By Effects/Facts – Climate Change
今日米国政府の調査機関である全米気候評価(NCA)は、現在進行中の気候変動は今世紀にかけて、全米でその影響が悪化するとの報告を発表した。全国の地域社会で既に認識されている気候変動は新たなリスクを引き起こし、米国内の地域社会の生存を益々脆弱化させ、人間の健康、安全、生活の質、経済成長を脅かす危険性が高くなっていると述べている。気候変動の影響はより頻繁で激しい極端な気象および気候関連事象、ならびに平均的な気候条件の変化、地域社会に利益をもたらすはずの生態系および社会システムを本質的に損傷し続け、経済、水、人間の健康と生活の質、農業、インフラストラクチャーなど全てを脅かしていると述べている。
23日に公表されたNCAの報告によると、気候変動が経済に及ぼす影響は多大であり、特に自然資源と農業、観光、漁業など気候条件に依存する地域経済や産業は、気候変動の影響が高まるにつれて弱体化の危機に晒されている。上昇する気温は発電の効率を低下させ、エネルギー需要を増加させ、電気料金はより高くなると予測されている。国境を越えた気候変動の影響は、輸出入価格や海外事業およびサプライ.チェーンの米国のビジネスを含む貿易と経済にますます影響を与えると想定されている。世界的な温室効果ガス排出量の実質的かつ持続的な削減がない場合に起こると予測されている継続的な温暖化は、特に益々適応する努力がない場合、今世紀を通じて米国経済に実質的なダメージを与えると予想される。温室効果ガスの排出量は歴史的な水準で継続的に増加しているため、幾つかの経済部門の年間損失は、今世紀末までに米国の現在の国内総生産(GDP)を超過する数千億ドルに達すると予測されている。
また、カリフォルニアの干ばつによって頻繁に発生している山火事もその一例であるが、気候変動は、エコシステム、環境、水質および水量を脅かしている。NCAの報告は、上昇する大気および水温と降水量の変化が激しい豪雨の増加、積雪量の減少、地表水質の低下を引き起こし、地域で様々な影響を及ぼしていると述べている。また、雪や雨の相対的な量および時期の変化は、一部の地域で水の利用可能性とニーズに不一致をもたらし、特に将来、南西および北西地域で水力発電の安定性に脅威を与えている。地下水の枯渇は、米国の多くの地域、特に南西部および大平原地帯で干ばつのリスクを悪化させている。米国ほとんどの発電所は、冷却のために安定した水の供給に依存しており、水の利用可能性と温度上昇の変化によって操業に影響を受けると指摘されている。
空気汚染に加えて、水質と水量の危機は全ての人間の健康と生活の質に直接危機を及ぼしている。大気の質、昆虫や害虫、食物、水などによる病気の蔓延はアメリカ人の健康と福祉をますます脅かしている。気温や降水量の変化は、大気汚染や地上レベルのオゾン汚染による大気質や健康リスクの増加をもたらしている。上昇している気温や水温、さらに激しい極端なイベントは、水や食品媒介疾患への曝露を増加させ、食糧や水の安全に影響を及ぼすことが予想される。ほとんどの地域で寒冷関連の死亡者数は減少するが、継続的な温暖化に伴い、熱関連の死者数は増加すると予測されている。喘息および花粉症を含むアレルギー疾患の頻度および重症度は、変化する気候の結果として増加すると予想されるとNCAは述べている。気候変動はまた、疾病を運ぶ昆虫および害虫の地理的範囲および分布を変え、ライカ病を患うダニ、ジカ、ウェスト.ナイル、およびデングなどのウイルスを感染させる蚊に益々多くの人々を曝露させると予測されている。東南アジアの地域社会は、媒介性疾患、熱、洪水による複合的な健康への影響に対して特に脆い。極端な気象や気候関連のイベントは、特に生計の低下や地域の移転で影響を受けた高齢者、子供、低所得層の地域社会で永続的な精神健康を脅かしている。
健康上に影響を受けるのは人間だけではなく、家畜も同様に危機に晒されている。米国内外の極端な気候の変化は、農村生活、作物収穫量と品質の低下、食糧安全保障、価格安定を脅かしている。総体的に米国の主要作物の収穫量は気温の上昇、水の利用可能性、土壌浸食、病害虫の発生などにより低下することが予想されている。中西部の栽培期における気温の上昇は、米国の農業生産性低下の最大要因になると予期されている。極端な暑い気温の増加は、家畜にとって更なる熱ストレスにつながり、生産者にとって大きな経済的損失をもたらすと予測されている。また、これは世界中の多くの農産物の入手可能性に影響を与え、農産物価格の大規模な増加に繋がると予測されている。
加えて、気候変動および極端な気象現象は、もっと頻繁で長期的な停電、燃料不足、サービスの中断を脅かす米国のエネルギーと輸送システムを益々混乱させると言う。歴史的な気候条件のために現在設計されているインフラストラクチャーは、将来の気候の極端な変化や気候変動に対してもっと脆弱化しているとNCAは指摘している。アラスカ州では、上昇する気温や浸食は特に農村部で、修理や交換にコストのかかる建物や沿岸のインフラストラクチャーの被害を引き起こしている。これらの影響は何らかの対策がない場合、増加すると予想されている。重度な降水の多発は道路へのアクセス、橋梁の存続可能性、パイプラインの安全性を含むあらゆる地域の内陸インフラに影響を及ぼすと予期されている。大雨からの洪水、嵐による大波及び高潮の上昇は、東北地域でインフラ整備に伴う既存の問題を混乱させることが予想される。干ばつリスクの増大は、石油やガスの掘削、精製、及び冷却のため地表水に依存する発電所からの発電を脅かす可能性があると警告している。
要するに、米国の各地で感じられる気候変動の打撃は、適切な対処をしない場合、総体的に米国の経済に莫大な損害をもたらすと警告している。その打撃は今世紀末までに、人間の健康から農産物の生産およびインフラに至るまで、あらゆる地域社会で多大な危機に晒され、それは益々増加すると予測している。この報告は、石炭燃料だけを推進し、ガス排出量の制限または、空気清浄化対策に積極的ではないトランプ政権に対する忠告でもある。トランプ大統領は昨年6月1日、パリ協定から離脱すると宣言した。その宣言は2020年の大統領選挙後まで有効ではないが、大統領を含めてトランプ政権の複数の閣僚は、気候変動が人間によるものであるとの大半の科学者の結論を否定している。一方、パリ協定に参加している約200カ国は引き続き気候変動と戦っているが、トランプはこの様な科学者の報告を無視し続けている。しかし、米国の気候科学者、専門家、関係者、環境団体、および州当局は、大統領のパリ協定離脱宣言には影響を受けず、未来の安全な人類生存の努力を続けている。