
2022年2月13日:オタワのダウンタウン通り By The New York Times
約1週間、カナダのオンタリオ州ウィンザーのアンバサダー橋近辺と米国・カナダ間の主要な国境検問所は、ワクチン義務化とパンデミック関連の制限に反対する大規模なトラック車両縦隊抗議によって閉鎖されていた。昨夜、警察は複数の運転手を逮捕し、トラックを除去するよう命じた。月曜日14日の朝、アンバサダー橋の交通は開通したものの、別の場所で、抗議活動は続いていると言われている。カナダのトラック運転者らの抗議は、ワクチンの義務化に単に反対しているだけの性質のものではなく、両国の経済に影響を与え、政治的理由が潜んでいる違反活動である。
オンタリオ州ウィンザーの警察は日曜日の夜、アンバサダー橋につながる交差点に駐車していた数人を逮捕し、トラックを牽引したと述べた。 橋は真夜中頃に再開した。過去一週間で、抗議活動のグループがオンタリオ州ウィンザーのアンバサダー橋や国境検問所、その他の場所など、オタワの一部の交通を麻痺させたことで、経済活動に多大な影響を与えた。彼らが封鎖した場所はカナダのオンタリオにあるウィンザーから米国のデトロイトを繋ぐ主要な貿易ルートであった。つまり、自動車産業、自動車部品などの産業が多大な経済的影響を受けている。14日のニューヨーク・タイムスによると、自動車産業を専門とする調査会社IHS マークイッの主任アナリストであるピーター・ネーグルは「スイッチを入れるとすぐに、本番の環境に戻ることができるわけではありません。数週間かかるでしょう」と語った。自動車メーカーの労働者を代表する大規模な組合の関係者は、自動車生産は数日以内に通常に戻ると予測したが、ネーグルは、特に自動車メーカーがすでに半導体やその他の構成部品の不足に苦しんでいる為、それよりもっと時間がかかると述べた。
フォード・モーターは先週金曜日以来、国境の混乱に関連する影響は見られなかったが、オハイオ州にある工場ではチップ不足のため今週閉鎖されると述べた。ゼネラル・モーターズは、その工場が14日から正常に稼働していると述べた。トヨタ社は、国境関連の混乱は今週も続くと予想しているが、サプライ・チェーンが追いつくにつれて、今後数日で幾つかの改善が見込まれると述べた。カナダのオンタリオ州および米国のケンタッキー州、アラバマ州、ウェスト・バージニア州にあるトヨタ社の施設は、最近、国境封鎖の影響を受けたと同社の代表者は語った。 JeepやRamなどのブランドを所有するステランティスは先週、米国とカナダの工場で、封鎖による部品不足が発生し、多くの交代制の仕事を短縮したという。14日の朝に操業を再開した同社の広報担当者ルー・アン・ゴセリンは、失われた生産を今後数か月で補うことを目指しているとし、「私たちは運送業者と協力して、さらなる混乱を軽減するために可能な限り迅速に部品を工場に導入しています」と言った。
カナダのトラック運転手によるワクチン義務化のプロテストは、米国の貿易25%を占めているカナダと米国の主要貿易ルートを閉鎖したことから、米国一部の企業が損害を受けていると報告されている。それにも関わらず、運転手らの違反行動を拍手喝采し、米国の右翼メディアと政治家に非常に美化されたことから政治的に発展した。通常、政治家は違反を犯している一般市民を褒めることはないが、上院共和党議員テッド・クルーズは、「神はこれらのカナダのトラック運転手を祝福します。彼らはカナダ、アメリカを擁護していて、自由のために立ち上がっています!政府には、あなたに彼らの恣意的な義務に従うように強制する権利はありません」とツイートした。ワクチンの虚偽ニュースを拡大することで、批判されているフォックス・ニュースのタッカー・カールソンは、「世代の中で最も成功した人権抗議の一つである」と述べた。
カナダでの前代未聞の交通遮断は、ワクチンの誤情報とカナダ政府に対する欲求不満による政治的姿勢であるとワシントン・ポストは伝えた。カナダの車両縦隊プロテストが政治的理由であることは明らかである。先月マル世論が実施した調査によると、ワクチン接種の義務化に反対しているのはカナダ人の10人に3人未満だけである。その義務化にはトラック運転手が国境を越えた後に、完全にワクチン接種または隔離されることが含まれているため、仕事をする彼らの能力に対する明白な割り当てである。回答者の3分の1は、トラック運転手がコロナウイルスのテストで陰性であった場合、国境を越えて貨物を運ぶことが可能であるべきだと述べた。重要な注目点として、ジャスティン・トルドー首相は、ほとんどのトラック運転手はすでに完全にワクチン接種されていると述べた。また、カナダ・トラック連盟は、カナダのトラック運転手の10%のみが、ワクチン接種を受けていないと推定している。同国の政府は1月末、最近施行された規則が要因で、国境を越えた輸送が減少した「兆候はまったくない」と述べた。
従って、これが政治的であるという明らかな別の理由は、アメリカの自由と権利を主張する右翼系のメディアが、トラック抗議を「正義で刺激的なもの」と見なしていることである。前大統領ドナルド・トランプは、保守系のメディアからの投稿で、「極左の狂信的」なトルドー首相による「厳しい政策に対して平和的に抗議している」とトラック運転手を称賛した。また、「自由にコミュニケーションできるように両手を広げて」トラック運転手を歓迎すると表明し、彼のソーシャル・メディアが直ぐに利用できるようになると述べた。これは「抗議が既存の右翼政治とどのように絡み合っているかを示す良い例である」とポストは指摘した。しかし、トランプの促進された声明は、カナダでのトラック抗議を支持し、組織化したグループはFacebookに禁止された。Facebookによると、そのグループの投稿は、キュアナン関連のコンテンツが含まれていた為、禁止を促進したという。同社は長い間、陰謀説と虚偽の広告をほとんど放置していたことでも知られている。
世界の数カ国は、カナダのトラック・ドライバーに誘発され、先週同様の現象が見られたと報告されている。ニュージーランドでは、先週、何千人ものトラック運転手が国の首都ウェリントンに集まり、国旗を振ってトラックの外に立っていた抗議活動が10日に報告された。オーストラリアでは、最近、数百人のトラック運転手がキャンベラへの車両縦隊に参加した。そこで、抗議者らはワクチンの義務に反対するために議会の外に集合した。そして、先週末から米国でもトラック・ドライバーによる車両縦隊プロテストは開始されるとの推測又は意見が提起された。また、昨夜、カナダでの抗議活動は停止されたはずであったが、今日、カナダの複数の場所で、コロナウイルスの制限に抗議しているデモはまだ続いていると報告されている。カナダのアルバータ州の一部地域で、警察当局は10人以上の抗議者を逮捕し、銃、軍隊や警察が着用する防弾チョッキやその他の防備品及び大量の弾薬を押収したと報告された。