食べ物の皮膚への影響

Photo credit : Life Extension

How Your Diet Affects Your Skin

The  New York Times : 2023年10月 9日

この記事は、様々な研究に基づいて、複数の皮膚科医らが食べ物は肌に影響を与えると述べていることを伝えている。幾つかの小規模な実験は、一定の食べ物の摂取を調整することで、ニキビの発生を減少させることができると述べている。更に、地中海食は、皮膚がんの発症を減少させる可能性がある。また、髪の成長、健康な皮膚と爪を促進すると宣伝されているサプリメントのバイオチンについて、一部興味深い実情について報告している。最近、大幅に市場に出回っているバイオチンについての当ブログの付加的な調査も紹介してみたい。

サウス・キャロライナ州エイケンに住むローレン・プロック博士は、「私たちの食事は絶対に肌に影響を与えます」と語っている。皮膚は心臓や肝臓と同じ器官で、食物からの栄養素によって構築され、維持されているからだという。たとえば、タンパク質はコラーゲンの生成に必要な栄養素であり、皮膚に潤いを与えて維持し、傷治癒の促進に役立つという。 そして、ビタミンCやEなどの抗酸化物質は、大気汚染や太陽光から肌を守ってくれると説明している。プロック博士は、地中海食が皮膚に乾燥したかゆみを伴う斑点を引き起こす乾癬患者にも効果がある可能性があると述べた。しかし、トロント大学の皮膚科医で医学准教授アーロン・ドラッカーは、一般的に食生活の変更が皮膚疾患を治療できるという証拠は限られていると言った。たとえ食生活の変更が効果をもたらしたとしても、依然として薬が必要な場合があるとし、タンパク質が欠乏すると、皮膚が薄片状になったり、変色することもあるという。

コネチカット大学医学部の皮膚科および小児科の准教授メアリー・チャンは、特定の栄養素が欠乏すると皮膚の問題を引き起こす可能性があると述べた。たとえば、ビタミンCの欠乏は壊血病を引き起こす可能性があり、あざができやすくなり、傷の治癒が悪く(poor wound healing)、皮膚が荒れて分厚くなるなどの症状が生じる。チャン博士は、主に10代の少年や若い男性を対象に実施された幾つかの小規模な研究で、ソーダ、お菓子、白パン、パスタなどの砂糖やでんぷん質の多い食品を減らすとニキビに効果があることが判明したと述べている。一部の報告では、乳製品やホエイ・プロテイン・パウダー(whey protein powder)の摂取が、より重篤なニキビと関連している(associated with more severe acne)ことを示唆していると述べた。ベイラー医科大学の皮膚科医で臨床教授ラジャニ・カッタは、食生活が肌に与える影響をより微妙に研究するのは難しいが、幾つかの研究でヒントが得られると語った。

研究が示唆していること

オランダで2019年に発表された研究で、研究者らは、ほとんどが60代と70代の約2,800人の高齢者の食事記録と写真を分析した。その結果、果物、野菜、魚、繊維が豊富な食品(fiber-rich foods)をより多く食べる女性は、肉やスナック食品をより多く食べる女性よりもシワが少ない傾向があることが判明した。同年に発表された別の研究で、地中海食(the Mediterranean diet)を実践したフランスの女性は、そうでない女性に比べて皮膚がんを発症するリスクが大幅に低いことが判明した。著者らは、食事の抗酸化(antioxidant)と抗炎症作用(anti-inflammatory effects)が役割を果たしている可能性があると推定した。しかし、ドラッカー博士は、一般的にあまりにも多くの食品や食品グループを排除すると、予期せぬ結果(unintended consequences)が生じる可能性があることに注意するよう促した。たとえば、乳製品の摂取を控えると、カルシウムやビタミン D が失われる可能性があるため、必要な栄養ニーズを満たす(meet your nutrient needs)ためにさまざまな食品でバランスの取れた食事を心がける必要があると述べている。

健康な肌のための食事アドバイス

プロック博士は、特定の欠乏症と診断されていない限り、サプリメントからではなく食品から栄養素を摂取するのが最善であるが、サプリメントは十分に規制されておらず(aren’t well-regulated)、時には良いことよりも害を及ぼす(cause more harm than good)可能性があると述べた。例えば、フランスで行われたある大規模な臨床試験(large clinical trial)では、ビタミンCとビタミンE、ベータカロチン、セレン、亜鉛を含む抗酸化サプリメントを毎日7年半摂取した成人女性は、サプリメントを摂取しなかった女性よりも皮膚がんを発症する確率が68%高かった。また、髪、肌、爪をサポートすると主張するバイオチン・サプリメントには、推奨用量(recommended dose)の最大650倍の量が含まれている可能性があり、臨床検査結果が不正確になる可能性がある。プロック博士が健康な肌に最も勧めるのは、抗酸化物質(antioxidants)や植物由来の保護化合物( protective plant-based compounds)などの有益な栄養素を提供する地中海食だという。チャン医師は、ニキビができやすい患者(acne-prone patients)に対し、少なくとも4~6週間は乳製品(dairy products)、砂糖や精製炭水化物(refined carbohydrates)を多く含む食品の摂取を控えるよう勧めることが多いという。これはすべての人に役立つわけではないが、大幅な改善(significant improvements)に気づく人もいると述べた。

この研究で注目すべき点は、髪の成長を促すとして、サプリメントに含まれている主要成分の中で、強調されているものがバイオチンであり、圧倒的に多数のブランドのバイオチンがオンライン市場に出回っていることである。バイオチンには、皮膚、爪、髪の発育を助ける必須タンパク質が含まれているとして、皮膚科医が勧めていることから、皮膚や皮膚にどの製品がベストであるかを調査する個人または調査組織は、様々な製品を吟味した後に、バイオチンと記載された名称のサプリメント製品をベスト・ワンに挙げている場合もある。一方、バイオチンのサプリメントが髪の成長を促すという医学的効果についての証拠は非常に弱く、それが実際に髪の成長に役立っているかと言うと、それほどでもないという。一方、国立研究所の臨床データーによると、脱毛を訴える女性の38%は、バイオチン欠乏症であることが判明している。バイオチンは、ビタミン H (H はドイツ語で「髪と皮膚」を意味する Haar und Haut を表す)又はビタミン B7 としても知られるビタミンB 複合体の水溶性ビタミンである。

しかし、FDA(食品医薬品局)は、バイオチンの1 日あたりの推奨食事摂取量を定めていない。そのため、サプリメントでBIOTIN(バイオチン)の名称のみで販売されているバイオチンの摂取量は最低2,500 マイクログラム(mcg)、最大25,000 mcgであり、最も頻繁に見る表示は10,000 mcg(10mg)である。メイヨー・クリニックによると、適切な摂取量は成人と十代で30から100 mcgである。また、7~10歳の子供には1日あたり30 mcg(0.03 mg)、4 ~ 6 歳の子供 は 1 日あたり 25 mcg、誕生から 3 歳までの小児には 1 日あたり 10 ~ 20 mcgに限定しているため、現在オンラインで販売されているバイオチンの摂取量は驚異的に高い。

要するに、髪、皮膚、爪の健康に効果があるとして販売されているほとんどの製品は、本格的および長期的な臨床試験での証拠に基づいたものではないということである。現在のところ、バイオチンに関しては、実際に髪、皮膚、爪の向上に関する信頼性の高い証拠も非常に不足しているが、10,000 mcg (10mg)が非常に危険であるとの証拠も発見されていないことから、バイオチン製品が無制限に市場に出回る一因でもあるようだ。ほとんどの皮膚科医は、彼らの研究に基づいて、皮膚に健康な一定の食品を特定していない傾向があるが、総体的に特定の場合を除き、サプリメントに依存することなく、様々な食品をバランス良く食べることを勧めている。一般的に食と健康に関する研究は、野菜、果物、豆類、ナッツ類を組み合わせた食事が皮膚の健康に最適であり、湿度や、弾力、小皺の改善に役立つと言われている。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む