
2022年3月18日 By Dawn
バイデン大統領は中華人民共和国主席の習近平との約二時間のテレビ電話会談を行ったが、両首脳陣の会話の内容についてはほとんど公開されていない。中国は、非常に厳しい立場に置かれている中で、ロシアを責めることも米国とNATOの制裁を支持することもない中立的立場であることを示唆した。中国は、米国のロシアへの制裁が同国の市民を苦しめ、世界の経済に多大な影響を与えていると公式に表明する一方で、ウクライナへの更なる支援を提供すると述べている。また、中立的な立場を取ることを示唆した中で、西側のロシアへの経済制裁とウクライナへの武器提供に反対している事を示した。
ワシントン・ポストが18日に伝えたところによると、昨年の11月以来、初めて、約2時間の「率直で詳細」な両首脳によるビデオ電話会談は、東部時間午前11時に終わった。しかし、ロシアを援助しないよう懇願したバイデンの要請を受け入れたという兆候はほとんどなかった。会談後、中国の外相は、中国がロシアを援助した場合、北京も同様の制裁を受ける可能性が高いため、制裁を鋭く批判した長い声明文を発表した。それは「無差別な制裁を実施することで、苦しむのは一般の人々です。世界経済、貿易、金融、エネルギー、食品、サプライチェーンに深刻な危機を引き起こし、すでに困難な世界経済をさらに悪化させ、取り返しのつかない損失をもたらすでしょう」と述べ、制裁措置に反対していることを示唆した。その声明の中で、「ウクライナ危機の核心を解決する」ためにNATOと米国がロシアと対話するよう求めたが、ウクライナの平和を達成する為に北京が具体的に何をするのかを語っていない。
また、外相は「ウクライナ危機」を非難したが、「戦争」または「侵略」という言葉を避け、中国はウクライナに更に人道支援を提供する用意があると述べた。大西洋評議会のグローバル・チャイナ・ハブの上級ディレクターであるデビッド・シュルマンは、北京は困難な立場にあるとし、「中国にとって最悪の時に、この戦争は大規模な混乱を引き起こしています。北京はこれがどのように終わるかを知りません。彼らは現在その機会を見ていません。彼らは束縛状態にあり、それを通り抜けようとしています。」と述べた。また、国際危機グループの上級中国アナリストであるアマンダ・シャオは、バイデン大統領と習近平大統領との会話が「中国の立場に実質的な変化をもたらす可能性は低いです。北京は、ワシントンとの関係は改善しないと計算している可能性が高いため、モスクワに和解を迫ったり、制裁を公然と支持したりすることはないでしょう」と語った。つまり、中国政府は、米国やNATOがロシアに課した制裁を支持する可能性はほとんどないことを示唆した。
一方、バイデンの立場を代表する国務省の長官アントニー・ブリンケンは、中国がロシアに対して保持している「影響力を利用」して、プーチン大統領を説得するべきであると主張した。彼は「中国が支持すると公言している国際的な規則と原則を擁護する責任があると信じています。代わりに、中国は中立的な仲裁者として、自分自身を描写しようとしながら、この攻撃に対する非難を拒否することによって、反対の方向に動いているように見えます。」と述べた。人民大学の国際関係学教授である時殷弘は「双方は、相手方が自分たちの確固たる地位に疑いの余地がないことを確認したいのです。」と述べ、この電話会談が米中関係に「大きなプラスの影響」をもたらす事はないと述べた。彼は「北京とワシントンの両方は、お互いの立場を理解するでしょう。その全ての認識は、両国間の対立を更に強化するでしょう」と言った。
ホワイトハウスの報道官ジェン・サキは18日、記者団への日常の要旨説明で、この電話会談について語り、「中国がウクライナの都市や民間人に対して残忍な攻撃を行っているため、ロシアに物質的な支援を提供した場合の影響と結果について説明した」と述べた。紛争が始まってからの中国の行動に言及したサキは、ウクライナでの戦争とアメリカの生物兵器に関する虚偽情報ついて、また国連安全保障理事会の投票で中国が棄権したことを指摘し、中国は「歴史書の中でどの位置にいたいのかという問題です」と言い、中国当局に迅速に反論するよう促した。これに対して、中国外務省のスポークス・ウーマン華春瑩は、ツイートで「中国は歴史の裏側にいるという主張が圧倒的です。歴史の裏側にいるのは米国です」と反発した。彼女は、米国が「NATOを繰り返し拡大することを控え、NATOがウクライナの加盟を認めないことを約束し、ウクライナに武器や弾薬を供給して炎を煽っていなかったなら、状況は大きく異なっていたでしょう」と述べた。
要するに、ウクライナでの市民に対する攻撃が過激になっているロシア軍を中国が援助した場合、その結果が伴うと警告したバイデンに対して、習近平は「ウクライナの危機は私たちが見たくないものです。」と述べ、 米中は「世界平和に向けて努力する」必要があると反応したと報告されている。これは、一般的な外交の決まり文句であることを示唆した。基本的に中国が中立的な立場を維持することを示唆したことは、強力な中国がウクライナでの戦争を止めるための仲介の役目を果たすよう求めていたバイデンにとっては失望的なものである。バイデンの習近平への呼びかけは、ウクライナでの民間人の死傷者が急増し、民間人をターゲットにした爆破が激化している中で、ロシアに対してもっともパワフルな影響力のある中国が平和の使者になることを求めていた為である。しかし、中国はどちらにも敵対せず、どちらにも同意しないとする立場を維持するようである。それが、純粋な意味での中立の立場であるなら、多くの国はそれを理解することができるかもしれない。しかし、悲惨な人道危機に直面しているウクライナの現状を見て、中国がロシア軍の無差別な爆破を一言も非難せず、米国とNATOのウクライナへの武器提供を批判したことは、逆説的に、中国はロシア軍が戦闘力を強化する可能性のある武器を、秘密裏にロシア兵に提供することもあり得ると言える。別の側面では、中国はどちらの側についても、現時点では、彼らの国にとってプラスにはならないことを計算している可能性があることを示唆している。ウクライナとロシアは、早急に和平交渉に成功する兆しはないようである。