一般的にほとんどの人々は、記載された有効期限が過ぎた食品を廃棄している現実がある。ほとんどの消費者は、食品の有効期限が一般的に安全性に基づいているものと誤解しており、記載されている日付に基づいて、たとえ数日間が過ぎたものでも捨てる習慣があるが、それは正しいことであるかどうかについて疑問を提起している。また、消費者は有効期限に依存していものの、混乱する日付システムを良く理解している人は驚くほど少ないという実態がある。専門家の調査による劇的な報告は経済的、環境的、および倫理的な側面で、有効期限によって促される食品の廃棄に問題があることを示唆している。その60ページ以上の研究報告を以下の通り分類し概略してみた。
ハーバード食品法&政策クリニックとNatural Resources Defense Council(天然資源防衛協議会:NRDC)が共同掲載した2013年9月の研究報告によると、開封されていないパッケージの食品が廃棄される量は驚異的である。アメリカ人は毎年1,600億ポンドの食品を浪費しており、アメリカで生産された食品の推定40%は食べられず廃棄されており、それは埋め立て地を占領し、巨大な食品廃棄物は、経済的、環境的、倫理的に深刻な問題がある。米国での食品損失の割合は、世界の他の地域での多くの食品損失の割合を遥かに超過している。平均的なアメリカの消費者は、東南アジアの平均的な消費者の10倍の食品を浪費している。食品を浪費する主な原因の1つは、食品の有効期限に関連する混乱である。
食品の安全性について消費者は認識不足
食品を廃棄する米国民の歴史的な背景には、近年の都市化により、米国のほとんどの消費者が食品を自己栽培または生産することはないことが挙げられる。一般的に、人々はより多くの加工食品またはパッケージ食品を購入し始め、大量の食品購入に依存している。そのため、食品の鮮度と貯蔵寿命に関する知識がほとんどなく、食品がどれくらいの期間保存できるのか、ほとんど理解していないため、消費者は購入した食品が新鮮であるとの小売業者からの保証に依存している状態である。それらの保証が不安を完全に払拭するのに十分であるという証拠はない。
有効期限の日付設定は食品の衛生と安全性とは無関係
紛らわしい食品の有効期限はアメリカの食品廃棄物の問題にどのように寄与するかを理解するために、日付表示を管理している様々な立法および規制システムを確認する必要がある。しかし、これらの課題に関連する連邦法は存在しない。連邦政府は一般に日付ラベルの使用を要求または規制していないのが現状である。つまり、連邦レベルで統一または調整されていない為、州および地方は、連邦規制の空白下で、日付の使用に関して、非常に多様な設定をしているため、食品表示制度は、複雑さを増しているというのが現状である。また、業界は方向性を提供しようと試みており、一部の食品業界団体は、必ずしも公衆衛生の改善に役立つとは限らない特定の商品の日付表示慣行に関する自主的なガイダンスを作成している。これらのアプローチはいずれも包括的ではないため、個々の製造業者や小売業者は、日付ラベルを実際にどのように表示するかを決定する必要がある。また、消費者は有効期限の切れた食品を安全ではないと誤解していることが問題である。
異なる有効期限の表示に関する混乱と誤解
食品のパッケージには「販売期限」と「使用期限」の二種類がある。研究者は現在の食品の日付システムがこの2つの基本的な方法で消費者に混乱と誤解を招いている。一方、消費者が有効期限に過度に依存した場合、実際のリスクに基づいていない安全上の懸念のため、食品を無駄にしていることを示す証拠がある。例えば、時間や温度の制御など、食品の安全性に影響を与えるより、関連性の高いリスク要因を消費者が無視する原因になっている。表示されている有効期限よりも早く食品を消費する個人に、潜在的に誤った危険な安心感を与える可能性がある。したがって、現在の日付表示システムは、公衆の健康および資源保護を十分に提供したものではない。また、ほとんどの日付表示は、鮮度と品質の指標として意図されているが、多くの消費者はそれらが安全性の指標であると誤解している。米国農務省(USDA)によって資金提供された米国成人の2007年の調査で、回答者の多くは、これらの二つの表示の一般的な意味を特定できず、「販売期限」の意味を正しく説明できる人は44%であり、「使用期限」の意味を正しく理解している人は18%だけであった。かなりの混乱に加えて、消費者の25%は、新しい製品を棚に展示する期間を単に推奨する在庫管理日である「販売期限」の日付を、誤って消費できる最後の日である特定している。別の調査では、91%の消費者は製品の安全性を懸念し、「販売期限」を過ぎている食品を時々廃棄したと報告し、25%は常に廃棄したと報告した。
有効期限を基本に食品を廃棄する経済的損失
この報告書によると、アメリカ人は毎年1,600億ポンドの食品を浪費しており、アメリカで生産された食品の推定40%は食べられずに埋め立て地に廃棄されている。それに基づく、一人当たりの食品損失は年間推定390ドル、4人家族の場合、年間1,560ドルになる。消費者向け食品の10%はごみ処理で失われている。その追加部分を考慮に入れると、食品の経済損失は平均的なアメリカ人の家族で、年間2,275ドルの損失をもたらす可能性がある。また、日付表示の意味について、消費者は誤解しているため、しばしば廃棄される食品の割合は高くなっている。米国では2001年に推定約9億ドル相当の在庫がサプライチェーンから削除された。これは、日付表示に関する標準化の欠如が、経済的損失を引き起こす要因の一つになっていることを意味する。
有効期限に基づく食品廃棄は環境的に問題
経済的損失に加えて、環境面での問題もある。例えば、米国で使用されるすべての淡水の25%以上は、廃棄食品の生産に浪費されている。環境保護局(EPA)は、2010年に3,400万メートルトンを超える食品廃棄物が生成されたと報告している。そのほぼすべては廃棄物の流れに入り、食品はすべての埋め立て地投入量の21%を占めており、米国の埋め立て地に向かう最大の廃棄物源となっている。最も憂慮すべき統計は、米国での食品損失が増加していることである。1974年以来、一人当たりの食料損失は、過去数十年間に50%増加している。 英国およびその他のヨーロッパ諸国で食品廃棄物の削減に取り組んでいる非営利組織であるWRAPが2011年に発表した報告書によると、紛らわしい食品日付ラベルに関する混乱は、廃棄を避けることが可能な家庭の食品廃棄物の推定20%を占めている。日付表示と食品廃棄物に関連する研究は米国ではまだ実施されていないが、これは、米国の埋め立て地に廃棄される食品の量が増加している一因である。
有効期限に基づく食品廃棄の倫理的側面
混乱の要因である有効期限の表示は、安易な食品廃棄につながることも含めて、食品を購入することことさえ苦労し、フードバンクに頼る人たちに提供する場合の倫理的葛藤と面倒なプロセスの手間がある。ワシントンDCと20州は有効期限の日付を超えた食品の販売や寄付を明示的に規制している為、非営利団体に食品を寄付する企業や個人は、食品の安全性に関連する責任について懸念しなくてはならない。つまり、その有効期限の表示があるパッケージはフードバンクへの流通を困難にしている。報告によると、日付が表示されている食品は、倫理的にそのままフードバンクに流通できないため、廃棄せず、過去の日付の食品を再生した後に、食料不安のある個人や家族に配布できる飢餓撲滅組織に転用されている。これは食品の廃棄を減少するための1つのアプローチである。食品廃棄物を軽減するためには、期限切れの食品でも安全で健康的であると判断される場合、過去の日付があるこれらの製品を処理し、フードバンクやスープ.キッチン、ホームレス施設などに配布されている。この倫理的な活動がない場合、埋め立て地に廃棄される食品の数はもっと増える可能性があることを示唆している。
要するに、食品の有効期限の表示のあり方については、連邦政府の統一基準がない為、製造業者や小売業者が、彼らに都合のよい「販売期限」を表示している場合もあれば、消費者を対象に「使用期限」の二つのシステムを利用し、製品やメーカーによって、その表示方法は異なっている。上記の研究報告は、驚異的な割合で、米国人がこれら二つの食品の有効期限の表示を正確に理解していないため、混乱を招き、それが莫大な食品の廃棄に貢献していると伝えている。特に「販売期限」の表示は購入した後に、いつまでに消費するべきか不明であるため、混乱の一因であることを示唆している。研究者の報告は、有効期限に依存するより、自身の臭覚能力を信じる必要があることを示唆している。また、製造業者は、流通が多量で急速であることを望む傾向があることを考慮すると、有効期限は消費者の安全と健康を最優先したものではないことを示唆している。深刻なコロナウイルスが蔓延した2020年のピーク時期には、可能なかぎり混雑する場所に行くことを控えるよう健康当局は国民にアドバイスしたが、常に混んでいるスーパマーケットだけは、現在も例外である。そして、可能な限り、頻繁な食品の買い物を避けるために多量に買い込む客も少なくない。気がつくと、食べる前に有効期限は切れており、その為に廃棄しなくてはならない場合もある。この報告は、特にウイルス蔓延時代に、食品の有効期限の表示と買い物のパターンについて考える機会を与えている。