By NPR
一部の民主党大統領候補者は、所得の平等性を訴えているが、長年米国の人種による所得格差は根強い状況がある。アジア系アメリカ人は最も高収入のグループであり、黒人は最下位である。このパターンは約50年続いており、人種による所得格差の現状を候補者が変えることは非常に困難であることを示唆する幾つかの理由がある。研究者は、その格差の多大な一因が移民法や移民のパターンにもあると指摘している。
1967年から2017年の米国国勢調査による人種別所帯の収入は以下の通りである。
| 人種別 | 1990年 | 2010年 | 2017年 |
| アジア | 70,000 | 75,000 | 81,000 |
| 白人 | 59,000 | 65,000 | 68,000 |
| ヒスパニック | 40,000 | 45,000 | 50,000 |
| 黒人 | 33,000 | 39,000 | 40,000 |
2018年7月12日に公表したピュー.リサーチ.センターによると、同機関は1970年から2016年までにアジア系の所得は二倍になっていることを発見したが、アジア系アメリカ人の年間所得は黒人の二倍以上になっていることを示している。同期間にアジア系の所得は77%上昇し、白人は24%、ヒスパニック系は15%、黒人は7%増加した。総体的にアジア人は米国で最も高収入の人種グループである。人種および民族グループ間の所得格差は根強いものがあり、場合によっては1970年より拡大している。
アジア系とヒスパニックの人口層が経験している所得格差は一部移民パターンに関連性がある。例えば、1970年から2016年にかけて、アジア系成人の人口増加の81%は移民が占めていた。しかし、1965年の移民および国籍法は、家族の再統一のために多くの国からの移住者を引き寄せた。その後、高度技術を基本にした H-1Bビザ.プログラムが導入された結果、米国のアジア人の間で教育水準と所得が大きく変動した。2015年には、ブータン人の9%(中間所得 $36,000)からインド人の72%($100,000)まで、成人25歳またはそれ以上で、少なくとも学士号を取得した移民が増加した。
一方、同期間のヒスパニック系移民の50%は不法入国者である。これはヒスパニック系アメリア人の教育水準と所得を低下させる要因になった。2015年には、25歳以上で外国生まれのヒスパニック系の47%は高校を卒業していなかった。これは米国総人口の13%より遥かに高い。ピューの分析によると、少なくとも学士号を取得したヒスパニック系移民は、米国全体の31%のアメリカ人と比較して、わずか11%であった。低スキル及び低所得の移民の流入は、ヒスパニック系の所得成長率に多大な影響を及ぼした可能性がある。アジア系とヒスパニックの移民のパターンは米国の人種間の所得格差を生む要因であり1970年以来、根強く続いている。
しかし、黒人は米国で最下位の所得グループであり、これも根強い傾向がある。ブルッキングスの複数の研究者は彼らの研究で、貧困層の黒人アメリカ人は「他の人種グループ、特に白人と比較して、所得の上層階級に上がる可能性は遥かに低い」と述べている。その理由は「教育の不平等、近隣への影響、職場での差別、子育て、クレジットへのアクセス、監禁率など、様々な要因が働いている」からであると指摘している。つまり、貧困の持続、その大部分は貧しい黒人男性が人種による所得格差の要因になっていると指摘している。 ⑴ 4,200人の白人および黒人のアメリカ人に関するデータを使用した研究では、28歳から35歳までの対象者のうち、家庭の収入分布の最貧層の1/5の世帯に生まれた黒人男性は54%で、黒人女性は34%、白人女性は29%、白人男性は22%であった。⑵ 白人および黒人の子供たちは非常に異なる経済状況に生まれている。白人の子供たちの10人に1人以上の割合に比較して、黒人男女のほぼ半数は、所得分布の下位1/5の世帯に属している。⑶ 黒人は白人に比較して、貧困に陥り抜け出すことが不可能なケースが遥かに高い。黒人女性の場合は62%で黒人男性が直面している50%のリスクを超えている。白人女性は33%で白人男性の 28%より高い。
トランプ政権は、合法的移民を高度技術者と高学歴者に限定するメリットを基本にした移民法を奨励しているが、それが人種の所得格差を縮小する要因になるだろうか? なぜ、黒人は所得が最下位なのか? これらの研究はメリット.ベースの移民法が、その根本的な原因を解決することにはならないことを示唆している。米国の移民における人種的背景は異なっており、結果的にその違いが所得格差を生み出すと研究者は指摘している。特に黒人の貧困率は最も高く、そこから抜け出すことが困難な原因は、奴隷制度、人種分離、ジム.クロウ法があった米国で、黒人に対する差別や偏見が根強い歴史的および社会的背景があることを暗示している。全ての人類には平等の機会があり、全ての人々はそれぞれ同等に能力や才能を備えているが、それを育む環境には、個人差がある。差別的な職場、差別的な待遇、差別的な環境の中では、本来個人が備えている能力や才能を引き延ばすことが困難になる場合が多々ある。2020年の総選挙のキャンペーンで、エリザベス.ウォーレン、バーニー.サンダース、カマラ.ハリスなど多数の民主党候補者は、所得のギャップを埋める為、無料の高度教育や低所得者への税額控除を含む経済政策をアピールしている。しかし、どうしたら黒人有権者が貧困から抜け出すことが可能になるのか、そのような点にもフォーカスする必要がある。