ユダヤ教寺院を標的にした世界の銃撃事件は何を示唆?

テキサス州コリービルで人質事件が発生し、通報があった後、警察による包囲はダラス郊外の会衆ベス・イスラエル・シナゴーグで、昨日16日に現地時間11:00頃に始まった。4人が人質取りに拘束され、1人は6時間後に解放された。他の3人は更に約6時間拘束され続けた後、警察によって安全に救済された。米英両国の協力体制による捜査が行われている事件は単なる精神的不安定な人物による犯行とは思えない状況がありそうだ。近年起きている国際的なシナゴーグ(ユダヤ教寺院)を標的にした事件で、最も多くの死者が記録されたのは1986年9月にイスタンブールで起きた銃撃事件である。米国では、ユダヤ人に対する憎悪事件は昨年5月だけで200件以上発生している。

昨夜、FBIと地元警察は記者会見で、人質救出チームが建物を突破した後、人質の犯人は銃撃で殺害されたと述べた。しかし、当局は法執行機関によって撃たれたのか又は自殺したのかどうかの質問には答えなかった。また、男は爆発物を持っていたと述べたが、その武器は警察が発見し、押収しかのかどうかの質問にも明白に答えなかった。救出された3人はFBIによってインタビューされており、可能なかぎり早く彼らの家族と再会すると述べた。全員無傷で解放されたが、犯人は死亡した為、動機は不明である。死亡した犯人はイギリスから米国に旅行したイギリス人であり、2人の10代の子供はイギリスで尋問のため拘束されている。

17日の英国紙BBCによると、16日に射殺された男性はブラックバーン出身の英国市民マリク・ファイサル・アクラム(44歳)であり、コリービルで警察の長時間の説得に行き詰まりがあった後に射殺された。日曜日の夜にマンチェスター南部で逮捕された二人の年齢と性別の詳細は明らかにされていない。グレーター・マンチェスター警察は、地元の関係当局と連絡を取り、米国の調査を引き続き支援していると述べた。執行当局は、 2人の10代が「進行中の調査の一部として」逮捕され、尋問のために拘留されていると述べた。プリティ・パテル内務大臣は17日、英国の警察と治安サービスの「完全な支援」を米国国土安全保障省の長官アレハンドロ・マヨルカスに提供したと言った。米国の警察当局はアクラムが2週間前にニューヨークのJFK国際空港を経由して米国に到着し、到着後に事件で使用された拳銃を購入した可能性があると述べている。アクラムの兄弟ガルバーは、ブラックバーン・イスラム教徒地域社会のフェイスブック・ページに掲載された声明で彼の死を確認した。彼は恐怖に直面した人々に謝罪し、彼の兄弟は精神健康の問題に苦しんでいたと言った。警視庁は以前、テロ対策担当官が米国当局およびFBIと接触していることを確認した。最近、アクラムが一人で行動していたのか又は他の人に援助されていたのかを確認するために働いていたと理解されているパキスタンでも調査が行われるという。アクラムの行動は、兄弟が述べているような単なる精神異常者の行動範囲を超え、もっと国際的で計画的な行動であるようにも見える。

昨夜テキサス州のシナゴーグで起きたような人質事件は例外であり、ほとんどの場合、銃撃事件である。1980年代以降の世界のシナゴーグを標的にした銃撃事件を調べると、多数の殺人が浮き彫りになる。例えば、1981年8月29日にオーストリアのウィーンのシナゴーグで、2人のテロリストによるテロ攻撃が発生し、二人が死亡し、18人が負傷した。1982年10月9日当地時間正午頃、ローマ大神殿の入り口で武装したパレスチナのテロリストによる攻撃で2歳の幼児が殺害され、37人の民間人が負傷した。1986年9月6日トルコのイスタンブールにあるネヴェ・シャローム・シナゴーグの銃撃事件では、安息日の礼拝中に銃撃者は22人の崇拝者を殺害し、6人を負傷させた。2014年11月18日の朝、エルサレムからの2人のパレスチナ人男性がエルサレムのシナゴーグに入り、祈っている会衆を斧、ナイフ、銃で攻撃した。1人の警察官、警官に射殺された2人のテロリスト、5人の民間人の合計8人が死亡し、7人の市民が負傷した。2015年2月14日および15日にデンマークのコペンハーゲンで3回の銃撃があり、 合計2人の犠牲者と加害者が死亡し、5人の警官が負傷した。二回目の襲撃は 15日真夜後に、クリスタルゲードにある市内の大シナゴーグの外で発生した。

22018年10月27日、ペンシルベニア州ピッツバーグのスクワレルヒル地区にあるシナゴーグの銃撃は反ユダヤ主義の集団によるもので、11人が死亡し、7人が負傷した。2019年4月27日カリフォルニア州サンディエゴから北20マイル(32 km)にあるポーウェイのシナゴーグ内でAR-15スタイルのライフルで武装した銃撃者が発砲し、ユダヤ人安息日の最終日に1人の女性が殺され、他の3人が負傷した。2019年10月9日、ドイツのザクセンアンハルト州のハレで発生し、銃撃は近くのランツベルクでも続いた。ユダヤ教の祝日中、ハレのシナゴーグに入ろうとして失敗した後、27歳の攻撃者は近くに居た2人を射殺し、2人を負傷させた。以上は、昨日起きたテキサス州コリービルでの人質事件前の主な国際的なシナゴーグ襲撃である。

ユダヤ教寺院をターゲットにした攻撃は、反ユダヤ主義が国際的であることを示唆している。しかし、米国では、数年前から反ユダヤ主義が台頭していると言われている。昨年10月の世論調査によると、アメリカのユダヤ人4人中一人は反ユダヤ主義を経験していると述べている。アメリカ・ユダヤ人委員会(AJC)が昨年10月25日に掲載した情報によると、アメリカにおける反ユダヤ主義は台頭 している。ロスアンゼルスの寿司レストランで食事をしていたユダヤ人は「ユダヤ人の死」を唱える暴徒に残酷に殴打された。ニューヨークのタイムス・スクエアで、ヤムルクを身に着けているユダヤ人の男性は、彼を「汚いユダヤ人」と呼んだ凶悪犯に殴打された。フロリダ州ボカラトンでの平和のための集会は「ホロコーストは決して起こらなかった」というメッセージを掲げたバンを運転していた白人至上主義者に嫌がらせを受けた。これらは、米国で5月に起きたユダヤ人を標的にした反ユダヤ主義事件のわずか一部である。

実際、2021年10月25日にAJCが発表した最新の年次米国反ユダヤ主義報告書によると、ユダヤ人の4人に1人(24%)は過去12か月間で反ユダヤ主義に遭遇した。また、アメリカ系ユダヤ人と一般市民の間には大きな認識のギャップがある。アメリカ系ユダヤ人の82%は、彼らに対する憎悪が高まっていると信じているが、それに同意するアメリカ人は44%である。 過去12か月間だけで、アメリカのユダヤ人12%がオンラインで反ユダヤ主義の標的にされている。これらの犠牲者のうち55%はフェイスブック、35%がツイッター、11%はユーチューブ、10%がインスタグラム上で標的にされたと述べている。彼らのほとんどは、これらのソーシャル・メディア、法執行機関、またはユダヤ人組織に報告しなかった。

要するに、ユダヤ人に対する暴力は昨年5月だけで約220件発生し、その時点から過去2週間と比較して75%増加したと報告されている。キリスト教徒はユダヤ人がイエス・キリストを殺害したと信じている事も含めて、反ユダヤ主義は、非常に長い歴史的および宗教的信念をめぐる対立として始まったものである。反ユダヤ主義は、個人および集団としてのユダヤ人に対する誤信、偏見、及び又は差別に言及する。また、国民としてのユダヤ人に対するステレオタイプと神話、宗教的慣習と信念、イスラエルのユダヤ人国家に基づいている。近年、報告されている多数の事件は、非常に悪質な人種差別と偏見に基づく憎悪犯罪と同様に残酷であり、もっと徹底した対策がない限り、国際法の観点から人権の侵害である反ユダヤ主義は今後も続くことを示唆している。

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