ベネズエラの政府打倒運動はクーデター?

ベネズエラのカラカスでは民主的に選出された大統領を追放する運動がエスカレートし、市民抗議者の群衆に向けて、軍用車が低速度で突っ込んでいる様子が放映されている。反政府派のリーダーであるフアン.グアイドは軍隊を伴って、大統領ニコラス.マデューロに反対するよう呼びかけた後、紛争に発展した。グアイドは自身が次期大統領になることを目指している為、彼の側に立つよう軍隊に要求したと伝えられた。新たな展開になっている反乱の経緯は何か?なぜ、ベネズエラでは今マデューロ政権を打倒するための反乱が起きているのか? トランプ政権はベネズエラ政府に対してどのような立場を取っているのか?

カラカスでは、反政府派の抗議者と政府法務執行当局との紛争がエスカレートしている。グアイドは最終段階に入ったとし、 彼が大統領であると宣言したと伝えられている。ベネズエラでは暴力と極度に高いインフレーションで混沌たる状況である。そのような現状で、反政府の動きが台頭するのは、南米に見られる歴史的風潮である。前大統領ヒューゴ.シャベェズは石油生産を促進し、ベネズエラの経済を安定化させたが、彼の後継者であるマデューロは、経済政策に失敗したため、国民の不満が爆発した。グアイドのような政治リーダーはマデューロ政権の打倒を試み、数ヶ月前平和的に始まった反政府運動は今日混沌たる状況になっている。

最大都市カラカスに首都があるベネズエラは南アメリカの北海岸に位置し、 人口約3,200万人の国である。この国の公用語はスペイン語であり、70%以上がカトリック教徒で、約52%はMestizo (メスティーゾ:ラテンアメリカで使用されている用語で、ヨーロッパとアメリカ原住民との混血を指す)、約44%はヨーロッパ系の白人で構成されている。ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を保持し、世界有数の石油輸出国であり、国連加盟国である。ベネズエラ前大統領シャベェズは、初期の段階で、経済向上を推進し、社会福祉政策を強化することで経済的不平等や貧困を軽減したポピュリストであった。しかし、彼の社会福祉政策は、国の経済を不安定化し、過剰なインフレ、経済不況、失業の激増、貧困と犯罪の増加を招いた。2017年までにベネズエラは債務不履行を宣言し、翌年には超インフレーションに直面した。更に、ベネズエラでは300万人が国を去るという危機に直面した。2019年の年末までには500万人に達すると予測されている。

2012年から2013年までシャベェズの副大統領であったマデューロは2013年特別大統領選に50%以上の支持を得て勝利し、4月に第46代大統領に就任した。しかし、2019年1月から、ベネズエラ国会の議長であるグアイドとの対立に直面している。経済困窮に不満を持つ国民の抗議活動は2014年から始まり、2016年にはマデューロに対する反対運動が台頭した状況を米国主要メディアが注目していた。抗議活動がエスカレートしていた2018年までにはマデューロを独裁者であると批判する声もあり、アメリカ国家機構(OAS)は、ベネズエラ政府には大統領選挙の期間に顕著な人権侵害があることを報告した。カナダは ベネズエラに対して制裁を課した最初の国である。マデューロが同盟を結んでいる中国、ロシア、イラン、キューバはマデューロ政権を支持し擁護している。一方、カナダ、米国を含む西洋諸国はマデューロの選挙には不正があったと信じており、グアイドを支持している。

トランプ政権の一部は、反政府運動を先導しているグアイドの支持を公的に表明している。トランプ大統領、副大統領マイク.ペンス、及び国務長官マイク.ポンペオは、いずれもグアイド側に立っていることを示唆するツイートを30日に投稿した。ペンスは「グアイド、国民議会、そして今日街に向かっているベネズエラの全ての自由を愛する人々による政府打倒を奨励します。私たちは貴方達と一緒です。自由と民主主義が回復するまでアメリカは貴方と一緒にいるでしょう」と書いた。ポンペオは「本日、暫定大統領のフアン.グアイドが政府打倒の開始を発表しました。米国政府は、自由と民主主義を求めるベネズエラの人々を完全に支援しています。民主主義を破ることはできません」とツイートした。 トランプは30日午前11時23分の投稿で「私はベネズエラの状況を非常に注意深く監視しています。アメリカはベネズエラの人々と彼らの自由のために立っています!」とのメッセージを送った。

2019年4月30日のベネズエラの現状は一般的なクーデターの定義に近い状況であるため、クーデターと呼ばれている。クーデター(またはクー)とは、独裁者、軍隊、政治グループによって違法な権力を得るため、政府の打倒を試みる憲法違反の行為である。ベネズエラで行われている政府打倒の運動は、政府に不満を抱く一般市民を代表する政治家が政権交代を先導している。しかし、大統領ニコラス. マデューロは二回選挙で選出され、今年1月10日に、国民議会の前で宣誓を行った合法的な大統領である。マデューロの宣誓から約二週間後、フアン.グアイドは彼が暫定的大統領であると宣言した。暴力と化したカラカスで、抗議者に向けた軍用車が誰かを負傷させたかどうかについては、現在明白ではない。マデューロ大統領は、軍隊、憲法は彼の側であると主張しており、軍隊の中に暴力を促進した小グループの裏切り者がいると政府関係者は述べているとのツイートが公開されている。米国政府の動向の観点から、ベネズエラの状況は今後も注目されると思われる。

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