2024年の選挙に干渉しているロシアを調査して米国司法省、財務省、及び国務省は、ドナルド・トランプの勝利を促進するため、クレムリンが国営メディアやフェイク・ニュース・サイトを利用して、米国の有権者を動揺させ、ロシアの利益になる虚偽情報を広めることで、米国の選挙に影響を与えるロシアの関係者を告訴及び制裁したことを発表した。司法省の4日の発表は、米国が2016年の教訓を活かして、ロシアの選挙干渉に関連するプロパガンダに対する監視、調査及び法的執行能力が大幅に強化したことを示唆している。米国のある会社がロシアからの支払いを受け協力していた事実はショッキングな側面である。
ニューヨーク・タイムスが4日に伝えたところによると、「2016年、米国はロシアがトランプのために投票に影響を与えようとしていることを諜報機関が知り、国民に警告するのが遅れたため、不意を突かれた。その後の選挙では、米国の諜報機関は、ロシア、中国、イランによる米国の選挙への影響を迅速に告発することに積極的になった」という。2024年の選挙で、米国当局は、ロシアの選挙介入の動きに対する警告を強化している。米国の諜報機関は、クレムリンが11月の選挙で、米国のウクライナ支援に懐疑的なドナルド・トランプを支持していると評価している。ウクライナ戦争により、11月の選挙はプーチンにとって最も重要な選挙のひとつである。ハリスとバイデン政権はウクライナへの積極的な支援を継続すると予測されている一方、トランプはウクライナを妥協させ、「戦争を迅速に終わらせる」と表明した。トランプの副大統領候補JDヴァンスは、ウクライナへの資金提供に対して「軽蔑的な発言」をした。しかし、当局者らは、選挙干渉との戦いは今年もっと困難になっていると述べている。なぜなら、特にトランプの支持者は、ロシアが偽情報を広めているという非難を、彼らの「見解や政策立場を弱体化させようとする試み」であると批判している。
ロシアのプロパガンダに対する司法省が取った法的措置
米国司法省の取り組みには、2022年2月にロシアが侵攻したウクライナに関するプロパガンダや偽情報を拡散するために利用しているクレムリンに対して、制裁、起訴、ドメインの差し押さえなどが含まれる。同省の長官メリック・ガーランドは4日、テネシー州の企業を利用して虚偽情報を拡散した国営放送局RTのロシア人従業員2人を起訴し、ドッペルゲンガーとして知られるロシアの悪意ある影響力キャンペーンを取り下げるなどの司法省の措置を発表した。水曜日の起訴状は、RTのロシア人従業員コスティアンティン・カラシニコフとエレナ・アファナシエワが外国代理人登録法違反の共謀罪で告発されたことを示した。また、ロシアは名前を明かさないテネシー州の企業に秘密裏に1,000万ドルを支払い、YouTube、TikTok、Instagram、Xで約2,000本の英語動画を拡散させたとされている。司法省によると、その動画のほとんどはロシア政府の目的を支持するもので、YouTubeで1,600万回再生されている。司法省の措置は、ロシアのプロパガンダを秘密裏に広めるために使われた32のドメインをさらに押収した。政府の宣誓供述書によると、ドッペルゲンガーのキャンペーンは、現在ウラジミール・プーチン大統領の第一副首席補佐官を務めるセルゲイ・キリエンコが運営している。FBI長官のクリストファー・レイは、虚偽ニュース・サイトが正午時点で政府に押収されたと述べた。裁判所の文書は、キリエンコが少なくとも2022年以降、悪意ある影響力キャンペーンを指揮していたという。ガーランド長官は、ロシアの内部計画文書に「キャンペーンの目的は選挙でロシアが望む結果を確保すること」と記されていたと述べた。
国務省と財務省が取った措置
米国は、米国の政治に影響を与えようと試みているロシアの組織に対してすでに措置を講じている。国務省は、米国の選挙への外国干渉に関する情報に1,000万ドルの報奨金を申し出ており、RT、ラプトリー、スプートニクなど、ロシアの国営ニュース・メディア5社を制裁した。財務省は、ドッペルゲンガー・ネットワークの運営に協力しているロシアの非営利団体ANOダイアログと、RTの編集長マルガリータ・シモニャンとその部下を制裁した。財務省は3月、偽情報を広めるフェイク・ニュース・サイトの作成を支援したロシアのグループに制裁を科し、7月にはRTとソ連KGBの後継組織である連邦保安局にもリンクする2つのインターネット・ドメインを押収した。ドッペルゲンガー・ネットワークは、正当なニュース機関になりすましたサイトを使用していた。同ネットワークは、アメリカ人になりすました偽のソーシャル・メディア・プロフィールを使用して、読者に正当なニュース・メディアへのリンクであると信じ込ませていた。偽ニュース・サイトは、フォックス・ニュースやワシントン・ポストなどのサイトを模倣して、米国の特定の視聴者をターゲットにしていた。裁判所の文書によると、偽のワシントン・ポスト・サイトの投稿は親ロシア、反ウクライナの視点をアピールしていた。このネットワークは、米国議会が今年、論争的な法案の投票に苦戦する中、ウクライナへの軍事資金提供を阻止することを狙った誤報キャンペーンに主に焦点を当てていた。
ロシアに対する現在進行中の捜査
ガーランドは水曜日の4日に司法省の選挙脅威タスク・フォースの会議を開き、起訴状を発表し、ロシアの干渉を阻止するための政府の最新の取り組みを詳述するとみられている。FBI長官クリストファー・レイや司法省国家安全保障局長のマスュー・オルセンを含む他の当局者も出席した。つまり、司法省とFBIは、クレムリンの虚偽の情報を故意に広めたとして告発された数人の米国人を捜査している。しかし、当局は言論の自由を抑制することが目的ではないことを強調し、ロシアの国営メディアで見たニュースを単に繰り返し、広めるだけの米国人は、この取り組みの一環として捜査の対象にはならないと述べた。米国は、ロシアの諜報機関が国営放送局RTを利用して、ボットやその他の手段で偽情報を拡散していると主張している。米国当局は、ロシア政府とその諜報機関が選挙に影響を与えるためにRTをどのように利用しているかを詳しく調査している。
司法長官ガーランドは「米国民は、外国勢力が政治活動に従事したり、公の議論に影響を与えようとしている時に知る権利がある」と述べた。ガーランドは、水曜日に発表された容疑で事件は終わったわけではないことを明白にし、「捜査は継続中である」と言った。ガーランドは、これらのビデオは「米国国内の分裂を増幅させ、特にウクライナで進行中の戦争など、ロシアの核心的利益に対する米国の反対を弱めようとするロシアの関心と一致することが多い」と述べた。また、ガーランド長官によると、テネシー州の会社とロシア政府とのつながりについて、同社はロシア政府とのつながりを明らかにしていないという。 3月にモスクワのコンサート会場でテロ攻撃があった後、RTのロシア人従業員の一人であるアファナシエワはテネシー州の同社に対し、ウクライナが犯行に及んだという虚偽の物語に焦点を当てるよう指示した。これはクレムリンによる重要なプロパガンダ活動である。
今年の米国の戦争に干渉している国はロシアだけではなく、イランも同様である。イランの場合、両候補者のどちらも特に支持しているわけではない。米国当局者やテクノロジー企業のアナリストは、今年の米国大統領選挙を左右しようとするイランのキャンペーンの一部は激化する可能性があると見ている。同国は、敵対国、特にイスラエル、サウジアラビア、米国に対して秘密裏に情報作戦を行ってきた歴史があり、ロシアや中国ほど目立ったものではない。しかし、政府、企業関係者、イラン専門家は「イランの最近のプロパガンダと偽情報の取り組みはもっと多様で大胆であり、もっと野心的になっていると指摘している。当局者は、イランの取り組みがトランプ前大統領のホワイトハウス復帰を妨害する意図があることを示唆しているが、バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領も標的にしており、より広範囲に米国内の不和を煽り、米国の民主主義体制の信用を失墜させるというもっと広範な目的がある」事を示唆しているという。
最後に、プーチンは2月中旬、ドナルド・トランプよりジョー・バイデンを好むと見え透いた虚偽を語った。ロシアの米国の選挙干渉が最も顕著な例は2016年に、ウラジミール・プーチンを尊敬していたとされるドナルド・トランプを勝利させるための多大な努力があったとして、当時の司法省共和党副長官ロッド・ローゼンスタインは2017年5月17日に特別検察官ロバート・ミュラー(共和党)を指名し、2019年4月中旬に調査を終えるまで、約2年間の調査が行われた。米国はロシアの虚偽キャンペーンについて、有権者に公開することが遅れただけでなく、選挙10日前に当時のFBI共和党長官ジェイムス・コミが、新たに発見されたヒラリー・クリントンの電子メールの捜査を行うと発表したことはご承知のとおりである。それでも、クリントンは人気投票では約300万票もの差で勝利したように見えたが、選挙人数の有利な獲得でトランプが勝利した。2016年にロシアが成功した選挙干渉以来、米国は外国の選挙干渉にもっと敏感になり、特にロシア対する調査は迅速になり、驚異的に進歩し、強化されたことを示唆している。既にロシアの関係者に対する法的措置を講じているという報告は、国民の混乱を避け、選挙をスムースに運ぶ可能性があるため、高く評価する必要がある。