。ジョンソンを除く3人の米軍兵士はグリーンベレーズ(特殊部隊)に所属しており、マリ国境付近の村トンゴ.トンゴでの待ち伏せ攻撃で4人のナイジェリア人兵士と共に10月4日に殺害された。これらのナイジェリア兵士は安全保障情報部隊の一員であり、フリントロックと呼ばれる幾つかの米国主導の訓練中に米軍によって訓練されている兵士である。
ワシンントン.ポストによると、2013年、オバマ政権はマリのアルカイダに対する作戦を実行していたフランス軍を支援するため、ニジェールの首都ニアメに150人の米軍を派遣し、マリの監視ドローン作戦を開始した。トランプ政権下の今日、約800人の米兵士はISIS、アルカイダ及びナイジェリアの過激派武装兵ボコ.ハラムと戦っているフランス軍を支援している。米国兵士が殺害された事件の詳細は調査中であるが、8人から12人の米軍兵士はトンゴ.トンゴの近くで30から40人のナイジェリア軍隊に同伴していた。わずかな人数の米兵士が実際に村に入り、他のナイジェリア兵士は近くに駐留していた。このグループはリーダー達に会い、供給品を集めた後、陣地に戻る途中約50名の武装兵に襲われたと言う説がある。この襲撃戦で死亡したブライアン、ブラック、ジェレミア3人の遺体は同時に回収されたが、他のグループから離れていたジョンソンの遺体は48時間後に発見された。
トランプ大統領はこの事件が報告された10月4日後から12日間も無言を続けていたため非常に論争的な問題に発展した。公的な哀悼のメッセージ、遺族への電話または手紙を送る大統領指揮官としての行動を怠った理由を記者に聞かれた後、襲撃された4人の米軍兵士のうちの1人で最後に遺体が回収されたラ.ディビッド.ジョンソンの未亡人に送った言葉は「入隊が何を意味しているか本人が知っている」であった。複数の超党派の議員はこのような状況を鋭く批判した。上院古参議員のジョン.マケインは、トランプ政権はニジェールで起きたことに前向きであるかどうかと聞かれ「ノー」と明確に答えた。また、熾烈な戦地で兵士が死亡したことに対して、早急に対応しなかったため、ジョンソンの両親はテレビ画面を通して、トランプを批判した。批判がエスカーレートした17日、トランプは大統領補佐官ジョン.ケリーの子息が戦死した時、オバマ大統領から電話を受けなかったと述べた。大統領がこの問題を政治化するとは予期していなかったケリーは19日ホワイトハウスの記者会見で、アフガニスタンで息子が戦死したエモーショナルな体験を語り、殺害された兵士4人の家族に直接電話しないことを彼がアドバイスしたと述べトランプ大統領を擁護した。ケリーは彼の子息が死亡した時「オバマ大統領が電話したとは思わない」とトランプ大統領に語っただけであるが、それは批判ではなかったと述べ、彼の子息が死亡した数時間後に友人から電話があり、オバマ大統領は電話ではなく戦死した兵士の遺族には良く追悼の手紙を書いていたと語った。
この悲惨な事件を受け、米国でのテロリズムを防ぐための新たな旅行禁止のリストにはマリ、ニジェール、ナイジェリアなどは含まれていないのに、なぜテロの温床ではないチャドが含まれているのかという疑問が提起されている。北朝鮮は核実験以来、極度に緊張が高まっているため、このリストに挙がっても誰も疑問視しない。ニューヨーク.タイムスによると、ベネズエラが含まれているトランプ政権の理由は「市民の国家安全保障や公安の脅威を米国にもたらすかどうかを検証するための協力が欠如」しているからである。しかし、アフリカで米軍に協力していた最も近い対テロ協定の一国であるチャドに対する旅行禁止はもっと不可解である。国土安全保障省は、チャドは特別なパスポート用紙が不足していることに加えて、公共安全及びテロリズムに関する情報を提供していないことが主な理由であると説明した。しかし、貧困国ではあるが、なぜチャドにパスポート用紙が不足する問題があるのか不明である。チャド政府はパスポートの既存のサンプルを提供する事を提案していたが、突然彼らは他のテロリスト国と同じ旅行禁止リストに載っていることを知り、約1週間後、最も訓練を受けていたチャド軍は撤退した。両国間が納得している事務的理由があるなら、なぜチャド政府は突然ニジェールから兵士を撤退させたのか? 4人のアメリカ兵士が死亡した責任は誰にあるのか? チャドをテロリスト国と同様に扱ったトランプ政権の思慮に欠ける決定には責任はないのかを含む多数の疑問が提起されている。