キリスト教ナショナリズムは、米国がキリスト教によって定義され、政府はそれを維持するべきであると主張している運動である。キリスト教ナショナリズムは、ペイトリオット(愛国者)教会によって強調され、一部地域で、その教会の牧師は1月6日の議事堂での反乱に参加した数少ない一人であり、現在も前大統領ドナルド・トランプが彼らの大統領であるとの誤信を信者に流布しているという。
キリスト教ナショナリズムを研究しているジョージタウン国際問題教授のポール・ミラーは、米国政府がキリスト教によってそれを維持するために、積極的な措置を講じるべきであるとの信念がキリスト教ナショナリズムの定義であると述べている。ワシントン・ポストによると、ミラー教授はトランプがキリスト教ナショナリズムについてのより多くの感情を「表面化」させたとし、「彼はこれを大声で言う許可を与えられました。彼は彼らを著名な福音主義の声として主流化しました」と述べた。また、社会学者のアンドリュー・ホワイトヘッドとサミュエル・ペリーは、彼らの共作であるTaking America Back for God: Christian Nationalism in the United States (アメリカを神のために取り戻す:アメリカのキリスト教ナショナリズム )で知られている。ホワイトヘッドはパーデュー大学インディアナポリス校の社会学准教授であり、キリスト教ナショナリズム、宗教、アメリカ文化に関する彼の著作の一部はワシントン・ポストやNBCニュースなどに紹介されている。この著作の中で、キリスト教ナショナリズムの思想は連邦政府が米国をキリスト教国家と宣言すべきであり、米国の成功は「神の計画の一部」であるという信念を含めて、幾つかの基準について説明している。つまり、全ての政策、特に中絶、同性愛、LGBTなどの問題については、米国が神の教えに従う国になるべきであると主張している。そのような思想を推進するクリスチャンはまだ多数存在していることを示唆している。
2016年の大統領選では、複音派の富豪者に多額の寄付を受けた当時の大統領トランプはブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が全米で拡大していた頃、2020年6月にキリスト教ナショナリズム運動を促進する機会を作ったと専門家は見ている。6月1日、当時大統領トランプは、ワシントンD.C.での抗議が行われていたラファイエット広場を通って、歴史的なセント・ジョンズ・エピスコパル教会を訪問し、聖ヨハネ教会の前で写真撮影のために聖書を掲げた。ホワイトハウスからここまで歩く為に法執行機関に催涙ガスで平和的な抗議者を排除させた後に、トランプは「キリスト教ナショナリストのイメージを育ててきた」という。
そのような、トランプを熱烈に支持している牧師がいる。中絶反対のティ・シャツを着て、日曜礼拝を率いるテネシー州レノアシティにあるペイトリオット教会5代目の牧師である49歳のケン・ピーターズは、2020年の大統領選でトランプが「勝利したことを熱心に信じている」ため、彼自身が1月5日に抗議者に演説し、1月6日に米国議会議事堂に行くように群衆に勧めたと23日のNPRが伝えた。彼は、15人から20人の教区民が「今や悪名高い集会に出席した」と言ったが、国会議事堂の建物には誰も侵入しなかったと述べた。ピーターズは今日23日、礼拝でのスピーチで「左翼を巨大ないじめっ子だと考えている」と述べ、トランプはそれに「立ち上がって殴り返した」とし、私たちはトランプに感謝しています」と言った。また、「トランプが明日亡くなった」場合でも、彼らの運動を止めることはできないとし、「私たちは道をリードする次の男を探しています」と述べた。翌朝、教会の中でコーヒーを飲みながら座ってインタビューを待っていたピーターズは、ジャーナリストを歓迎する数少ないMAGA教会の指導者の一人である。MAGAはトランプ・キャンペーンのキャッチフレーズであるMake America Great Again(アメリカを再び偉大にする)の略語である。彼は「主流メディアや左翼派に、私たちがキリスト教国家ではなかったと言わせないでください。イスラム教会ではない教会が、なぜいたるところにあるのかご存知ですか?私たちはキリスト教国家だからです」と言った。
ピーターズはトランプを崇拝し「盗みを止めろ」運動を促進する稀な教会の牧師として、昨年4月から複数のメディアに注目されていた。この教会のリーダーであるピーターズ牧師は、中絶、社会主義、性的不道徳と戦うために彼の教会を政治とキリスト教ナショナリズムを融合させるネットワークとしての機能を果たすことを促進していたようである。つまり、昨年1月6日の議事堂での反乱を扇動した組織の中には、キリスト教ナショナリズムの一貫として、ペイトリオット教会の一部も関与していたということである。彼らの目的は、彼らの強力な地位を政府内で維持することを可能にする為、米国の政治が彼らの宗教的信念に基づいて運営されることを望み、彼らの政治力を最大限に強化することである。
従って、実際にはほとんど信仰心は無いと言われているトランプは、約80%の福音主義者の支持を集めることに成功したが、キリスト教ナショナリストが拡大していた福音主義者のグループによって利用された一面もあるかもしれない。2020年3月25日に公開されたピュー・リサーチの世論調査によると、トランプが非常に信仰心がある(7%)と信じていた率はかなり低く、やや宗教的である(28%)と思っていた人々を合わせると合計35%がトランプの宗教性を信じていたことを示唆した。一方、トランプはあまり宗教的ではない(23%)に加えて、全く宗教的ではない(40%)と思っているアメリカ人の大多数(63%)はトランプが信仰心のある大統領であるとは考えていなかった。