米国の人々は歴史上これまで一度も遭遇することはなかった異常な時代に生きていると思う。それは、2020年初頭から台頭した新型コロナウイルスの感染によって、100万以上のアメリカ人が死亡し、経済は一時的に閉鎖され、2021年1月に米国議事堂で米国民による暴動が発生し、現在、前大統領が4つの告訴によってもたらされる裁判の一つに直面し、他の裁判も選挙前又は選挙後に直面する可能性がある。同時に、イスラエル・ハマス戦争への怒りが激化し、米国多数のキャンパスでプロテストの波が押し寄せ、卒業式の日でさえ、親パレスチナ派を支援するためのデモ抗議が行われているような状況の中で、米国民は途方もないような時代に生きているかもしれない。
致命的なコロナウイルスの感染によって、米国で死亡した人口は歴史的に大規模である。CDCの4月27日の更新によると、死者数は1,190,122人である。1918年にはスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザで、米国は同年に675,000人を失った。この数値は、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争を合わせた死傷者数であるが、コロナウイルスの米国の死者数は、1918年のインフルエンザより遥かに多かった。国立衛生研究所(NIH)によると、この世界的なインフルエンザの蔓延は1918 年(推定発生地:スペイン)、1957 年(アジア)、1968 年(香港)に 3回発生している。1950年代以降、近代のウイルス学の研究は深まった。真のパンデミックとして分類されていない3つの注目すべき流行病は、死亡率が低い1947年の疑似パンデミック、子供の間で蔓延した1977年の流行、そしてパンデミックの可能性が懸念された1976年の豚インフルエンザの不完全流行である。大規模なインフルエンザの流行には予測可能な周期性やパターンがなく、すべてがそれぞれ異なっているという。コロナウイルスは次々に変異し、近代史の中で全世界の人々が経験した最も脅威的なパンデミックである。現在もコロナウイルスは完全に終息したとは言えない。
そして、米国は、経済的にも公衆衛生健康の側面でも、まだ完全にコロナウイルスのパンデミックから回復していなかった2021年1月6日に、前代未聞の連邦議会議事堂での襲撃事件が発生した。2020年11月の大統領選挙で敗北し、証拠を提供できず、彼の選挙が盗まれたとの虚偽の主張を繰り返した当時の大統領は、その選挙結果を覆すため、議会の認可プロセスを停止するよう彼の支持者に促した。この日、9,000人を超えるトランプの支持者が議事堂に集まり、その中で約800人の暴力的な暴徒は、窓ガラスやドアを破壊し、上院議会および下院議会に侵入したのである。
この事件に関連してドナルド・トランプが直面している4つの罪状は、米国に対する詐欺の共謀、証人の改ざん、国民の投票権利に対する共謀、公式手続きの妨害の試みである。ご承知のように、トランプは、彼はまだ当時大統領であったため、彼には絶対的に起訴から逃れることが可能な免責があると主張した。そして、この主張に対して、米国最高裁は大分遅れて4月25日に、仮説的側面も含めて論議したことはご承知のとおりである。2017年1月20日から2021年1月20日まで、大統領であったドナルド・トランプが指名した3人の保守派判事が終身職である最高裁に送られた後、1973年に米国の礎となったロー対ウェイドの判決はあっけなく転覆された。それ以来、選出された公職者ではない米国最高裁の判事らは、選出された行政府の最高指揮官である大統領および同じく選出された議員らで構成される立法府よりも、彼らが最高の地位にあるという横柄な態度があると見られるようになった。
米国政府の司法省を代表し、ドナルド・トランプを告訴した特別検察官ジャック・スミスは、連邦犯罪の共謀および妨害の容疑で起訴された前大統領の裁判でどのような判決が下されるかを米国民は選挙前に知る権利があるため、判定を遅らせないように最高裁に何度も求めたが、彼らはスケジュールを決める事も、彼らの権利であるという態度であるように見えた。多くの専門家は、裁判を選挙後まで引き延ばし、トランプが選挙に勝利した場合、彼は司法省を使って、彼に対する告訴を全て取り消すと予測している。最高裁が政治的であることは、近年だけの傾向ではないが、現在の最高裁の評価の衰退は、過去にアメリカ人が見ていなかった顕著なものがある。スミスにわずかな望みがあるとしたら、最高裁の評判を最も気にしている主席判事ジョン・ロバーツが判定の中心となり、幾分中道的側面があるエイミー・コニー・バレットおよびブレット・カヴァナフを説得し、遅くても任期が終わる6月にその決定を発表する可能性があるとの予測もある。
加えて、昨年10月7日に起きたイスラエルに対するハマスのテロ行為は、史上最悪の国際テロ行為の一つであると言われている。この日、数千人のハマス・グループはガザ近郊のイスラエル人地域社会に対する残忍な攻撃を展開し、イスラエルで約1,200人を殺害し、数十カ国以上の国民と少なくとも240人を人質に取った。それ以来、イスラエルはガザでのハマスに対する戦争を開始し、無差別のドローン攻撃で、子供や女性を含む多数のパレスチナ人が死亡し、飢餓に直面している状況が続いている。親パレスチナ派の学生が全米で反戦の抗議活動を続けている中で、警察の介入に伴い、先週からキャンパスでの平和的なプロテストは暴力的になった。先週、逮捕された学生の数は全米で3,000人を超えると言われている。
そのような中で、人生の最も良い思い出になるはずの5月の卒業式シーズンでさえ、一部の地域の学生らは、反戦のプロテストを行う計画を立てているという。ニューヨーク・タイムスが5 日に伝えたところによると、大学の卒業生によるキャンパスの「抗議活動はガザを巡る発火点になる」という。インディアナ州とミシガン州で学生主導のプロテストで混乱があった翌日の5日、ノースイースタン大学とオハイオ州立大学は卒業式を主催していた。親パレスチナの抗議デモにより、少なくとも2つの主要大学の卒業式が妨害された翌日、ガザ戦争をめぐる緊張が卒業シーズンの始まりに及んでいる中で、全米の大学の行政当局は、更なる抗議活動に備えていた。最近数十人の抗議参加者が逮捕されたノースイースタン大学とオハイオ州立大学の2つのキャンパスは、日曜日(5日)の卒業式に数千人の学生とその家族が参加した。タイムスによると、同紙の集計では「数週間に及ぶキャンパス・デモで警察の一斉検挙と2,300人以上の逮捕を引き起こした。この卒業式は、ガザでのイスラエルの戦争を批判し、イスラエルからの撤退を求めるため、再び注目を集める機会を親パレスチナの学生たちに提供する」ことであった。
タイムスが提供した写真によると、土曜日(5月4日)にインディアナ州ブルーミントンのインディアナ大学で卒業式を終え、野営地に座る学生の後部には「我々は止めません」、「我々は休みません」というプラカードが掲げられている。抗議活動に参加しない一般的な学生は、家族や友人とお祝いのパーティで、人生の一つの目標を成就したことに感慨の思いで過ごしている時、反戦抗議が重要であると純粋に考えている学生らは、単に政治や宗教を超えた信念があるように見える。そのような学生らを「極左狂人」と呼び、11月の選挙に勝利し、彼に対する告訴を全て取り消し、彼が直面している裁判の恥を暴露している全ての敵に報復すると誓っていると言われている。その前大統領が願っている最も重要な刑事告訴に基づく裁判を遅らせることに何の抵抗も示さない幾人かの腐敗した最高裁保守判事が権威的な態度を示していることも異常な時代の側面の一つであると思われる。