
By ABC News
米国最高裁は2013年、既に1965年の投票権法の一部を打破している為、驚くことではないが、1日の昨日、最高裁全ての保守派判事は、論争的なアリゾナ州の投票制限の法律を保持する判決を下した。多数派の意見を代表したサミエル.アリート判事は、どのような法律が投票制限または少数派をターゲットにした投票制限法であるかを一般的に、裁判所が判断する為の幾つかの基準を提供した。最高裁の判定は、フランスの著名人が残した有名なコメントを思わせるが、完全に保守派判事とリベラル判事に分かれたその決定は何を意味しているだろうか?
昨年4月30日、民主党全国委員会はアリゾナ州の共和党司法長官マーク.ブルノビッチに対して代理人投票を含むアリゾナ州の2つの選挙政策が違反しているとして、第9巡回区控訴裁判所に訴訟を提起した。最高裁に上訴されたブルノビッチ対民主党全国委員会の判例で、最高裁多数派6人の保守派判事は、同州の規定がいずれも1965年の投票権法に違反しておらず、人種差別的な目的もないと判定した。ニューヨーク.タイムスの7月1日の報告によると、アリゾナ州の共和党によって可決された法律に対する上訴裁判において、最高裁の多数保守派6人対リベラル派3人で却下された。この決定は「投票に制限を課す新たな自由を州に与えた」ことを意味すると、最高裁と法律関連の記事を投稿する同紙のアダム.リプタクが指摘した。彼は「この決定が、投票権に関して数十年で最も重要なもののひとつであり、有権者に特定の影響を与える制限に1965年の投票権法の重要な部分がどのように適用されるかを裁判所が検討したのは初めてです」と述べている。リプタクによると、最高裁の保守派判事の全員は、アリゾナ州の法律が1965年の投票権法セクション2の条項を大幅に弱体化することを意図したものであるとして上訴した民主党全国委員会(DNC)の主張を却下した。セクション2も少数派に対する差別的な選挙政策を禁止しているが、論点は、彼らの投票力を不法に希薄化したかどうかであった。
多数派の意見を代表したサミエル.アリート判事は「州が複数の投票方法を提供している場合、利用可能なオプションの1つを選択することを有権者に課せられた負担は、他の利用可能な手段も考慮せずに評価することはできません」と書いた。少数派リバラル判事の意見を代表したエレナ.ケーガン判事は、この判定が「悲劇的なことは、裁判所が(投票権法を再び)弱体化するために、アメリカの偉大さの記念碑として立ち、その基本的な衝動から保護する法律を書き直したことです」と書いている。また、裁判所は「投票における差別の終焉をもたらすために設計された法律に損害を与えた」とケーガンは書いた。
最高裁は下級裁判所が投票制限に異議を唱える場合に適用するための強固な基準を発表していないとし、アリート判事は「これはこの領域への私たちの最初の進出であるため、これらの場合に、私たちの決定につながる道標を特定することは、現在の目的には十分であると考えています」と書いた。そして、下級裁判所が考慮すべき5つの道標を提供した。それらは、⑴ 異議を唱えられた制限によって課せられる負担は相当なものでなければならないとし、投票には時間がかかり、ほとんどの人にとって、近くの郵便受けに行くだけでもある程度旅行をする。単なる不便だけでは十分ではない。⑵ 裁判所は、異議申し立てがあった規則に長い歴史があるか又は米国で広範に使用されているその程度を考慮すべきである。 ⑶ 異なる人種または民族グループのメンバーに対する少数派グループと非少数派グループの雇用、富、教育の違いによる規則の影響の格差も重要な要素である。⑷ 裁判所は有権者が投票できるすべての方法を検討する必要がある。⑸ 裁判所は州の制限の理由を検討すべきだとし、1つの強力で完全に正当な国の利益は詐欺の防止であると書いた。アリート判事のこれらの基準に対して、ケーガン判事は、多数派の基準リストは「有権者抑圧」を促進すると批判し、議会が少数民族の投票の「権利を保護するための制定法を起草したことを考慮していない」と反論した。
最高裁の判定について、カリフォルニア大学アーバイン校の法学教授であるリチャード.ハーセンは「最高裁判所は6対3の判決で、登録と投票を困難にする法律と戦うための手段として、投票権法のセクション2を大幅に弱体化させました」と述べ、1日のセクション2の解釈で、最高裁の保守派判事は「一部の共和党州が新しい制限的な投票法を可決している時に、投票制限を解除するために利用できるすべての主要な手段を取り上げた」と述べた。また、この結果、「投票規則を可決する際に意図的な人種差別を証明することを困難にし、司法省がジョージア州の新しい投票法に反対する訴訟で勝利することを遥かに困難」にしている。これはセクション2に「致命的な打撃」ではないが、そのような打撃を阻止するための挑戦に成功することはかなり厳しくなると述べている。
要するに、1965年に制定された投票権法の重要な箇所は人種差別に関連のあるセクション5と2である。2013年に、オバマ政権下の司法長官であったエリック.ホルダーが最高裁で論議したアラバマ州の「シェルビー郡対ホルダー」の判例はセクション5に関連しており、人種差別やその他の差別の歴史がある一部の州が、投票法または投票手続きの変更をする際、事前に連邦司法省の承認を得る必要があった。当時、多数派意見を代表した最高裁首席判事のジョン.ロバーツは、黒人と白人の混血である大統領が誕生したような時代に、もはや人種差別は存在しない為、そのような承認は不要である事を意味する判定を下した。ロバーツ判事が率いる多数派の判事は、セクション5を弱体化した言い訳として、「法律のセクション2は、事後に訴訟を許可することによって、投票権を保護するために引き続き有効である」と述べ、セクション2はまだ残っていると示唆した。あれから約8年後の昨日、最高裁はすべての州および地方政府が人種的または言語的に、少数派に差別をもたらす結果になる投票法を制定することを禁止しているセクション2に関連する裁判の判定で、アリゾナの法律を保持した。従って、投票権法における人種および人種差別に関連するこれら二つ条項は、 更に歴史的に弱体化された結果になった。最高裁保守派の判事らが、これらの二つの条項を1965年の法律から削除したわけではないが、アリゾナ州の新たな法律は、少数派の投票を困難にする結果になると懸念されているにも関わらず、最高裁の解釈は全ての有権者が直面する投票制限であるとの一般化をアピールした。
この判定は、1844 年から1924年まで存在したフランスの詩人、ジャーナリスト、小説家のアナトール.フランスの「その荘厳な平等において、法律は、金持ちも貧乏人も同様に、橋の下で眠り、通りで物乞いをし、パンを盗むことを禁じています」とのコメントを思い出す。これはフランスの法律の一般的な適用性について、説明したものであり、す べての人に適用される法律は、あるグループに深刻な影響を与える場合もあれば、別のグループに影響を与えない場合もあることを教えたものである。つまり、最高裁の7月1日の判定は、アナトールの説明を応用することが可能な性質のものであることを意味する。
コロナウイルス蔓延のピーク中で行われた2020年の選挙では、ほぼ全ての州が郵便投票を促進したが、敗北した前大統領によって選挙が「盗まれた」との執拗な虚偽のキャンペーンが続いた為、ほぼ全ての州の共和党は、郵便投票の制限、投票場所の制限、早期投票の制限を含む様々な投票の機会を制限する法律を制定した。アリゾナ州は選挙が終わった数ヶ月後の4月22日から、2020年の投票結果の監査を行い、投票用紙を再度チェックおよび集計するという活動まで展開したが、現在までアリゾナ州で選挙詐欺を発見したとの報告はない。同州選挙当局の共和党の中には、税金を無駄にするそのような活動に憤慨し、公的に批判する人もいれば、選挙の統合性を再度明確にするためであると説明した関係者もいるほど論争的である。そのような現状下で制定されたアリゾナ州の新たな投票法は大幅に投票権を制限しているとして、民主党全国委員会が起訴したものである。2021年7月1日、最高裁は1965年の投票権法を再度、弱体化したことを意味する。