
By Sydney Morning Herald
ある側面で弱体化している大国は、人々が時には敵国と呼ぶライバル国の標的になりやすい。現在一部その兆候を示す状況があるように見える。最新の一例は、米国と米国の同盟国の空域に中国が平然と複数の監視気球を運用していることである。米国が4日に、その最初の気球をサウス・キャロライナ州の沖合で撃ち落とし、2回目の気球がアラスカで発見された直後、米軍は11日に撃墜した。中国の外務省報道官は、米国が中国の領空に気球を飛ばしていると述べ、米国を「世界最大の監視常習犯」とよんだ。複数の米国当局者は、中国が虚偽を利用することで、ダメージ調整を行なっていると反応した。中国は高度技術の衛星があるにも関わらず、なぜ気球を利用しているのか?
引き続き正体未確認の物体が確認されている。バイデン大統領は、アラスカで発見された気球を撃ち落とすよう指示したことが報告された。それは同州の上院共和党議員リサ・マーカウスキーがバイデン政権を上院委員会で9日に批判した翌日である。10日、アラスカの空上で発見された別の気球は、バイデン大統領の指示によって撃墜されたと報告された。実際には、それがどこから来たものか、何であるかを完全に理解しておらず、米軍はアラスカでその未確認物体を凍りついた水上に撃ち落とした。中国は彼らが気球を運用していることを先週認めたが、今後は彼らが米国の監視気球による被害者であると主張した驚きの実態が報告された。
NPRが今週13日に伝えたところによると、北京で行われた2023 年 1 月 11 日の記者会見で、中国外務省の王文彬報道官は、米国が 2022 年 1 月以降、北京の許可なく、偵察気球を中国領空に 10 回以上飛ばしたと主張した。月曜日の北京での定例記者会見で、王文彬は「米国の気球が他国の空域に不法に侵入するのはよくあることです。」と主張した。また、米国が軍艦や航空機を使って中国に関する情報を収集したのは、昨年の初めから 657 回であると述べ、米国は「間違いなく世界最大の監視常習犯であり、監視帝国である」ことを証明していると主張した。一方、米国安全保障会議のスポークスマンであるジョン・カービーは13日、MSNBCのインタビューで、「米国政府が中国上空で監視気球を運用しているというこの主張は真実ではありません」と述べた。また、国家安全評議会のスポークス・パーソンであるエイドリアン・ワトソンは「中国の主張はすべて誤りです。情報収集のために高度の監視気球プログラムを持っているのは中国であり、米国と 5 大陸の 40 カ国以上の主権を侵害するために使用されてきました。 」とツイートした。ワトソンは「これは、中国がダメージ・コントロールを急いで行っている最新の例です。中国は、米国上空に送った監視気球が気象観測気球であると繰り返し、誤情報を主張しており、私たちの空域や他国の空域への侵入について、引き続き信頼できる説明を提供できません。」と述べている。
今月初旬にモンタナ上空で発見されたものと同様の気球は、日本、インド、台湾の上空で近年発見されている。中国は、今月ラテン・アメリカ上空で発見された高度気球が自国のものであることを認めたが、気球は気象研究を行っている民間の飛行船であると述べた。10日以来、米軍は米国とカナダの上空を飛んでいる3つの未確認の物体を撃墜した。 米国当局者は、それらがどのような種類の物体であったか又は誰がそれらを運用したかを明確にしていない。
気球は、監視技術の最も古い形式であり、現在、衛星があるにも関わらず、中国はなぜ監視気球を利用しているのかとの疑問は残ったままである。2月3日のBBCによると、独立空軍アナリストであるヒ・ユアン・ミンは、「北京はおそらくワシントンにシグナルを送ろうとしている。『われわれは関係を改善したいと考えているが、必要なあらゆる手段を使って持続的な競争の準備も常に整えている』とし、緊張を深刻に煽ることなく、「そして、一見無害に見える風船より、他に良好な手段がありますか?」と述べた。 特定のミサイル基地の近くで、予想される気球の飛行経路は、コースから外れた可能性が低いことを示唆していると述べた。中国プログラムのコーディネーターであるベンジャミン・ホー博士は、北京はより高度な監視技術を自由に使えると述べ、「彼らは、アメリカのインフラや、彼らが入手したい情報をスパイする他の手段を持っています。気球は、アメリカ人に信号を送ること、そしてアメリカ人がどのように反応するかを見ることでした」と説明した。
中国は米国に気球を探知することを希望していた可能性もある。カーネギー国際問題倫理評議会のアーサー・ホランド・ミシェルは、「発見されたことがすべての要点である可能性があります。中国は気球を使用して、深刻なエスカレーションの危険を冒さずに米国の空域に侵入する高度な技術的能力を持っていることを実証している可能性があります。この点で、気球は非常に理想的な選択肢です。」と述べた。気球にはスパイ・カメラやレーダー・センサーなどの最新技術を取り付けることが可能であり、ドローンや衛星よりも安価で配備が容易であることに加えて、衛星の動きがその軌道通過に制限されていることに比較すると、気球の速度は遅いため、対象地域を長時間うろつき、監視することもできるなど、幾つかの利点があるという。
他の理由として考えられることは、米国の内部からの弱体化と中国が抱える政治および経済的問題もあるかもしれない。米国の内側を見ると、米国は近年衰退の傾向が幾つかある。それは敵国と呼ばれることもある中国の標的になっている原因かもしれない。なぜなら、敵は相手の隙を見て一撃を加えるからである。最近の例は、米国の政治的亀裂による弱体化である。米国は、政治的に分裂している国であることは、歴史的であるが、近年ワシントンは非常に深く分裂している。2020年の選挙に敗北した当時の大統領の扇動によって、米国議事堂に殺到した大統領の支持者は2021年1月6日に、前代未聞の選挙転覆の反乱を引き起こした。そして、その大統領を支持した一部の極右派は、現在下院議会で少数派のパワーを利用しようとしている。また、最近の中国の動きを見ると、中国は益々米国に対して攻撃的になっている可能性がある。中国がスパイ気球を米国複数の空上に侵入させ、彼らの最新の気球技術を自慢することで、米国の反応を見ているとの分析の他にも説明はあるはずである。なぜなら、中国側には、米国との関わり合いも含めて多数の問題がある。米国が長期的に批判している中国の人権問題、前大統領ドナルド・トランプによって開始された中国製品に対する関税による貿易戦争は、今後中国との交渉の梃子として機能させる目的のために、バイデン政権下でも維持されている。加えて、バイデン政権によるチップ(半導体)の国内生産の促進によって、中国は米国を益々敵とみなすようになっている可能性がある。何しろ、バイデン大統領は「チップスと科学法」を推進し、議会が7月28日に可決し、バイデン大統領が8 月9日に署名して以来、中国は世界最高のチップ購入を妨げられている可能性がある。これらは中国が米国に対して、攻撃的になっている別の理由かもしれない。