トランプ大統領の反移民の政策は、米史上200年以上続いている10年に一回の国勢調査から不法移民の住民を除外することも含まれている。国勢調査の目的は、全ての米国居住者の人数を正確に数えることが目的であるが、トランプ政権の試みは、法律と憲法を無視し、簡単に不法移民を除外する事である。複数の下級裁判所はそのトランプの計画をブロックしている為、この訴訟に関与することに重みを置いている米国最高裁は、明日(30日)に聴聞会を行う予定である。リベラル派の最高裁判事ルース.ベーダー.ギンズバーグの後継者として、トランプの指名者である保守派エイミー.バレット判事が就任した後、3対6の保守的優位性がある最高裁がこの課題で、どのように対処するかどうか不明である。これは幾つかの側面で、政治的に著しい重要性がある。
米国は1970年8月2日に、最初の人口動態を認識する為の試みとして10年に一回の国勢調査を実施している。米国の憲法は、移民の地位に関係なく、米国で暮らしている人々を人口統計に含める事を要求している。しかし、2017年1月以来、トランプと彼の政権は不法移民に対して、徹底した差別政策を掲げ、試行錯誤を繰り返しながらもイスラム教徒の米国入国禁止に成功した。又、合法的な移民の数も制限し、難民政策でも難民の数を大幅に減少させた。さらに、政治、社会、及び経済的苦境から逃れて、米国の国境を超える中央アメリカからの亡命者を逮捕し、子供達を両親から引き離し、オリの中に拘束する冷淡な「許容ゼロ」政策を遂行した。そして、最も顕著な動きは、2020年の国勢調査において、トランプ政権の商務省は国勢調査から不法移民の住民を除外することを計画した。その最初の試みとして、トランプ政権は2018年3月、2020年国勢調査に「貴方は米国市民ですか?」との質問を追加すると発表した。専門家は、そのような質問は多くの移民が恐れ、国勢調査をボイコットするのではないかとの懸念を表明した。しかし、最高裁は2019年6月27日の5対4の判定で、2020年の国勢調査フォームに市民権についての質問を含めることはできないと裁定した。最高裁首席判事ジョン.ロバーツは、その当時4人のリベラル派に参加した。
トランプ大統領の選挙敗北から3週間以上が経過している現在、既に政権交代の移行準備に入っている中で、最高裁はトランプが今年7月中旬、米国下院の地区を割り当てる際に、不法移民の人口を数えない事を求める行政命令を発行した事件の聴聞を30日に行う予定である。トランプは国勢調査局を監督する商務省への署名の覚書に「以前、私は米国市民ですと誇らしげに宣言できる時代がありました。しかし今、急進的な左翼はこの概念の存在を抹消し、私たちの国の不法滞在者の数を隠そうとしています。これはすべて、アメリカ市民の権利を侵食するためのより広範な左翼の努力の一部であり、私はそれを支持しません」と述べた。その後、カリフォルニア、ニューヨーク、メリーランド、ワシントンD.Cなどで、訴訟が提起され、移民の住民が多いこれらの州の下級裁判所は、国勢調査法である連邦法と憲法に違反していると判定し、トランプの命令をブロックした。下院議会多数派の民主党議員らは、トランプの計画は党派的な政治目標のためであり、議席の不公平な分配をもたらすと述べ、これは、前代未聞の非合法的且つ厄介な方法で「国勢調査を操作する」最新の試みであると批判している。
最高裁はトランプの不法移民を国勢調査の集計から除外する命令に関する公聴会を重視している。パンデミックの為、30日の電話会議で、約一時間半の口頭弁論を聞く予定であると報告されている。米国には少なくとも1,100万人の不法移民が在住している為、彼らの人口数が除外された場合、人口数によって割り当てられている下院議席数は減少する。特に人口の多いカリフォルニア、ニューヨーク、テキサスなどは最も影響を受ける。テキサスはわずか1議席失う程度であるが、トランプ政権は、全米で不法移民1,100万人中、約200万人はカリフォルニアに集中していると主張し、この200万人の不法移民をカリフォルニアの国勢調査から除外すると、同州の米国下院議会の議席は複数減少すると予測している。加えて、不法移民の人口数が国勢調査に反映しない場合、各州に割り当てられる連邦資金にも多大な影響が出てくる可能性が高い。憲法はそれぞれの州に住む人々の数を基本に下院議会の議席を配分するよう要求している為、トランプの簡単な行政命令でその憲法を変える事はできない。トランプ政権の行動は、政治的に共和党に有利であるが、議席を失う可能性が高い民主党には不利である。
パンデミックの影響で、今年は調査が非常に困難であり、スローである理由に基づき、国勢調査局は議会に2021年4月末までの延長を求めた。下院議会はその要請に応じたが、共和党が支配する上院では、その延期の為の法案は放置された為、現在の締め切りは12月31日である。トランプ政権は、次期大統領ジョー.バイデンが2021年1月20日に就任する前の1月10日までに各州の人口と、その人口に基づき、下院選挙区の数を記載した報告書を議会に提供しなくてはならない。しかし、データーに問題があり、就任以後まで遅れた場合、国勢調査局はそのデーターをバイデン大統領に提出することになる。各州の下院議席の数は、大統領選挙の勝者を決定するために使用される選挙人数にも変化が生じる事を意味する。2020年の選挙ではカリフォルニアで55あった選挙人数は52又は51に減少する可能性がある。ロバーツ首席判事は、市民権の質問を国勢調査に追加するとの最初のトランプの計画を今年9月にブロックする役目を果たした。しかし、バレット判事が就任して以来、中道的役目を果たすロバーツの立場は変わった。独立をアピールした彼女は、最高裁の決定の鍵を握る役目を果たす可能性が高くなるが、この論争的な課題で、市民権の質問に関する裁判では民主党に参加したロバーツと同じ立場を彼女が取るかどうかは不明である。国勢調査の重要な問題に、上院の共和党が党派的な行動を取っている動機は、トランプの計画が共和党に著しく優位に機能する為である。