睡眠時間の重要性を示唆する二つの研究

近年の実験では、睡眠時間を延長すると肥満をもっとコントロールすることが可能になり、より健康的であることが認識されている。別の研究では、短い睡眠は肥満の要因になり、様々な悪循環を引き起こす可能性が高くなることが判明している。多忙で睡眠不足傾向の現代人に最適な二つの研究は、睡眠時間の重要性を改めて見直す機会を与えている。

国立衛生研究所(NIH)の臨床データーによると、中間年齢が約30歳の80 人(男性41人)の参加者による2014 年 11 月 1 日から 2020 年 10 月 30 日まで実施されたある施設での無作為による臨床試験で、短い睡眠時間は肥満の危険因子になることが認識された。参加者の習慣的な睡眠時間は毎晩 6.5 時間未満で、短いと判断されるレベルである。肥満傾向の成人を対象にしたこの研究の目的は、実際の環境で客観的に評価されたエネルギー摂取量、エネルギー消費量、および体重に対する睡眠延長の効果を判断することであった。参加者は習慣的な睡眠を2 週間続けた後、睡眠延長グループとコントロール・ グループの二つのグループに無作為に指定された。睡眠延長グループは、就寝時間を 8.5 時間に延長し、個別の睡眠衛生カウンセリング・セッションが提供された。コントロール・ グループは、習慣的な睡眠を継続することを指示された。すべての参加者は、特定の食事や身体活動に言及されず、自宅で毎日の日常活動を続けるように指示された。

6年間実施されたこの研究結果は、 睡眠延長群はコントロール群と比較して、睡眠時間が一晩で1時間から1.4 時間増加した。睡眠延長群の95%は、コントロー群と比較して、エネルギー摂取量が一日で270カロリー減少し、体重が減少した。睡眠時間の変化は、エネルギー摂取量の変化と逆相関性があることを示した。総エネルギー消費量は、二重標識水法(被験者の行動に干渉することなく、特に活動エネルギー消費に関して、あらゆる環境でのエネルギー消費を測定するために示される方法)によって測定された。睡眠時間は、アクチグラフィー(人間の休息および活動サイクルを監視するための小型センサー装着器具)によってモニターされた。この試験で、習慣的に睡眠時間を短縮した過剰体重の成人の間で、睡眠延長はエネルギー摂取量を減らし、実際の環境で負のエネルギー・バランスをもたらすことが判明した。より長い期間にわたって健康的な睡眠時間を改善および維持することは、肥満予防および減量プログラムの一部として利用可能であると結論づけている。

逆説的に、睡眠時間が短い場合、肥満の原因になり、それに伴う様々な健康リスクに晒される可能性が高くなる。NIHの別の研究は、エネルギー・バランスの調節に関与するホルモンと代謝物に対する睡眠時間の影響をテストすることであった。標準体重の30 歳から 45 歳の男女27 人の参加者を対象にした研究で、男女の短い睡眠時間での生活は、グルコース調節不全、食欲のホルモン調節に影響を与えることが判明した。毎晩 7 時間から 9 時間の睡眠を習慣的に取っている彼らを、ベッドで4時間の睡眠を取るグループと9時間の睡眠を取る2つの睡眠条件下に配置した。この設定において、4日間行われた研究で、管理された食事が提供された。研究結果として、短い睡眠のグループは、インスリン抵抗性を高めた状態には至らなかったが、男性と女性では異なるメカニズムを介して、過食の素因となる可能性があることを示唆した。

これら二つの研究は、非常に現実に即していると思われる。睡眠不足を感じる日は、時間をかけて健康的な食事を作ることに怠慢になり、インスタント食品または栄養が偏る食事で済ませてしまう可能性もある。それは、場合によっては肥満だけではなく、他の病気も引き起こすリスクにつながる。CDCによると、米国成人の3人に1人は十分な睡眠を取っていない。睡眠不足は、二型糖尿病、心臓病、肥満、うつ病など、健康を脅かす多くの慢性疾患や状態と関連している。加えて、注意力も散漫になる可能性も高くなり、自動車事故や職場でのミスにつながり、毎年多くの怪我や身体障害の原因になっている。

要するに、米国政府機関のNIH とCDCはいずれも睡眠不足は、腎臓病、高血圧、脳卒中など、多くの慢性的な健康問題に関連しており、成人、10 代、および子供の怪我の可能性を高めることにも関連していると述べている。これらの研究結果を身近に感じる方法があるかもしれない。例えば、自身の睡眠状態が健康なレベルであるか又は注意すべきレベルであるかを自宅で確認する方法は、小さく精度の良い血圧計を購入し、睡眠が十分である期間と睡眠不足を経験している時の血圧数値を比較することである。近年、米国では手首に巻く非常に小さい小型の血圧計も薬局で販売している。これは、特に血圧が高い個人に奨励されている。メイヨー・クリニックによると、睡眠時間が 6 時間以下の人は、血圧が急激に上昇する可能性がある。すでに高血圧がある個人は、よく眠れない場合、血圧が悪化する可能性がある。睡眠は、体がストレスや代謝を制御するために必要なホルモンを制御するのに役立つと言われている。従って、睡眠の専門家は、全ての成人は毎晩7時間から8時間の睡眠をとることを推奨している。これらの研究は、長年奨励されてきたこの睡眠時間が医学的に理想的であることを示唆している。

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