債務限度引き上げ交渉はなぜ行き詰まっているのか?

下院議長のケビン・マッカーシーは28日、ジョー・バイデン大統領に宛てた書簡の中で、債務上限の引き上げまたは撤廃について、バイデンが交渉を望んでいないため、これは悲惨な状況になる可能性があるとの懸念を表明した。バイデンは引き続き、議会がこれを行う条件として、重要なプログラムの予算を削減することを拒否しているが、下院共和党が彼らの予算案を提供するなら、それについて交渉することは可能であると述べている。現在、この問題に対する取り組みは非常にスローであり、両側はまだ何の解決策も見出していない。

下院議長ケビン・マッカーシーとバイデン大統領の最初の交渉が行われてから、約二ヶ月が経過した後、マッカーシーは、再度の交渉を促すため、バイデン大統領に手紙を送り、ホワイトハウスの立場は、国全体に壊滅的な影響を与える可能性があると示唆した。現在、財務省は特別措置を講じているが、6月に全ての手段が尽きる可能性があるため、下院議長は懸念を高めているようである。極右派のフリードム・コーカスが提供した予算案に対して、ホワイトハウスは20日に、彼らの「極端な MAGAの優先事項は公共の安全に壊滅的な削減を課し、労働者と中産階級の家族のコストを増加させ、すべて裕福で大企業に偏った減税を保護しています。実際、彼らの減税は非常に高くつくので、深刻で有害な減税を行っても赤字は減りません。」として、公開文書で異議を唱えている。

下院議長が大統領に28日に宛てた書簡によると、最初の交渉で腰を下ろしたのはほぼ2か月前であるが、それ以来、「この急速に迫っている締め切りに対する有意義なフォローアップを完全に行っていない」と述べ、「日ごとに、あなたが債務上限の引き上げと並行して制御不能な政府支出への意味のある変更を交渉することを拒否するという極端な立場を主張することによって、すでに脆弱な経済を危険にさらしていることを非常に懸念しています。」と書いている。マッカーシーは、この手紙で非国防費の政府支出、未使用のCOVID-19資金、エネルギー・コストの低下など、彼が交渉を望んでいる4つの課題について概要を説明している。どのような方法で予算の削減を行うのかに関しては、双方の見解は異なるものの、大統領に書簡を送り、交渉を促した下院議長の行動は適切であると思われる。

誰も望んでいない債務不履行に陥る危険性のある問題に対して、なぜこの取り組みが非常にスローであるのか?その理由は、⑴ 現在、両院両党の代表者が参加し、ホワイトハウスとの交渉を実施していない。⑵ 歳入を得るために何を削減すべきであるかという具体案がこれまでのところ明白ではなく、双方が妥協点を見出すという努力に欠けている。⑶ ホワイトハウスは、債務上限の解決と引き換えに予算交渉をしないが、予算は別の問題として別途に交渉するという立場である。しかし、共和党はそれを明白に区別していないようである。⑷ 下院極右派の共和党議員は、債務上限の引き上げ法案に無条件で投票することを拒否しているため、予算の削減に関する交渉は、財務省の特別措置が期限切になる前に合意に達する必要があるが、そのような明白な方向性が見られない。⑸ 共和党の予算削減は、労働者および一般の人々の税金をあげることで、歳入を増加することである。一方、バイデンが先月、彼の2023年の予算案を提供した時、富豪層にわずかな増税を求める提案をした。これは、双方に極端な違いがあることを示している。

上院議会は、下院議会共和党の一部とバイデン政権との間で行き詰まりがあることに関して、無言を続けたままである。上院議会の少数派リーダーであるミッチ・マコーネルは3月8日、ワシントンのホテルで転んだ後、脳震盪(のうしんとう)を起こし、肋骨骨折も経験しているため数日間入院すると9日に報告された。リハビリ施設から帰宅したと26日に報告されているが、まだ議会に戻った様子はない為、上院議会の一部は、論議を行なっているが、総体的に静かである。この課題に関して、現時点ではマコーネルの助言や声明は期待されていないが、下院議長は、経済が壊滅的になると予測されている債務不履行を阻止する意図があることは明白である。しかし、下院共和党のフリードム・コーカスは、彼らの思い通りにならない場合、以前その危機さえ厭わないと示唆したことがある。ムーディーズ・アナリティックスの経済主任マーク・ザンディは民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が開催した債務上限に関する3月7日の小委員会の公聴会で、連邦政府が期限内に支払う能力を使い果たす前に、議会が国の借入限度額を引き上げることができない場合、米国経済は急速に100万人の雇用を失い、2024年に景気後退に陥る可能性があると警告した。

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