
リチャード・グレネル Photo credit : CNBC
前大統領ドナルド・トランプの同盟者の一人は、トランプ政権が終わった後も、海外の極右派のリーダー達と会い、外交を行ない、バイデン大統領と彼の政権を攻撃しているという。つまり、一市民になっても、トランプの元「特使」は、世界中の非民主的な指導者に対する影響力を発揮するため、旅行し、彼らと会談している事実をトランプは認めているとのショッキングな事実が判明した。トランプが大統領に再度就任した場合、米国は権威主義の指導者によって運営され、実際にその準備は始まっていると示唆している。リチャード・グレネルとは一体どのような人物か?
リチャード・グレネル(1966年9月18日生まれ)は、テレビタレント、共和党政治工作員、外交官である。彼はミズーリ州スプリングフィールドのエヴァンジェル大学で政府および行政の学士号を取得して卒業した。 彼はハーバード大学ジョン・F・ケネディ行政大学院で行政学の修士号を取得した。当時の大統領トランプの指名により、グレネルは2018年から2020年まで駐ドイツ米国大使であり、2019年から2021年までセルビアとコセボ和平交渉の大統領特使を務めた。グレネルは2020年2月にトランプによって国家情報長官代理に指名され、同性愛者であることを公表して米国閣僚に就任した初の人物となった。彼は三ヶ月後の2020年5月にその職を辞任した。グレネルはドイツでの在職期間中、極右との関わりやプロとしての認識と行動が欠如しているとして政治的・外交的に孤立していたため論争的な人物である。トランプの長男も含めて、現在もトランプの家族とは親しい関係であり、トランプ義母の葬式など、家族との個人的なイベントにも参加しているという。現在、トランプを再戦させるため、トランプ陣営の一員としても働いているという。
ドナルド・トランプは一般市民になった後も、同じく一般市民であるグレネルを「私の特使」と呼び、海外の極右派のリーダー達と会談を行い、バイデン政権を批判しているという。ワシントン・ポストの報告によると、トランプ政権下でわずか3ヶ月間、国家情報長官代理を務めたリチャード・グレネルは、トランプがホワイトハウスを去った後、世界中の様々な極右指導者と会談してきた。例えば、民主主義の危機に揺れている中米の国グアタマラでは、昨年大統領選が行われ、反汚職運動家が予想外に勝利した。法執行機関による選挙事務所への強制捜査や暴力による脅迫の最中、バイデン政権は、この選挙での平和的な権力移譲を可能にするための基礎づくりに真剣に取り組んだ。しかし、グレネルは第52代新大統領ベルナルド・アレバロが就任する日の2024年1月15日の4日前(11日)にグアタマラに到着し、選挙を弱体化させようとする右派のキャンペーンを支援し、アレバロの就任式の阻止を求めて訴訟を起こした強硬派の右翼団体「リーガ・プロ・パトリア」の指導者らとその夜会談した。翌日、グレネルは選挙に敗北したアレハンドロ・ジャンマッテイ大統領と昼食を共にし、引退する大統領はインスタグラムでグレネルを「米国の偉大な同盟者」と呼んだ。その4日後、米国国務省は「重大な汚職への関与」を理由にジャンマッテイの米国入国を禁止し、数百人の反民主主義者を制裁した。グレネルは、米国や国際監視団が「自由で公正」と宣言した投票を転覆しようとして、投票箱を押収したグアタマラ当局者を擁護し、バイデン政権のこの制裁を政治的動機によるとして攻撃した。
これら最近のグレネルの活動は、権威主義及び独裁者を支持するトランプの意志を反映している。トランプは頻繁にグレネルを「私の特使」と呼ぶという。民主主義を遵守するバイデン政権が、グアタマラで民主的な新リーダーの権力譲渡を可能にする努力をしている時、トランプの元同盟者は、すでに一般市民でありながら、現役の大統領または現政権の外交政策を阻止するために、極右指導者や運動家らと会い、まだ指名さえ受けていない大統領選の最中に、トランプの支持を約束するなど、「一種の影の国務長官」として活動しているという。ポスト紙は、グレネルの動きについて、「元外交当局者が外国指導者との会談を続け、世界の舞台で大統領候補の政策を推進するのは異例である。世界各地を飛び回るグレネルの行為は、国家安全保障のキャリア官僚や外交官の間で深い懸念を引き起こしており、グレネルが悪者たちを勇気づけ、トランプの個人的な目的のために米国の利益を危険にさらしていると警告している。その過程で、グレネルは、権威主義的指導者との共通の大義を発見し、民主主義同盟国とのパートナーシップを崩壊させると脅迫した共和党大統領候補に対する外交政策のロード・マップを公然と描いている」という。
グレネルはグアタマラへの数日間の旅行中に45人以上の政治家やビジネスリーダーと会ったとソーシャル・メディアで主張した。トランプ政権下で特使として働いていたバルカン半島では、バイデン政権と個別に関与している国家元首らと会談を続けてきた。 昨年、トルコがスウェーデンのNATO加盟への計画を発表した際、グレネルはその動きを阻止する脅しのため、トランプとトルコ大統領の会談を仲介しようとしたと、匿名を条件に元大統領に近い関係者2人が個人的な会話について語った。スウェーデンのNATO加盟はロシアの大統領ウラジミール・プーチンが最も恐れている欧州中立国の動きの一つである。トランプの最初の4年間の外交政策の中心は、NATO自体を弱体化する事であったことは大幅に知られている。NATOに対するトランプの二期目の方針は、彼の個人的な「特使」によって既に推進されているという。
2020年11月の大統領選でトランプは敗北したため、2021年1月20以降、トランプとグレネルは間接的及び直接的に世界の指導者たちと会談を続けており、セルビアとコセボ間で緊張が高まる中、グレネルはマー・ア・ラゴでトランプと会食した数日後、2021年11月にバルカン半島に戻った。トランプは声明を発表し、グレネルを「私の特使」と呼び、この地域における2020年の経済協定を「歴史的」であると宣伝した。グレネルは訪問中に米国の政策を批判し、コセボ大統領は、その同月にワシントンでバイデン政権の高官らと会談したという。トランプの「特使」の行動は、現政権の外交活動と並行して、バイデン大統領や国務省長官アントニー・ブリンケンが会談している指導者と会い、バイデン政権が進めている「和平協定交渉の努力を中傷し、民間開発を推進しているという。グレネルはセルビアで「トランプの代弁者となり、将来の政権で重要な役割を果たす可能性があるという認識を反映している」という。グレネルは2021年にベオグラードのキャバレー・クラブで、権威主義的傾向とロシアとの関係で米国から批判されているアレクサンダー・ブチッチ大統領の親しい同盟者であるセルビア財務大臣とパーティーを行った。
これらのショッキングな状況について、国務省の要職を40年間務めたダニエル・フリードは「トランプとグレネルは、左派のトルーマンから右派のレーガンに至るまで、自由世界におけるアメリカの指導力をひっくり返し、それをもっと暗いものに置き換えると思います。それは取引上のものです。民主主義の価値観は無関係であり、孤立主義的です」と語った。トランプ下で、元国家安全保障担当補佐官であり、トランプは大統領に「ふさわしくない」と批判しているジョン・ボルトンは、「グレネルはトランプ大統領が2期目に求めている最優先事項、つまり絶対的な忠誠心を満たしています。大統領の顧問が彼に負っているのは、何が正しいかについての意見、健全な判断です」と述べ、実際にはその逆のことが起きる可能性について警告した。
結論として、ドナルド・トランプは無法であると言われ続けているため、この報告は驚くことではないが、現在市民である元大統領と彼の元特使が、現在の政権の外交政策を批判または論議するために、外国の指導者と会談することが、合法的であるかは疑問である。少なくとも、前例のない異様な行為であり、トランプの特使として極右派の国の主導者や高官と会っているグレネルとその活動を自慢した元大統領は彼ら自身が市民であることを全く認識していないことを示唆しており、正常な活動であるとは思えない。コーネル大学法学部の米国法典18 § 953の解説によると、「米国国民はどこにいても、米国の権限なしに、外国政府またはその役人または代理人と直接的または間接的に、措置または政策に影響を与える意図で通信または交流を開始または継続することはできない。米国との紛争や論争に関連して、または米国の規定を破るために、外国政府またはその役人もしくは代理人の行為を行った場合、このタイトルに基づいて、罰金刑及び又は3年以下の懲役が科せられるものとする」と説明している。この法律はグレネルが非合法な活動に従事している可能性があることを示唆している。少なくとも、ビジネス思考のトランプと彼の「特使」は極右派の国と何らかのビジネス協定を結んでいることも示唆している。ワシントン・ポストの2020年2月下旬の報告によると、北米でハンガリー文化を促進し、ハンガリー系アメリカ人をハンガリーに焦点を当てた活動やイベントに参加させることを目指していたマジャール銀行慈善財団は、2016年にハンガリー政府からほぼ全ての資金提供を受けており、グレネルの会社は、同財団を支援するためにメディア活動を行っていた。このハンガリー関連の仕事で、彼は外国政府からの資金を直接または間接的に受けた可能性がある。また、2021年に共和党全国委員会(RNC)はグレネルにコンサルティング料として135,000ドルを支払った。グレネルは、納税申告書が入手可能だった最新の2022年に、トランプ支持の2つの非課税団体から400,000ドル近くを受け取ったという。
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