パンデミックのロックダウンによる経済的な打撃から、一般国民を保護するための安全ネットは米国とヨーロッパでは異なっている。救済資金の提供、家族有給休暇、社会保障の貢献の観点から米国と幾つかのヨーロッパ諸国と比較した場合、米国の福祉政策は世界大国にしてはそれほど寛大ではない事を示唆している。
救済資金の提供
米国:現在約3.300万人以上が失業保険の給付を申請しており、失業率は14.7%に急上昇している中で、議会は法案の可決によって二兆ドルを超える経済刺激措置から年間で75,000ドル以下の納税者1人あたりに最大1,200ドルが支払われた。新型コロナウイルスのロックダウンによる不況期間に米国の労働者は失業する可能性が高い為、同時に健康保険も失う可能性がある。最悪の場合、ローンの支払いさえ不可能になり、ホームレスになるリスクもある。3月27日に通過した2兆ドルを超える刺激策には、給与保護プログラム(PPP)が含まれており、この給与保護プログラムの資金は、現在枯渇した為、議会は再度約1兆ドルの法案を制定する動きがあるが、幾つかの問題を抱えている。
ヨーロッパ:議会の認可を必要とせず、現存する「賃金支援プログラム」によって自動的にお金は人々に給付されている。ヨーロッパの納税者は、高い税金を支払っている為、その税金は最悪の時に賃金支援プログラムによって支払われているシステムになっている。これは、米国より迅速な対応を可能にする。また、ヨーロッパは解雇に関連するコストを避けるため、Short Time Work (STW)と呼ばれる「時短労働政策」を採用している。例えば、ドイツは何十年もこの政策を採用しており、景気後退にそれらを使用し、失われた純利益の60%から87%を支払うことで労働時間を短縮した労働者を補償している。このシステム下で、ドイツの企業は2008年から2009年の金融危機期間に従業員を解雇せず、保持した為、市場の状況が改善したときに簡単に生産を再開することを可能にしている。
米国のPPP (Paycheck Protection Program又は給与保護プログラム)は政府によって直接管理されているのではなく、民間銀行が管理するローンを通して、誰がお金を受理するか又は誰が入手しないかを銀行に決定させている。財務省の資料によると、PPPは小規模ビジネス又は中小企業に対する給与保護プログラムであり、「最大8週間の給与計算費用を支払うための資金」を提供する。この資金は、住宅ローンの利息、家賃、光熱費の支払いにも使用することが可能である。米国はPPPとは別に、7月までの連邦支援を通して、週600ドルの失業保険が支払われている。
一方、ヨーロッパ、特にドイツの合法的システムであるSTWは失業手当と競合せず、直接、賃金を助成している。企業は労働者を解雇する前に通知する必要があり、最大7か月の通知期間に政府は賃金の資金を企業に支払い続ける必要がある。つまり、ドイツ政府は支援の基準を満たす全ての企業と労働者に助成金を支払っている。米国の同等企業とは異なり、ドイツの企業は限られた資金の範囲で争う必要はないことという違いがある。
このようなシステムが可能である理由の一つは、所得税を高く課税することで、政府は災難に備えた歳入を利用しているためである。経済発展と世界貿易を促進するため、1961年に設立され37か国が加盟する政府間経済組織である経済協力開発機構OECDの個人所得税に関するデーターによると、2018年のOECDの平均はGDPの8.3%である。これらをG7諸国で見ると、日本は6.0 %、イギリスが 9.1%、フランスでは9.5 %、米国は9.9%、ドイツ10.4 % 、イタリアが 10.8%、最も高いカナダでは平均より遥かに 高い 12.0%である。米国の税金は最も高いという一部共和党の主張が正確であるとは言えない。
家族有給休暇
家族有給休暇が利用可能な国では、特にパンデミック中の不況による経済リスクを軽減することが可能になる。米国には民間の雇用主が有給の家族休暇を提供することを義務付けている連邦法はないため、ほとんどの会社は妊産婦の有給休暇を提供していない。現在、民間部門で労働者のわずか16%が有給の家族休暇を利用可能である。一部の州では、有給家族休暇を4〜10週間提供している。米国は、新たに母になった労働者に有給休暇を提供していない唯一の国である。
ヨーロッパの場合、フランスで、母親は最初の子供に対して、少なくとも10週から16週間の休暇を取得する権利があり、3人目以降は26週間の有給休暇が許可されている。フィンランドでは、2021年から、政府は性別や子供の実父母の有無に関係なく、すべての親に休暇を与える計画である。新しい法律下で、それぞれ親は164日、両親で328日の休暇を取ることが許可される。デンマークでは、新らに母になった女性は、出産前の4週間と出産後の14週間の合計18週間の産休を得ることができる。14週間の期間中、父親は2週間連続で休暇を取ることもできる。その時点から、両親はさらに32週間の休暇を割ることができる。彼らは子供または親が病気になった場合、休暇をさらに14週間延長することが可能である。政府は法律に基づき、52週間の給与を提供しているが、給与は常に満額ではないものの、米国とは比較ならないほど優れている。
社会保障の貢献
米国のソーシャル.セキュリテイと呼ばれる連邦社会保障は、一般的に退職者および障害者保険プログラムについて言及している。OECDのデーターによると、社会保障の貢献、いわゆる退職後の年金の割合をG7の7カ国で見ると、2018年のOECDの平均はGDPの9.4%で、米国は6.1%である。米国での退職後の年金には障害者保障が含まれている為、例えば、ベトナム戦争及び他の紛争で負傷又は障害者になった退役軍人には幾つかの障害賠償が支払われている。このような社会保障制度の貢献割合を米国の6.1%とヨーロッパと比較すると、低い順から、カナダが4.6%、英国は6.4 %、イタリアでは13.1% 、ドイツでは14.4 %、フランスは16.1%である。
二人のハーバード大学の研究者と一人のダートマス大学の専門家によるブルッキングスの文献によると、「アメリカはヨーロッパ.スタイルの福祉国家ではない」幾つかの理由があり、ヨーロッパは米国より「社会プログラムに寛大」であると述べている。又、米国とヨーロッパを比較すると、ヨーロッパの税制はより進歩的であり、貧しい人々を保護するために設計されたヨーロッパの規制はもっと煩わしいと述べている。つまり、エコノミストらは、アメリカの福祉政策はヨーロッパに比較すると寛大ではない為、不況になると労働者は厳しい状況に直面する傾向があると示唆している。研究者はその理由について、米国は経済、政治、行動に違いがあると説明している。