前大統領のNATO放棄のコメントに多大な反響

現在31カ国が加盟している北大西洋条約機構(NATO)は、ヨーロッパと北米諸国に対するソ連の攻撃から集団安全保障を提供するため1949年に創設されたものである。そして、同盟国の基本的な柱は、一加盟国に対する攻撃は、同盟内のすべての国に対する攻撃となるという集団的自衛権の条約を定めた第 5 条である。ドナルド・トランプ氏は、10日の集会でNATOがもっと防衛に支出しない場合、ヨーロップ諸国に対して、プーチンがNATOを攻撃することを望むなら、それを認めると示唆した。トランプは11日から12日(今日)にかけて、バイデン大統領、NATOおよび欧州連合のリーダー達による鋭い批判に直面している。

ドナルド・トランプ氏は土曜日(10日)、サウス・キャロライナ州コンウェイのコースタル・キャロライナ大学での集会で、「ある大国の大統領の一人が立ち上がってこう言いました。『もし私たちがお金を支払わずにロシアに攻撃されたら、あなたは私たちを守ってくれますか?』私は『あなたは払っていません』と言いました。「いいえ、私はあなたを守りません。実際、私は彼ら(ロシア)にやりたいことは何でもするよう勧めたいと思います」と語った。これは、2017年1月の就任以降からNATO離脱の計画を頻繁に語っている内容とほぼ同じことを意味する主張である。つまり、トランプは彼が再選に成功すれば、第 5 条を遵守しないと示唆した。

トランプの唯一のライバルであるニキ・ヘイリーは日曜日(11日)、CBSニュースのフェイス・ザ・ネイションでのインタビューで、「この件で私が気になるのは、敵対者を殺害する凶悪犯の側に立ってはいけないということです。ある国を侵略し、50万人を死傷させた側に立ってはいけないということです」と語った。バイデンは同日、選挙キャンペーンでの集会で、トランプがNATO同盟国を放棄する意図を明確にしたと述べ、トランプの発言がもたらす潜在的な影響について、「トランプ大統領が、さらなる戦争と暴力に青信号をプーチン大統領に与え、自由なウクライナに対する残忍な攻撃を続け、ポーランドとバルト三国の人々への侵略をロシアが拡大するつもりであると認めたことは危険であり、ぞっとします」と語った。

NATOと欧州連合のリーダー達は12日、トランプの発言に反応している。NATOの議長イェンス・ストルテンベルグは、同盟国が相互に防衛しないという「あらゆる提案」に反発した。CNN Worldの報告によると、彼は「同盟国が互いに防衛しないとのいかなる示唆も、米国を含む我が国の安全保障全体を損なうものであり、米国と欧州の兵士を更なる危険に晒すことになる」と述べた。また、 「大統領選挙で誰が勝利しても、米国は強力で献身的なNATO同盟国であり続けると期待しています」と述べ、同時にNATO加盟国に対するいかなる攻撃も「団結した強力な対応」に迫られることになると強調した。欧州連合の外交政策責任者ジョゼップ・ボレルは12日、「NATOは米国大統領のユーモア次第では、アラカルトの軍事同盟にはなり得ない」と述べた。欧州理事会の議長シャルル・ミシェルは、Xへの投稿で「NATOの安全保障と第5条の団結に関する無謀な発言はプーチン大統領に利益を与えるだけである。それらは世界にさらなる安全や平和をもたらすものではない」と述べた。

ポーランドのドナルド・トゥスク首相は12日に「EU、大西洋横断協力、NATOに代わる選択肢はない。『一人はみんなのために、みんなは一人のために』という連帯の考えを表す言葉は、近代ヨーロッパの哲学の基礎であり、現代ポーランドの最も重要な価値観です。これには、特に脅威の状況において、欧州社会の断固とした行動が必要です」と述べた。エストニアのカジャ・カラス首相は12日、記者団に対し、トランプ大統領の発言は「これまであまり貢献してこなかった同盟国の一部を目覚めさせるかもしれない」と述べた。NATO軍関係者は、トランプ大統領のレトリックの一部には同意しないものの、特定の加盟国が防衛費を増額すべきだと前大統領が示唆したのは「完全に間違っているわけではない」とCNNに語った。関係者は「ヨーロッパ人がこれほど裕福なのに、自分たちで問題を解決できないということがどうしてありえるのでしょうか。同盟内の多くの人がそのように考えていると思いますが、もちろん米国に頼ったほうが安上がりです」と言った。

要するに、前大統領トランプは2017年の就任以来、NATO同盟国に対する資金調達がどのように機能するかを正確に説明していない。彼はNATOの意義について、引き続き混乱していると思われる発言を繰り返している。NATOの集団的自衛権の条約である第 5 条が最初に発動された記録は、2001年9月11日に米国が同時多発テロに直面した時である。つまり、これまでの記録の中で、当時、NATO同盟国は初めて、米国が攻撃されたため、米国の同盟国は、米国が米国を攻撃した国に戦争を宣言する場合、米国と一体になることを表明した。トランプの発言は、米国のみが他の同盟国を援助しているので、彼らは支払う必要があるというニュアンスであるが、9.11の事件を振り返るとそれは間違いである。

メディアが最も敏感に反応した要点は、トランプは彼が満足する程度の規模で31カ国のNATO加盟国が防衛を強化するために支払いをしない場合、大量虐殺を行い戦争犯罪の容疑に直面したロシアの大統領ウラジミール・プーチンが思う通りにNATO同盟国を侵略すれば良いと主張したことである。トランプは、2017年1月の就任以来、ヨーロッパ同盟諸国が、防衛費の分担金を増加するよう頻繁に求めた。NATO同盟国は、ロシアが2014年にウクライナ領土の一部であるクリミアを侵略した後に、防衛費を年間でGDPの1%を増加し、さらに2022年にロシアがウクライナに対する全面侵略の攻撃を開始して以来、再度防衛を強化するために2 %増加を目指しているが、これは任意的であるため、全ての国がその目標を達成しているという訳ではない。また、各同盟国の防衛費の増加目標は、米国に支払う必要があるとの協定ではないが、トランプは米国に支払うべきであると主張しているようである。彼のサウス・キャロライナでの10日の発言は彼が何を考えているのか誰も明確に理解できない類のものである。しかし、彼のこれらの発言は、米国上院議会がイスラエルとウクライナへの安全保障資金を提供するかどうかを論議している時に来ている。ロシアが2022年2月にウクライナを侵略してから既に2年を迎える中で、議会は両国に合計約950億ドルを提供するというものである。

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