前大統領に対するFBIの家宅捜査の余波

By Business Insider

FBIが前大統領ドナルド・トランプの住居であるフロリダ州パーム・ビーチにあるマー・ア・ラゴ・クラブを家宅捜査した確定的な事情は不明である。連邦捜査当局の突然の行動について、主要メディアはトランプが大統領記録法(Presidential Records Act)に違反していると言われている件に関連性があると見ている。FBIが家宅捜査した時、トランプは政治活動のために留守であったが、彼自身が報告した後、今日も複数の共和党が反応している。法的事実を無視し、混沌を金銭的利点に転換する傾向があるトランプにエコーするリーダーもおり、ある意味では腐敗的な性質を表している。この捜査によって、トランプがこの法律に違反したことが明白になった場合、彼は投獄される可能性もあり、2024年の大統領選には立候補できないことを意味すると専門家は述べている。

FBIによる突然の家宅捜査の理由は完全に理解されていないが、昨日から今日にかけて、多数のメディアは、トランプが2021年1月20日にホワイトハウスを去った時、国立アーカイブに属するはずの数々の物品および書類を15個の箱に入れて、マー・ア・ラゴに運んだ件に関連していると伝えている。トランプは機密情報が含まれていたとされる文書まで持ち帰り、一部は破られていた事も以前に報告されており、それは大統領記録法に違反している可能性がある。大統領記録法 (PRA)は1978 年 11 月 4 日に制定された米国議会法である。この法律は1981 年 1 月 20 日以降に作成または受領された大統領および副大統領の公式記録をすべて管理し、保存することを義務付けている。当時、民主党大統領のフランクリン・ルーズベルトは、贈与された思い出の製品も含めて、すべて国立アーカイブに送ったことを起源とし、現在、すべての大統領記録はホワイトハウスと国立アーカイブが保管することになっている。しかし、トランプは記念品や贈与された物品だけでなく、機密書類も持ち帰り、一部は破損または廃棄したと繰り返し報告されていた。

昨日FBIがマー・ア・ラゴを家宅捜査した時、トランプはニューヨークのトランプ・タワーで政治活動を行なっていたようである。アラスカの元知事であったサラ・ペイレンは上院に立候補しているため、トランプに批判的な同州出身のリサ・マーカウスキーに挑戦しているペイレンを支援するためのバーチャル会合を行なっていたと報告されている。トランプは、電子メールの声明で、「フロリダ州パーム・ビーチにある私の美しい家、マー・ア・ラゴは現在、包囲され、家宅捜索を受け、FBI捜査官の大規模なグループに占拠されているため、我が国にとって暗黒の時代です」と述べた。このメッセージはトランプのアメリカ救済政治委員会によって発行された。トランプは「予告なしの襲撃は必要でも適切でもありませんでした」と言った。しかし、彼は、自分が機密文書まで持ち帰り、一部は廃棄しようとしたとされる彼自身の行動が通常ではないと報告されている状況を無視していることを示唆した。加えて、元大統領の住まいをFBIが捜査できないようにするために、寄付を求めるメッセージを彼のソーシャルメディアに投稿した。その直後に、下院議会少数派のリーダーであるケビン・マッカーシーは8日、ツイッターでの声明で「司法省は武器化された政治化という耐えがたい状態に達した。共和党が下院を取り戻すとき、私たちはこの部門の即時監視を行う」と述べ、最後に「司法長官ガーランド:書類を保存してカレンダーを空白しなさい」と脅し、議会での聴聞会に応じるよう促したことを示唆した。

マッカーシーの発言を受けて、共和党全国大会の委員長であるロナ・マクダニエルは9日の「フォックス&フレンズ」でのインタビューで、議会両院で多数派を取り戻すため、11月の中間選挙で共和党候補者に寄付するよう求めた。彼女は、FBIの家宅捜査を「本当に恐ろしい」と述べ、別の「ウォーターゲート」として批判し、FBIはアメリカの民主主義の基盤に違反していると主張した。彼女も議会が制定したPRAを撤廃しない限り、そして、元大統領が犯罪を犯していないかぎり、FBIの捜査活動を誰も止めることはできないことを認識していないかまたは無視したか又は腐敗していることを示唆した。加えて、フロリダ州を代表する上院共和党議員リック・スコットは、司法省長官メリック・ガーランドおよびFBIディレクターのクリストファー・レイが議会の前で証言するよう求め、トランプに対する家宅捜査は司法省が認可したのか、又は知っていたのか、何を探してしていたのかなど、多数の議会の質問について証言するよう求めた。下院議会の共和党議員も含めて、9日別の複数の議員らも同様に反応しているが、上院共和党リーダーのミッチ・マコーネルは沈黙を守っている。

これら一部の共和党の反応に欠けている点は、彼らの法的認識である。通常、裁判所が捜査令状を認可しないかぎり、FBIが勝手に家宅捜査できるものではなく、ある程度の証拠がないかぎり、裁判所は全ての令状を認可するわけではない。つまり、司法省が認可した場合でも、裁判所を通した捜査令状がない場合、FBIは昨日のような活動はできないのである。USA Todayはこれについて、更に専門的に説明している。例えば、FBIの家宅捜査にはprobable cause(推定原因)と呼ばれる概念があり、それについて、マンハッタンのニューヨーク南部地区の元暫定連邦検事であり副連邦検事であるデビッド・ケリーとのインタビューを引用し、PRAの法律下では「犯罪が行われたという推定原因の証拠を発見した後、捜査対象の場所に犯罪の証拠が存在すると信じるに足る相当の理由がある場合、捜査は裁判官によって承認される必要があります。裁判官が犯罪が行われ、大統領自身の金庫にその証拠があると信じるに足る正当な理由があると判断したことは、非常に重要なことである」と伝えている。また、「トランプと彼の仲間の多くはFBI、司法省、内国歳入庁、及びその他の連邦と州の機関による4年間の政権中の不正行為の疑い」に基づき、「トランプの会社は精査を受けている」と述べている。

加えて、FBIは連邦捜査令状(Federal Search Warrant)を利用してトランプの住居を家宅捜査した。ニューヨーク・タイムスは、連邦捜査令状とは何か?との質問を提起し、それについて説明している。例えば、「連邦法執行官は、犯罪捜査を迅速に進める必要がある場合、または必要な機密資料が移動、隠蔽、改ざん、又は破壊される危険性があることを懸念する場合に、捜査令状を取得する。捜査令状の要求は、犯罪捜査に関連する情報 (多くの場合、文書や電子機器)が誰かの住居、会社、車、又はその他の財産で見つかる可能性があると当局が結論付けた場合に、連邦法執行機関によって行われる」と説明している。

更にピューリッツァー賞受賞ジャーナリストで作家のチャーリー・サベージは、トランプが法律を破った場合、将来公職者になることは不可能か?との疑問も提起し、「FBIによるフロリダ州のドナルド・J・トランプ前大統領の住居の捜索は、彼がホワイトハウスを去る際に政府のファイルを不法に持ち出したかどうかの調査に関連しており、公式記録の削除を禁止する刑法に違反した場合の罰則には、連邦政府の役職に就く資格の剥奪が含まれる。トランプは2024年に再び大統領に立候補する準備をしていると広く信じられているため、この異例の罰則により、トランプがホワイトハウスに戻ることを法的に禁じられる可能性は高まっている。具体的には、合衆国法典第 18 編2071 条は、政府の文書または記録を保管している誰かが『故意かつ違法に、それらを隠蔽、削除、切断、消去、改ざん、破壊する』ことを犯罪としている。有罪判決を受けた場合、被告は罰金または最大 3 年の禁固刑を言い渡される可能性がある。さらに、法律は彼らが現在連邦政府の役職に就いている場合、その役職を『没収』し、『米国で役職に就く資格を剥奪』する」結果になると説明している。

要するに、トランプがPRAに違反したと確定した場合、彼は2024年の大統領選には立候補できないことを明白にしている。トランプは2017年に当時ロシアとトランプ・キャンペーンの調査を行なっていた共和党のFBIディレクターであったジェイムス・コミを解雇した後に、現在のFBIのディレクターであるクリストファー・レイを任命した。彼が率いるFBIの捜査官らは8日、非常に広大な敷地であるマー・ア・ラゴのトランプの住居を家宅捜査したため、トランプ同盟者は、民主党がトランプの2024年の大統領選の立候補を妨げようとしていると批判している。彼らの反応は一種のショーであるが、逆説的には彼らがトランプの犯罪性を認識していることを示唆している。FBIによるマー・ア・ラゴの驚きの家宅捜査は、トランプが大統領記録法に違反した可能性が高いと法専門家が見ていた状況を益々強化したことを示唆している。何しろ、司法省、議会、ニューヨーク州の長官および検察官事務所、ニュージャージー州、ワシントンDCなど多数の捜査当局の調査に直面しているトランプは、この瞬間を長い間準備していたとワシントン・ポストが伝えている。

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