従来独立した郵政公社は劇的な政治化の動き

Postmaster General Louis DeJoy Denies Steven Mnuchin Role in Post ...2020年8月21日 By    Esquire

米国郵政公社は、歴史的に最も信頼されている機関である。長年、郵便の遅れや紛失などの問題は圧倒的に少なく、半世紀もわたって、安定した独立したシステム下で運営されていた。しかし、突然、選挙数ヶ月前に前例のない混沌が起きている。連邦政府とは孤立した機関であるが、トランプに指名された郵政公社の理事会共和党メンバーは、今年早期、財務省と秘密の会合を行った。その半年後、トランプの選挙に寄付したビジネスマンが6月に郵便局長に就任した。現在、議会両院の委員会はその郵便局長を召喚し、21日には上院国土安全保障委員会での遠隔公聴会が行われ、元米郵政公社の理事会メンバーの一人は、トランプ政権が郵便局を党派的に政治化していると証言した。トランプおよび共和党に大金を寄付した驚くべきビジネスの経歴を持つ人物が郵便局長に選択されたプロセスにはトランプ政権が直接関与していた。トランプ政権は、郵便投票で行われる2020年の選挙も操作しているように見られている。

今年はCovid-19の蔓延下での総選挙のため、郵便投票が前例のない規模で驚異的に増加すると予測されている。特に民主党州で圧倒的に多い郵便投票は、自動的に投票登録者に発送する州と、投票用紙を要請する個人のみに発送する州の規定下で行われる場合がある。トランプと彼の政権は証拠もなく、自動的に有権者に投票用紙を発送する郵便投票は安全ではなく、不正投票に繋がると主張し、自動郵送を採用している州の幾つかを告訴した。ペンシルベニア州は接戦州であるが、トランプ政権は8月初旬のネバダ州に対する告訴に加えて、ペンシルベニア州に対しても告訴した為、同州から対訴訟を提起されているなど、法的争いがエスカレートしている。そのような状況下で、郵便局長のルイ.デジョイは21日、共和党支配の上院国家安全保障委員会での遠隔証言で、現在行っている変更は11月3日の選挙後まで延期すると述べた。また、郵便投票は可能な限り、タイムリーに郵送すると述べた。しかし、回収した郵便箱や分類機械を元に戻すかどうかを聞かれ、デジョイは、除去した物は不要品である為、その意図はないと答えた。

トランプと彼の政権は、コロナウイルスの蔓延の前から、既に郵便局を削減する動きがあったことが22日に報告された。ニューヨーク.タイムス(NYT)によると、郵政公社理事会の2人の共和党メンバーは今年2月に財務省の長官スティーブ.マヌーチン(右)に招待され「非常に珍しい」会合を行った。それは、新たな郵便局長を探す為であった。トランプ政権は、マヌーチンを通して、次の郵便局長を選出するプロセスに関与しただけでなく、当時理事会に参加していた2人の民主党理事会メンバーをその財務省会議に招待しなかった。この会議には定数の理事会メンバーが含まれていなかったため、公式の理事会会議に適用される法律は行使されず、正式な郵政公社の記録や議事録は存在しない。マヌーチンと少数の共和党理事会との交流は「会議をさらに重要なもの」にした。12日後、トランプはマヌーチンに「郵便改革タスクフォースを担当させる大統領令」を発動した。二人の共和党の理事会メンバーとマヌーチンとの2月の会議の数週間後、2017年にトランプに任命された総裁で出席者の一人であるロバート.ダンカンは、郵便局長としてルイ.デジョイを選択した。ダンカンは2018年8月に上院により郵政理事会のメンバーとして承認された共和党全国委員会の元会長である。過去2年間、マヌーチンはダンカンと郵便事案について何度か非公開で会った記録がある。

マヌーチンとの会合から3か月後に、理事会の総裁は75番目の郵便局長としてデジョイの選出を発表した。数週間以内に、彼は残業時間の削減や郵便配達回数の制限などの変更を実施し始めた。 彼は郵便時間を短縮し、運送業務は厳格なスケジュールに従う必要があることを義務付けた。郵政公社からの7月のメモは、変更により、一時的に「郵便物は作業室の床またはドックに置かれたままになる」可能性があると警告した。これらの措置はタスクフォース報告の勧告と一致し、郵便局は「無駄、非効率、メール量の減少への対応の失敗による数十億の損失」があると指摘した。しかし、選挙のわずか数ヶ月前の急速な変化は、郵政公社内部関係者の懸念を高めた。彼らは、少なくともオバマ政権以来、政府機関は一般的に総選挙から2〜3か月以内に大幅な変更を避けるよう努めてきたと述べた。その急速な変化に伴い、郵便局に郵便物がたまり、退役軍人は薬を受け取っておらず、請求書は遅れて届き、今年11月に記録的な郵便投票数を処理する郵便局の能力について疑問が浮上し始めた。この懸念は州および連邦政府の議員および公民権団体からきている。彼らの悲鳴に直面し、デジョイは現行中の変化を一時停止すると述べたことが報告されたが、21日の公聴会で、選挙後、値上げや残業時間の制限などの「劇的な」措置を講じる計画を明白にした。郵政公社の従業員や労働組合の役員は「すでに大きな被害が出ている」と語った。何百もの郵便物の分類機が取り除かれ、日々の変化により、様々な部門での労働者の間で混乱と遅延が生じているという。郵政公社の元理事会のメンバーであったデイビッド.ウィリアムズは、同日の公聴会で、懸念があったデジョイが指名された為に辞任したことやおよび理事会の「独立した役割が失われたことを確信した」ことを語り、国の独立した郵政公社に関する表明は「もはや真実ではない」と証言した。また、ウィリアムズは、「郵便局を政治的道具に変える」ため、機関の資金調達に財務省の役割をマヌーチンが使用したと非難した。

現在、郵便の急増に対処する事を妨害しているとの苦情に直面しているトランプ政権は「郵便局を政治化」していると批判されている。今年始めて、トランプ政権はその郵便局に関する議題を実施する方法を発見した。それは「Covid-19のパンデミックと近づいている選挙に衝突する」ことである。トランプに忠誠的な財務省長官マヌーチンを通して、共和党とトランプに寄付した新たな郵便局長デジョイは「トランプが追求した議題を推進する上で重要な役割」を果たしている。郵政公社の元メンバーおよび会長であるデイビッド.ファインマンは、トランプ政権の財務省長官が郵便局の業務に密接に関与していることは「まったく前例のないことです」と述べた。デジョイが選択された理由は、戦略能力があり、厳しい罰則を課すリーダーシップ.スタイルと効率化する能力があること及び2017年10月ノース.キャロライナ州の自宅でトランプの再選キャンペーンのための募金活動を主催したことである。

トランプが郵政公社を党派的に政治化している理由は他にもある。トランプの郵便局に対する敵意は「2013年に遡り、就任して2017年後半に新たな焦点を見つけた時にエスカレートした。つまり、頻繁にトランプを批判するワシントン.ポストの所有者はアマゾンの最高経営責任者であるジェフ.ベゾスである。加えて、アマゾンは数年前まで、アマゾンの購入者から顧客に製品購入に税金を含めていなかった。また、現在もほとんどの購入製品の返却を無料にしている。トランプは 2018年3月31日のツイートで「この郵便局の詐欺は停止する必要があります。実際の費用(および税金)を今すぐ支払う必要があります!」と「攻撃」のメッセージを書いている。アマゾンに対する攻撃はリベラル系のワシントン.ポストに対する批判であると、NYTは指摘している。

デジョイ(63歳)は、ロングアイランドで父親のトラック輸送会社を従業員10人の小さな店から、ボーイング、ボライゾン、郵便局との有利な契約を獲得した全国的な物流およびサプライ.チェーン.プロバイダーに変身させた。2014年までに、彼がXPOを6億1,500万ドルで販売した頃、同社には約7,000人の従業員がいた。その驚異的な成長には代償が伴った。物流業界では、スピードが売り物である。彼が経営するニュー.ブリード.ロジステックスは、商品を可能な限り早く家庭に届けるため、アマゾンと競合している。2018年のNYTの調査によると、その目標を追求するために、同社は労働者に過酷な労働を強いた。メンフィスにある同社の倉庫内では、何百人もの労働者の多くは女性であるが、重量が20 Kgにおよぶ箱を持ち上げて引きずらせていた。お金を節約するために、気温が約38 C(100 F)度を超える南部の真夏でさえ、エアコンを設置しなかった。また、倉庫の従業員は「ポイント制」を使用して懲戒された。このシステムでは、10ポイントを貯めると解雇される。医者に行くために休憩を要求し、休憩に時間がかかりすぎるとポイントが増えるシステムである。2013年、雇用機会均等委員会は性的嫌がらせを受けたと非難した3人の女性従業員を代表して訴訟を起こした時、150万ドルを支払うよう裁判所に命じられた。

インターネットでの電子メールが利用可能になって以来、手紙や書類は大幅に減少したことは誰でも想像可能である。利益が減少し、資金が不足している郵便局の現状を理解している民主党主導の下院議会は、突然の変化による混乱の中で郵送が遅れる可能性があるデジョイの方針を停止するため、USPSに250億ドルを提供する法案を22日可決した。上院議会は夏休み中であるため、9月に上院が再開されるまで進歩は期待できない。問題はトランプが郵便投票を促進する為の法案には拒否権を行使すると脅していることである。米国では50年以上、郵便局が「政治的影響」を受けたことはない独立した機関であり、郵便局長は閣僚ではない為、大統領によって任命されることはない。その代わりに、郵便局長は理事会によって選ばれ、理事会の席は大統領によって指名された両党のメンバーによって保持され、それぞれ7年間の任期が上院によって承認されている。しかし、その従来のプロセスは、トランプ政権下の財務省が郵便局長を選択する過程で大幅に関与した為、長年みられない郵政公社への党派的な政治化が起きている。調査機能のあるニューヨーク.タイムスの4人の記者による詳細な報告は、トランプ.キャンペーンが2016年の大統領選を援助したロシアと顕著なコンタクトがあったことを上院情報委員会が公開した後も引き続き、2020年の選挙を盗む動きがあると批判されている。民主党が管理する下院監視改革委員会は、24日にデジョイとダンカンに対する公聴会を行う予定である。

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