最高裁は2020年7月9日の今日、トランプ大統領の財務関書類を召喚していたニューヨークの検事と下院議会の二つの判例に対する決定で、大統領は召喚に従う必要のない「絶対的な免除」があるとのトランプ大統領と彼の弁護士の主張を圧倒的多数派で拒否した。つまり、トランプは犯罪捜査に必要な財務書類の召喚を阻止する権力はないと判定した。トランプが約4年間執拗に続けた彼の財務に関する秘密保持は、取り敢えず終止符を打つことになる。トランプ大統領の財務書類に関する最高裁の判定は何を意味する? 法律の専門家は、今日の最高裁の判定にどのように反応しているだろうか?
最高裁は7対2の圧倒的支持で、トランプ大統領の財務書類を彼の会計事務所と取引銀行に召喚していたニューヨーク市の検事事務所の主張を支持し、選挙財政法違反の捜査を行っていた当局が再度、捜査に戻ることを可能にした。一方、議会の召喚に対しては、その要求を阻止した。首席判事のジョン.ロバーツ、トランプに指名された二人の判事ニール.ゴーサッチおよびブレッド.カヴァナフはリベラル派4人の判事に参加した。ホワイトハウスに関連する判例では、ほとんどトランプに有利な決定をする強固な保守派のサミエル.アリートとクレアランス.トーマスはこの決定に異議を唱えた。
トランプの財務書類の召喚を求めた下院議会に対する最高裁の判定は一時的なものである。議会の調査は、ニューヨークの検事が行なっている範囲を遥かに超えていた為である。例えば、下院議会の召喚は3つの委員会の要求に基づいており、トランプ組織の7つのビジネスおよびトランプと彼の三人の子供たち(トランプ.ジュニア、イバンカ、エリック)の個人会計も含まれていた為、もっと焦点を絞る必要があるとして、再度挑戦する可能性を与えている。昨年、トランプの弁護士は、議会の要求は広範すぎて、対応不可能であるとの苦情を述べていたが、最高裁はその点について、トランプの弁護士側を支持したことを示唆した。又、行政と立法府の権力のバランスを維持する為にも、議会がトランプの個人情報を得ることを一時的に阻止したことを示唆した。
9日の最高裁の決定はトランプの犯罪捜査を行なっているニューヨークの検事事務所がトランプの財務書類を入手することを可能にし、トランプと彼の弁護士が主張した大統領の「絶対的」な特権を拒否することで、大統領の権限には限度があることを明白にした。議会には要求の範囲を制限したこの驚異的な決定は、全てを知る権利のある国民、および調査の権威を持つ下院議会の勝利であると言える。9日に公開された意見書で7 人の多数派を代表したジョン.ロバーツ首席判事は、ウォーターゲート事件で調査の対象下に置かれたリチャード.ニクソンが隠匿していた大統領執務室での会話のテープを差し出す結果になったと説明し、「刑事訴訟」で証拠を要求された場合、大統領さえ、法に従う必要があり、その「一般的義務を超えた権利」を保持する人は存在しないと述べている。
今日の最高裁の判定について、憲法の専門家は圧倒的に、大統領が「法の上」にいるとの姿勢を維持してきたトランプのその主張を打破した最高裁の決定を称賛した。ハーバード大学法学部の憲法学者であるニコラス.ボウイは「今日の決定は大統領が法律の上に座り、すべての調査から免除されるという大統領の弁護士による並はずれた議論を正しく却下しました」と述べた。又、この決定は「アメリカ国民に代わって、効果的に立法化するために必要な情報を入手するための議会の権限に新たな制限を導入しました。二世紀にわたって、議会は大統領を含むすべての連邦役人が忠実且つ合法的に法律を執行していることを明確にする為、行政部門を調査してきました」と述べた。最高裁の議会に対する判決は、議会が伝統的に大統領を召喚する権力を将来弱体化する可能性がある礎を築いたと述べた。又、「議会はこの新しい制限と引き換えにほとんど何も得ません。アメリカ人は11月の選挙後まで、議会が要求した情報を見る可能性は低いと思われます」と述べた。
今年1月開催された上院での弾劾裁判で、トランプを擁護した元ハーバード法律教授のアラン.デルショウィッツは、9日の最高裁の判定によって「全米の検察官が現職の大統領を調査できるようになるため、米国の大統領職にとってあまり良い日でありません」と言った。全米全ての検察官が同時に大統領を捜査するはずはないので、大統領が犯した犯罪の管轄の検察官が捜査を行うことができることを示唆した。又、ハーバード大学法学部教授のローレンス.トライブはトランプの犯罪を調査するための、財務記録に対する州および地方の大陪審の召喚状から、トランプが「絶対的に免責されることはない」と述べ、大統領には彼を保護する絶対的な「盾は与えられていない」と述べた。ハーバード大学法学部の憲法学教授であるトミコ.ブラウン-ナギンは「トランプ対ヴァンスでの最高裁の決定に私は満足しているが、驚いていない」と述べ、大統領も他の人々と同様に「法の支配に従うべきであると定めている極めて重要な(米国憲法)の原則」を明白にしたと述べた。
ニューヨーク市の検事事務所が求めていたトランプの財務書類は、選挙前に公開される可能性はほとんどないというのが一般的な味方である。既に、トランプの個人弁護士であったマイケル.コーエンは昨年議会で、トランプが税金操作をしていたことを証言した為、国民は既に税金詐欺行為があったとの疑惑を抱いている。ニューヨークの検事当局は、最高裁の判決によって、トランプの会計事務所と取引銀行に対して、捜査に関連する全ての書類を押収する権利を与えられた。トランプ対ヴァンスの判例に関与したマンハッタンのニューヨーク郡地方検事であるサイラス.ヴァンス.ジュニアは、2020年7月9日の声明文で「これは私たちの国の司法システムとその創設原則にとって素晴らしい勝利であり、大統領でさえ、法律を超える者はいない」との法の平等性を示したと述べた。又、ヴァンスは「この訴訟で1年近く延期された調査は再開され、法と事実を遵守するという厳格な義務に常に従う大陪審が先導する可能性があります」と述べた。大陪審によって監督される書類を含む証拠は、選挙後も一般公開されない可能性があることを示唆した。つまり、一般の有権者が選挙前に詳細な情報を知る可能性はほとんどないが、最高裁の画期的な判定の状況に基づき、トランプ大統領の再選は益々困難になる可能性が高いことを示唆している。