前大統領ドナルド・トランプは現在、恐らく彼の人生で最大の経済的罰則に直面している。ニューヨーク州の司法長官レティシア・ジェイムスが告訴した財政詐欺の裁判で、裁判官は16日、利息まで含めて4億ドル以上の罰金支払いを命令した。加えて、トランプと彼の二人の子息は同州で三年間、ビジネスを行うことが禁止された。裁判官はトランプが上訴する場合30日以内に限定したため、前大統領は幾つかの理由により困難に直面している可能性がある。
アーサー・エンゴロン判事は、州法に違反した責任があると判定し、約3億5,500万ドルと利息を課し、合計4億5,500万ドルを支払わなければならないと判定した。また、判事はトランプの家族が長年行っているファミリー・ビジネスの一部を含めて、州内でビジネスを行うことを3年間禁止した。つまり、トランプ・オルガニゼーションのCEOである彼の長男のトランプ・ジュニア及び次男のエリック・トランプは彼らのビジネスを三年間閉鎖しなくてはならない。しかし、これらの現金支払いの罰則は、彼が破産することを意味しないという。ニューヨーク・タイムスの分析によると、トランプは破産するような「危険性はない」が、この「決定は同氏の億万長者のイメージを象徴的に傷つけるとともに、経済的に深刻な打撃を与えた」という。
同紙は、30日以内に4億5,500万ドルをどのように捻出し、どのように支払うかという点について、トランプは「債券を確保する必要がある」と述べている。「保釈金を提供する企業は事実上、トランプが判決で言い渡された金額を支払う資金があることをニューヨーク州に保証しなくてはならない。この保釈金により、トランプの上訴が審理されている間、同州当局は徴収することは不可能」である。トランプはE・ジーン・キャロルに2回目の名誉毀損訴訟の裁判で敗北し、8,330万ドルの支払いをしなくてはならない。これらの判決に加えて、「幅広い法的問題に直面している中、社債はプレミアムを請求し、トランプに現金やその他の流動資産を担保として差し入れるよう要求する可能性がある」ため、債券を発行してくれる企業を探すことはさほど簡単ではないと示唆している。トランプは「近年、現金を蓄えてきたが、判事の判決によりそれは危機に瀕している。名誉毀損事件の判決からエンゴロン判事の判決後の約4億5000万ドルの支払いまでの間に、トランプは現金が不足するかもしれない」と言う。
経済的に切迫している可能性がある間接的な理由の一つは、トランプ・ブランド名の衰退が挙げられる。トランプのブランド名を使用した高級コンドミニアム(分譲マンション)の価格は最近低下しているため、コンドミニアムの所有者は、彼らの資産も減少していると言う。不動産追跡会社 2 社からの販売データ及びコロンビア大学の経済学者スタイン・ファン・ニューワーバーグによるデータ分析を引用したタイムスの18日の報告によると、ドナルド・トランプの名前は、長い間「不動産の世界で贅沢の代名詞」であったが、近年販売の「業績が下回っている」という。マンハッタンにある豪華なコンドミニアムの建物もその 一つである。2016年に、ニューヨークのトランプ大統領のブランド・マンションの価値は下落し始め、他のコンドミニアムのマンション市場と比較して、売り上げの業績が悪くなったという。
不動産学の教授であるニューワーバーグは、「トランプのロゴが入った建物のコンドミニアムは1年間で、同様の物件と比べて1%のプレミアムで販売される状態から、4%安い価格で販売されるようになった。これは、トランプのコンドミニアムが市内の高級住宅の中で『お買い得』になったことを意味する」と言う。また、トランプが所有するとされる最も有名なビルは5番街にあるトランプ・タワーであるが、シティ・リアルティのコンテンツおよび調査担当上級ディレクターであるオンデル・ヒルトンの報告を引用したタイムス紙によると、トランプ・タワーの「コンドミニアムの平方フィート当たりの平均価格は2013年以来49%下落した」という。ヒルトンは「建物の老朽化、近辺の億万長者の超高級コンドミニアムとの競争の激化、定期的な抗議活動などがすべて関心を薄れさせている」と述べた。数年前に幾つかの建物からトランプのロゴが撤去されたことは知られている。法廷闘争や住民の要請などの理由により、トランプ名の看板が除去された「4棟のマンションの価値は急上昇」していると言う。ニューワーバーグは「建物からトランプの名前を除去することで、その名前に伴う損失はない。この分析は、価値悪化の原因がトランプ・ブランドである事を明確に示している」と述べた。
トランプは、判定後に彼のソーシャル・メディアへの投稿で、ニューヨーク民事詐欺事件で彼と彼の会社に巨額の罰金支払いを命じた判事と司法長官を批判し、この判決は「完全な偽装である」と書いた。また、「ニューヨーク州の司法制度、そしてアメリカ全体が党派的で、欺かれ、偏見を持った裁判官と検察官による攻撃にさらされている。人種差別主義者で腐敗した司法長官レティシア・ジェイムスは、長年トランプを『手に入れる』ことに執着しており、私と私の家族、そして私の巨大な事業に対して違法で非アメリカ的な判決を下すためにひねくれたニューヨーク州判事のエンゴロンを利用した」と述べている。
この唖然とする主張をどれくらいの率の有権者が信じるだろうか?トランプ・ブランドの建物の価値は減少し、その看板を撤去したコンドミニアムの価値は急上昇するという現象を彼らはどう見ているだろうか?裁判官が決定した罰金は、長年の税金詐欺に対する正当な報復である。数年の調査に基づき、訴訟を起こしたニューヨーク州の司法長官レティシア・ジェイムスは、16日夜に行われた記者会見で、前大統領ドナルド・トランプは金融業者に提出した書類で自身の純資産を水増し、州法に違反したと非難した。彼女は「権力者が法律を破って正当な取り分以上のものを奪うと、働く人々、中小企業、家族が利用できる資源は減ってしまいます。この国では、人によって異なる規定が存在するはずがありません。元大統領も例外ではありません」と語った。
最後に、裁判中に様々な悪態と批判を受けたアーサー・エンゴロン判事の決定は、トランプに対して同情的ではないことを示唆しているが、トランプが保持する資産以上の罰金ではないとの説もある。しかし、トランプは30日以内に上訴するか又は現金を支払うよう命じられたため、上訴するにしても、控訴裁判所でも支払いが可能であると言う証拠を提示しなくてはならないため、罰金の支払いを延期することも免れることもできない。債券を発行してくれる企業は、トランプには現金があることを裁判所に保証しなくてはならないため、現在困難に直面している可能性がある。トランプが定期的に受ける確実な現金は、社会保障、元大統領に支払われる大統領年金などであるが、これらの現金は弁護士費用に比較すると微々たるものである。昨年だけで5,000万ドルであったと報告されている彼の法的費用は支持者の寄付からきており、そのような寄付金は彼が使い果たしたと言われている。