米国の温室効果ガス排出量の減少と経済成長

世界的な経済データ分析と政策に関する独立した調査とデータを公共及び民間部門両方の意思決定者に提供している大手の独立系調査組織が10日に公表した2023 年の米国の温室効果ガス排出量の暫定予測によると、米国2023年の排出量はパンデミック前のレベルまで減少している一方で、米国の経済は成長している。

正確な情報を提供することで定評のある超党派ロディアム・グループが10日に公開した推定によると、2023 年の米国の温室効果ガス排出量は前年比 1.9% 減少し、経済は年間で 推定2.4% 拡大している。温室効果ガス排出量は依然としてパンデミック前のレベルを下回り、2005 年のレベルを下回る 17.2% に低下した。また、2023 年の経済成長と排出量削減は並行して発生している。米国経済は、消費者と政府支出の増加に支えられ、パンデミック後も成長を続け、2023年にはGDPが年率推定2.4%で拡大する。インフレーションは2022年よりは低いものの、依然として高止まりしており、経済全体、特にエネルギー部門に逆風を引き起こしている。しかし、経済は成長している一方で、米国の温室効果ガス排出量は推定通り2023 年に減少した。

排出量の低下要因は、比較的温暖な冬と石炭火力発電所の発電量の減少によるものであり、電力部門と建築部門の排出量が減少した。運輸部門の排出量は1.6%増加したものの、燃料消費量は依然パンデミック前の水準を下回っている。しかし、国内の石油・ガス生産量の増加により産業排出量は1%増加した。インフレ抑制法 (IRA) とインフラ投資・雇用法 (IIJA) が予測される排出量にどれほどの影響があるかを判断するにはまだ時期尚早であると述べている。また、経済全体の排出量の減少は正しい方向への一歩であるが、排出量50 ~ 52%の削減を目指すパリ協定に基づく米国の気候目標を達成するには、その減少率を3倍以上に増やし、2024年から2030年まで毎年そのレベルを維持する必要がある。

同じ組織の予備的な経済活動およびエネルギー活動データを使用した推定は以下のとおりである。⑴ 2023年の経済全体の温室効果ガス排出量は2022年のレベルから1.9%減少した。これは、パンデミックの影響による2020年の減少を考慮しない場合、2016年以来最大の排出量減少になった。⑵ 米国の温室効果ガス排出量は 2005 年のレベルより 17.2% 減少している。⑶ 排出量は、依然としてパンデミック前の2019年のレベルから約6%減少している。⑷ 米国の温室効果ガス排出量は、2009年の景気後退後の2010年にピークに達し、その後2011年から2019年にかけて温室効果ガス排出量は年平均0.7%減少し、その後パンデミックとそれに伴う経済的影響により排出量は大幅に減少した。

同組織によると、パンデミックとそれに伴う経済的影響の他にも米国で温室効果ガスの排出量が減少している幾つかの理由がある。① 石炭が送電網で果たす役割は益々薄れ、天然ガスと再生可能発電機の両方がそのギャップを埋めている。② 2021年に発電量が一時的に増加した後、石炭は長期的に減少を続け、2023年には発電量に占める石炭の割合は17%にとどまった。これは過去最低を更新し、2023年には石炭が最後に供給した1969年と同量の電力を送電網に供給することになった。③ 原子力は、石炭よりも多くの電力を生成し、それは米国史上 2023 年に2 回目であり、もう1 回はパンデミック中の 2020 年に発生したと推定されている。④ 太陽光発電部門は再び記録的な設置台数に向けて順調に推移し、新たな実用規模の蓄電池設置台数は2023年の最初の3四半期だけで2022年のフル・レベルを上回った。しかし、マイナスな側面もある。例えば、前年に比較して2023 年には天然ガス発電量は、再生可能エネルギー発電量の 2 倍以上の速度で増加した。風力タービンの設置台数は2022年の推定レベルの半分程度であり、2021 年の設置レベルはわずか 3 分の 1 であった。

バイデン大統領は、炭素汚染を削減するための米国史上最大の投資としてIRAを推進し、それを2022年8月12日に可決させた。本格的な環境政策が始まった1970年代以来、政府の気候政策に懐疑的な人の一部は、IRAのような汚染削減の取り組みが「米国の経済成長を鈍化させる」と主張する人もいるが、IRAは「経済成長への重要な投資としても機能している」と財務省は指摘している。要するに、2005 年以来、温室効果ガスの排出量は17.2%に減少していることは顕著な向上があることを示唆している。これは、2030 年までに 2005 年のレベルより少なくとも 50% 減少させると言うパリ協定の目標に近づくことを示唆している。パンデミックのピーク時期に、車の交通量が大幅に減少し、大気が清浄になったとの報告を思い出す。更に注目すべきことは、10年以上前から予測されていたように、化石燃料の需要は衰退傾向が続いており、世界的にクリーン・エネルギーが主流になるとの予測も正しかったことを示唆している。長期的には原子力による電力生成と電気車の推進により、今後も温室効果ガスの排出量は引き続き減少する可能性が益々高くなることを示唆している。鳥がタービンに巻き込まれるとの懸念から、風力タービンの設置台数が減少している可能性がある。しかし、ハワイ州のように、非常に低コストで低所得者向けの太陽光発電プログラムを提供するという州が増えれば、益々クリーン・エネルギーは促進されると思われる。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む