食品インフレは選挙の最も重要な課題

有権者にとって最も重要な課題は引き続きインフレーションであり、特に食品の物価である。これは11月の選挙での主な優先課題であり、先月発表されたユーガブの世論調査では、米国人の64%がインフレは「非常に深刻な問題」であると答えた。米国人が最も懸念しているのは食料品の価格である。専門家は、複数の現実的な理由に基づき、特に食品の価格は、コロナウイルス以前の状況に戻ることはないと予測している。

ニューヨーク・タイムスの13日の報告によると、ブルンバーグの調査に参加したエコノミストらは、全体のインフレ率は前年比3%上昇し、6月の3%上昇と同水準になったとみている。専門家は、こうした数値から判断し、連邦準備制度理事会(FRB)当局者が9月に利下げを実施する可能性があると予測している。最近、経済減速の兆候に動揺した投資家は、市場を支える方法として、金利の引き下げを期待しているという。

インフレーションは、コロナウイルス、ウクライナでの戦争直後から直面したサプライ・チェーンの減少により供給が需要に追いつかないことが物の値段を押し上げた為である。コロナウイルス蔓延直後、「消費者は外食を避け、パニックに陥った買い物客は食料品を買いだめした。労働者は新型コロナに感染し、食料品店、倉庫、食肉加工工場の人員確保が困難になり、企業のコストが上昇した。そして、2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー価格と穀物や植物油などの商品の価格が上昇したため、食品の生産と輸送のコストが上昇した。さらに最近では、干ばつと鳥インフルエンザの流行により、食糧供給がさらに逼迫している」と言う。これらの出来事が重なり、企業はコスト上昇分を消費者に転嫁したため、食料品は値上がりした。顕著な値上がりを見ているのは卵である。タイムスによると、卵十二個入りのパックの「平均価格は4年前の1.55ドルから2.72ドルへとほぼ2倍増加し、シリアルやパン製品の価格は同時期に約25%、果物や野菜は約14%上昇」した。

ミシガン州立大学の食品経済学者デビッド・オルテガは、これらの値上がりは主に食品の輸送、包装、加工によるコスト増加によるものであると指摘し、「食品コストの大部分は、食品が農場から出荷された後の出来事によるものです」と述べた。また、サプライ・チェーンの問題が緩和されるにつれ、食料品価格のインフレはパンデミック前の水準に近いレベルに戻ったが、オルテガは、買い物客は食料品価格全体がすぐに大幅に下がることを期待すべきではないと指摘し、「コロナ以前の価格に戻ることはないでしょう」と語った。同氏は賃金の伸びが食料品価格の上昇を上回っており、平均的な非管理職労働者が1週間分の食料品を購入するのにかかる時間は2019年とほぼ同じだという最近のホワイトハウスの分析を指摘した。しかし、しばらくの間、賃金の伸びが食料品価格の上昇に追いつかなかったため、消費者は「非常に厳しい時期」を経験しており、すべての労働者が、価格に対応可能な賃金上昇を経験しているわけではない。

幾人かの専門家は、「予想外のショックがない限り、今後数カ月は食料品のインフレが現在の水準にとどまると予想している。農務省は、2024年に「家庭の食料品」の価格が昨年の5%から1%上昇すると予測している。調査会社インフレーション・インサイツの創設者オマール・シャリフは 「食料品価格は予想通りの水準にほぼ戻っている」と述べ、食品のカテゴリーによって、通常のインフレーションの水準が上がるものと下がるものがあると説明している。例えば、牛肉と子牛肉の価格は6月までの1年間で5.1%上昇した。しかし、ハムの価格は前年比4.3%下落し、牛乳と魚介類の価格は同時期にそれぞれ1%下落した。KPMGの上級エコノミストであるミーガン・ショーンバーガーは、今後数カ月、気候関連の混乱により食糧供給が圧迫される可能性があると予測し、今年のハリケーン・シーズンは活発であり、農作物が全滅する恐れがあるため、「混乱が多ければ多いほど、食糧のインフレ率は高まるだろう」と述べた。

そして、食品のインフレーションは引き続き主な政治的課題である。バイデン政権は食品価格の高騰を認識しており、ジョー・バイデン大統領は「食品・飲料会社が過剰な利益を上げていると非難し、食料品チェーンにコスト削減」を要求した。その甲斐があって、「一部の食品会社は、消費者の買い物控えに対応して、特定の商品の値下げ計画を示唆している。先月、ペプシコの幹部は、数年にわたる値上げの後、特定の塩味スナック菓子やその他の商品の値下げやセールを実施する意向を示した」と言う。コーネル大学の農業経済学者クリストファー・バレットは、幅広い価格上昇が予算の他の部分を圧迫し、多くの買い物客が依然として不満を抱いていると述べ、 「特に住宅費はパンデミックが始まって以来急激に上昇している。これにより、必要な食料を購入する能力が制限される」と指摘した。

しかし、米国の食品の値段は今年、著しく減少した。ニューヨーク・タイムスが提供した米国の消費者向け食料品価格の年間変化を示した折線グラフ上から一定の期間のみを追跡すると、現在の食品のインフレ増加は2019年1月1日の水準に戻ったことを示している。これらの期間で、物価高がピークに達した時期は2022年8月1日の+14%であり、2022年がもっとも圧迫が強かったことを示している。2023年12月1日から2024年上半期の増加は+1%である。

 2019年2020年2021年2022年2023年2024年
1 月1日+1%+1%+4%+7%+11%+1%
6月 1日+1%+6%+1%+12%+5%+1%
12 月1日+1%+4%+7%+12%+1% 

要するに、インフレーションは複雑なグローバル問題が絡んでいるため、大統領が簡単に修正できるほど単純な問題ではないと思われる。しかし、利益を増加させるため値段を意図的に吊り上げるか又は、量を減少させながらも目立たない範囲で値段を上げている企業もあるため、バイデン大統領の様に、食品会社に対して、直接声を出すこともできる。一方、ドナルド・トランプは12日早朝、約3年半ぶりに旧ツイッター(X)への投稿で「我が国の経済は崩壊しました。アメリカン・ドリームを再び手頃な価格にしましょう」と言ったが、どのように、それを行うかについては一度も語ったことはない。彼は、コロナに緊急対処しないことを選択し、経済を崩壊させる原因を作ったのはトランプ政権である。バイデンは、就任後から今日に至るまで、他のどの大統領よりも最大の雇用を拡大した記録が繰り返し報告されている。現在、大多数のアメリカ人が、特に食品と住宅のコストに圧迫されている状況で、両党の大統領候補者にとって、それをどの様に緩和できるかを有権者に説明する必要があるかもしれない。有権者の日々の食卓の出費が重要な課題になっている中で、カマラ・ハリスは今週金曜日に有権者が懸案事項のトップに挙げているコスト削減策に取り組むための経済政策に関するスピーチを行うと伝えられている。彼女がトランプより先に経済政策を公的に語ることは良い兆候である。今月19日からシカゴで開催される民主党全国大会で代議員らは、ハリスをほぼ確実に指名する可能性が高い。

アメリカ・ウオッチ- Yuko's Blogをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む