
By The New York Times
土曜日(8日)にロシアとクリミア半島を結び最も重要な戦略的な橋が爆破された後、ロシアの大統領ウラジミール・プーチンは今日10日早朝、2月にウクライナを侵略して以来初めて、ほぼウクライナ全域に及ぶ多数の都市にミサイル攻撃を行った。複数の主要メディアによる死者および負傷者数は異なっている。今日、多数の西洋諸国がウクライナ市民をターゲットにしているロシアを批判し、ウクライナを益々支援するとの声明を発表した中で、中国でさえ紛争がエスカレートしないよう呼びかけた。同日、国連ではロシアの戦争を外交的に停止するために討議が行われた。これらは、ロシアのウクライナでの戦争が緊迫した急速な展開になっていることを示している。
2014年に非合法的に併合されたクリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の橋であるケルチ海峡橋は「戦略的かつ象徴的な価値」があると言われている。その橋の爆発は、ロシア軍の重要な補給線を破壊したため、クレムリンにとっては非常に痛手になる損害であると言われている。橋の爆破は、プーチンの決定が効果的ではない彼の能力に更なる影響を与えるよう企画されたものであるという。一般に公開されているビデオによると、非常に長い橋全体が崩壊したわけではないが、道路と鉄道橋の一部に深刻な損傷を与えた爆発で、複数の箇所が爆破され破壊されているようである。修理が完了するまで、クリミア半島に近い、東部と南部の4つの地域(ハンスク、ドネツク、ヘルソン、ザポリージャ)を併合するためにロシア軍に燃料、食糧、その他の物資を輸送するための非常に重要な戦略的通路はブロックされたため、プーチンと彼の同盟者は、ウクライナに対するロシアの今朝の報復に歓声をあげているという。
ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムスを含むメディアが公開している爆破の地図によると、爆破マークが見られる都市は、首都キエフも含めて11である。地図は、2月24日にロシアがウクライナを侵略して以来、ウクライナ全土が初めて広範で猛攻撃が行われたことを示唆している。ミサイルのターゲットは、ほとんど電気を供給する民間のインフラ・サイトであり、少なくとも5つの地域が停電したという。また、住宅地やザポリージャのアパートや首都キエフの子供の遊び場などが含まれていると報告されている。タイムスは、これらの都市にロシアが合計84のミサイル、24のドローンを利用したと述べている。最初の時点での死者数(11〜15人)と負傷者数(60〜80人)はメディアによって異なり一貫性がない。ビデオでの被害の様子は、これらの数値が増加する可能性があることを示唆している。わずか数時間で、ウクライナの10以上の都市で、多数の地域がミサイル攻撃の被害を受けたため、世界は反応している。
また、10日のワシントン・ポストによると、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領およびドイツのオラフ・ショルツ首相と緊急電話で、防空やその他の軍事援助について話し合った。ゼレンスキーは、攻撃の最中にマクロン大統領と「緊急電話」を行い、ウクライナの防空強化について話し合ったと述べた。英国、フランス、リトアニア、カナダ、ベルギー、イタリア、アイスランド、エストニアは、ロシアの攻撃性を批判し、ショックと怒りを表明し、ウクライナに対する更なる支援と擁護のメッセージをツイートまたは他の公式声明を発表した。ロシアの主要な外交国であり、ロシアの侵略を批判することを控えてきた中国の外務省スポークスウーマンは、ウクライナの状況を緩和するための交渉を求め、「できるだけ早く状況が緩和されることを望んでいる」と述べた。中国を除く多くの国は、ロシアによるウクライナの多数の都市での攻撃は「ロシアの弱体化の兆候」であると表現し、民間人を標的にしているため、「戦争犯罪である」と批判している。幾つかの欧州諸国はウクライナへの支援の約束を再確認した。
バイデン大統領は10日ホワイトハウスでの声明で、ロシアが「軍事目的」なくして、ウクライナ全土を攻撃し、民間人を殺傷し、ウクライナ国民に対するプーチンの「違法な戦争の残虐性を再び証明している」と述べ、「殺された人々の家族と愛する人たちに哀悼すると共に、負傷した人々の回復を祈っています」と述べた。ウクライナの都市に対するロシアのミサイル攻撃を受けて、国務長官のアントニー・ブリンケンは10日の声明で、世界中の国々に対し、ウクライナでのロシアの戦争に対する外交中立の長年の立場を取り下げるよう呼びかけた。彼は「今こそ、ウクライナへの支持を表明する時です。今は棄権し、言葉をなだめ、中立性を主張して言い訳をする時ではありません。ロシアの攻撃は、ウクライナとの戦争が深刻な道徳的問題を提示していることをさらに思い出させるものです」と述べた。ブリンケンの声明は、国連総会がニューヨークで召集され、ロシアのウクライナ侵略を非難する決議案の討論を開始する絶妙のタイミングで発表された。
緊急な国連総会での様子をライブで伝えているニューヨーク・タイムスによると、国連総会はロシアによるウクライナの 4 つの地域の違法な併合に関する決議案を討議するために、総会の緊急会合を招集した。深刻な論議が行われている国連総会の緊急会議で、議長を務めたチャバ・コロシは「国連憲章は明確です」と述べ、各国に対し、ウクライナでの戦争を終わらせるために外交的解決策を講じるよう促し、「隣国への侵入は違法です。」と言った。ウクライナのセルギー・キスリツァ大使は、ロシアによるウクライナ領土の違法な併合は国連憲章に対する「実存的脅威」をもたらすため、国連はその信頼を回復する必要があると述べた。 機関の権威が侵食された場合、「私たちは自分自身を責めるだろう」と述べた。しかし、ロシアの国連大使であるヴァシリー・ネベンジャは、ウクライナの4つの地域で実施された住民投票が違法であるという主張を却下した。その後の併合は、違法であると広く非難されてきたが、ウクライナ国民を保護するためのものであると述べた。
先週末から10日までのロシアのウクライナでの戦争状況は、ロシアの大統領プーチンの戦略が失敗していることを明確に示唆している。ウクライナでの戦争に壊滅的な失敗を続けているプーチンに対する彼の内輪の人々の不満はピークに達していると言われている。ロシアでは、既にロシア軍がウクライナを侵攻した数ヶ月後から、悪戦苦闘の軍事作戦をめぐって悪質な非難ゲームがプーチンの治安部隊の間で勃発したという。そして、最近プーチンを取り巻く内部で緊張が高まっているという。国連では、ウクライナでのロシアの違法の戦争を停止するための討議が行われている中で、ロシア内では、最終的に、彼を大統領職から除去するかどうかの論議に発展すると予測する専門家もいる。プーチン大統領を除去するためには、憲法第 93 条の規定に従う必要がある。それは、ロシア連邦議会の下院による弾劾から始まるが、弾劾のための所定の手続きには、ロシアの最高裁判所と憲法裁判所の意見が関与する。そして、下院の弾劾の決定と連邦評議会の大統領の罷免の決定は、それぞれ院の 3 分の 2 の投票が要求される。いずれにしても、現在、ロシア軍に供給するための唯一の通路が遮断された為、ロシア軍が現在占領している4つの地域には武器、食糧、燃料、その他の物資の道路上の運搬は不可能になったということである。しかし、ロシアは、橋のダメージを軽視し、橋に沿って鉄道が走っており、爆破時に貨物列車が運行中であったが、今日午後、列車は走行を開始し、被害は軽いとの印象を与えているという。その割には、ウクライナに対する報復は、あまりにも急激で残酷すぎることを示唆している。バイデン大統領は先週、プーチンが追い詰められた究極の時点で核兵器を使用する可能性があることを深く懸念し、1962年10月のキューバ・ミサイル危機以来の脅しがあるとして、核の「アルマゲドン」と呼び、プーチンの性格に対するバイデンの本能を反映した警告を世界に発した。現在、最も深刻な脅威があることを示唆する危機感があるのは確かである。