米国の経済は引き続き健全である。経済分析局が発表した暫定見積もりによると、実質国内総生産(GDP)は第4四半期に年率2.9%で増加したが、2022年の第 3 四半期の実質3.2% に比較すると幾分減少した。26日に発表された GDP 推定値は、データが不完全であるか又はさらなる改訂の対象となっているため、完全なデータに基づく第 4 四半期の最終見積もりは、2023 年 2 月 23 日に発表される。昨年末の経済成長が堅調であることを示し、米国経済の基盤である消費者支出は、2.1% の割合で増加した。その堅調な米国の経済を保護するため、債務引き上げに対して、危険な条件を押し付ける下院共和党の方針に対するバイデン政権と民主党の戦略は二つの側面がある。
米国商務省の 経済分析局よると、国内総購買の価格指数は、第 3 四半期の 4.8% の上昇と比較して、第 4 四半期に 3.2% 上昇し、 PCE 価格指数は 4.3% の上昇に比べて 3.2% 上昇した。 食品とエネルギーの価格を除くと、PCE 価格指数は 4.7% の上昇に比べて 3.9% 上昇した。 現在のドルの個人所得は、第 3 四半期の 2,831 億ドルの増加と比較して、第 4 四半期には 3,110 億ドル増加した。 この増加は主に、民間の賃金と給与、政府の社会給付、および個人の利子所得の増加を反映している。政府の社会給付のうち、この増加は主に、1 回限りの払い戻し可能な税額控除の形で個人に支払われる州の刺激策を反映したその他の給付である。消費者支出の増加(2.1%の割合)は、商品の減少によって部分的に相殺されたサービスの増加を反映している。 サービスでは、主に海外旅行、食事サービスと宿泊施設、ヘルスケアが増加した。財の減少は主に、食品と飲料、自動車と部品の減少を反映しており、娯楽用品と車両、および主に医薬品の増加によって部分的に相殺された。 輸出の増加は、商品とサービスの両方の増加を反映している。民間在庫投資の増加は、主に製造業、卸売業、小売業からきている。非住宅設備投資は、主にソフトウェアなどの主導知的財産製品と情報処理機器の増加を反映していたが、主に商業およびヘルスケア、ならびに電力および通信構造物の減少によって部分的に相殺された。
現在、今年多数派になった米国下院議会の共和党は、現在堅調である米国経済を「人質」に取り、債務引き上げの危険なゲームを行うとの懸念が頻繁に提起されている。そのような共和党に対するホワイトハウスの対策は、現在二つの戦略があるように見える。既に債務条件の引き上げはこれまで議会が可決した法案のために支出した請求書に対する支払いであるため、その責任は議会にあるとして、交渉はしないと宣言していることがその一つの戦略である。なぜなら、共和党は明らかにダブルスタンダードがあるためである。たとえば、ドナルド・トランプが大統領であった4年の期間中、民主党は無条件で3回、債務引き上げに投票した。そして、共和党は、民主党の大統領が無謀に出費を増加させ、負債が増加するため、他のプログラムを削減するというのも事実に反している。トランプは大統領として、1.7兆ドルの減税を行ったため、8兆ドルの負債を追加した。近年の例を見ると、民主党大統領より、むしろ共和党大統領の方が赤字を増加している。
フロリダ州セントピーターズバーグにある非営利の研究組織ポインター研究所のファクト・チェックによると、第40代大統領ロナルド・レーガンは赤字を700億から1,750億ドル以上に増加した。連邦赤字は、レーガン大統領の任期の初めに約 789 億ドルから、任期の終わりには 1,526 億ドルに増加した。1983 年から 1986 年までの時点で、赤字は実際には 1,750 億ドルを超えていた。第41代大統領のジョージ H・ブッシュはそれを約 3,000 億ドルに増加させた。その数値は、彼の任期の終わりに約2,550億ドルに減少し、赤字額は、彼が辞任する前の年に約 2,903 億ドルに急増した。第42代大統領ビル・クリントンは見事な赤字調整に成功した。大統領在任中、その赤字額をゼロにしたクリントンは、1,282 億ドルの黒字の記録を残して、任期を終えた。ジョージ H・ブッシュの息子である第43代大統領ジョージW・ブッシュはそれを逆転させ赤字を1.2兆ドルまで増加させた。実際には、クリントンの黒字を引き継いだという「事実を無視」して、ブッシュは 2009 年に約 1 兆 4,100 億ドルの連邦赤字を残して辞職した。第44代大統領バラク・オバマは赤字を約5,846 億ドルに減少させて大統領職を去った。これは、1 兆 4,100 億ドルの半分以上である。 彼が二期目の2015 年当時の赤字はさらに減少し、約 4,419 億ドルであった。
上院議会の共和党リーダーであるミッチ・マコーネルは、長年債務不履行を避けるための努力を行っている。一方、今年ケビン・マッカーシーは、過激派に下院議長としての権限を譲渡したため、保守派が債務限度を引き上げる代わりに、支出削減の案を提供するようホワイトハウスに押している。一方、バイデン政権の対応は、前例を作る可能性があるため、「交渉には応じない」と強気の姿勢を維持し、共和党は経済を弱体化すると批判している。ホワイトハウスの経済専門家は既に、公的にこの姿勢をアピールしている。例えば、財務省の長官ジャネット・イエレンは、請求書に対する支払いをするための特別措置を開始したが、それを維持できるのは6月上旬くらいまでであることを示唆し、すでに2回、公的に条件なしで、債務引き上げを認可しなくてはならないと警告した。
加えて、大統領経済諮問委員会(CEA)のメンバーであるジャレッド・バーンスタインは、13日MSNBCのホストであるアリ・ベルシとのインタビューで、債務上限引き上げの法案に投票する機会を利用して、支出を削減する条件をつけるという共和党の考えが間違っていることを強調した。彼は、債務限度は「議会と大統領がすでに合意している支出義務を満たす」ことであると説明した。彼は「米国の信頼と米ドルの信用を完全に裏切った場合、世界で最も安全で原始的な通貨の ひとつを損なう」ことになると警告した。また、「債務上限が無条件に引き上げられない限り、債務不履行になるだけでなく、その結果、あなたが言及したように、何百万もの仕事が失われ、国の債務の支払いが増えるだけでなく、住宅ローン、自動車ローン、クレジット・カード」の「金利が急増」すると述べた。つまり、共和党リーダー達が言っていることは「正反対」であり、共和党が試みていることは「真の進歩を遂げている」安定した経済成長への妨げであり、実際に米国経済だけでなく、「世界経済で否定的なことが起こる可能性を遥かに高める措置を講じる考えは、無謀であるだけでなく無責任」であると述べた。
ホワイトハウスの二つ目の対応は、多数派である上院議会の民主党リーダーの主導力に基づいている。それは、共和党が推進している支出削減の法案を早急に提出させ、彼らの構想がどのようなものであるかを米国民に判断させ、有権者の反応を見ることを促すことである。上院多数派の民主党リーダーであるチャック・シューマーは23日、上院でのフロアーでのスピーチで、債務引き上げは歴史的に超党派の責任であると強調し、議会は1960年以来、80回債務引き上げの投票を可決したと述べた。また、その行動が遅れた場合の予測可能な壊滅的な影響については、ジャレッド・バーンスタインと同様に、現在安定している経済は混沌をきたし、利息が上がり、住宅の価値は下がり、アメリカ人の住宅ローン、年金、預金など、壊滅的な影響を受けると語った。シューマーは、スピーチの後半の部分で、「下院共和党議員が歳出削減と引き換えに債務限度額を人質にとることを真剣に考えているなら、彼らが採用した新しい規則は、下院の議場に提案を提出し、どのような種類の削減を望んでいるかをアメリカ国民に正確に示すことを要求しています。無駄な支出についての古い共和党の論点の背後に隠れるだけでは十分ではありません。あなたが多数派である時、中味が重要です。」と述べた。シューマーは、共和党が望んでいる歳出削減は、社会保障の削減を意味しているのか、それともメディケアなのか、子育てなのか、それともペル助成金か、軍隊への昇給、または法執行機関への資金なのかどうかなど、アメリカ人は、かなり大きな疑問を抱いていると指摘した。
つまり、ホワイトハウスと民主党リーダによる二つの戦略の一つは、債務限度の引き上げは、交渉する類のものではないことを繰り返し強調することである。二つ目は、下院共和党が米国を債務不履行に陥れることがないよう、歳出削減の具体案を提供するよう彼らにプレッシャーをかけることである。彼らを選出した有権者の反応を見ることで、何を削減するかを決定することがどれほど、困難であるかを知ることになるからである。加えて、上院議会の共和党の一部は、現在下院共和党が進めている危険なゲームに関与する意図はないため、債務引き上げのクリーン法案に投票するための超党派の行動を推進することは可能である。実際に、苦戦するのは、特に極右派の下院共和党議員達かもしれない。