ジョー・バイデン大統領は、日本鉄鋼がUSスチールの買収を求めている取引を阻止していている。バイデンの動きは、11月の選挙での勝利が6日に米国議会に承認された次期大統領ドナルド・トランプの保護主義に類似した姿勢があることを示している。日本製鉄とUSスチールはバイデン政権を告訴した。USスチールの買収について、トランプはバイデンの方針を引き継ぐ可能性が高い。過去に、共和党大統領が民主党大統領の有名な経済政策を支持した歴史に似たものがある。
例えば、第32代大統領フランクリン・D・ルーズベルトは1929年に始まった大恐慌の経済を引き継ぎ、1933年から約5年間で、大恐慌に対処するため、一連の国内プログラム、公共事業、金融改革および規制を重視したニューディール政策を打ち出した。優秀な軍人であった第34代共和党大統領ドワイト・D・アイゼンハワーは「中道」を模索しており、ルーズベルトのニューディール政策を覆すことはなく、むしろ「受け入れた」ことで、ニューディール政策をアイゼンハワーが「どの程度受け入れたか、また、その理由について、歴史家や伝記作家の関心を集めた」という。政府アーカイブの記録によると、共通に認識されているのは、アイゼンハワーが「改革を政治的必要性として受け入れた」ということである。「ニューディールはアメリカ国民から広く受け入れられていた。米国に対する期待が高まることは政治的現実」であった。 大統領が「ニューディール派に身を売った」と非難した保守派の弟エドガー・アイゼンハワーに1954 年 11 月に宛てた手紙の中で、「もし、どの政党も社会保障や失業保険を廃止し、労働法や農業プログラムを廃止しようとしたら、その政党の名前は私たちの政治史上二度と聞かれなくなるだろう。もちろん、こうしたことが可能だと信じている小さな分派は存在する。しかし彼らの数は極わずかで、彼らは愚かだ」と指摘した。
この時代には、民主党および共和党大統領は、常に民衆のための政策を優先していた傾向があった。それは貿易政策にも現れていた。米国は第二次世界大戦後から、一般的に自由貿易を支持しており、貿易協定を確立することで、それを促進してきた。米国は、関税および貿易に関する一般協定の成立に尽力し、世界貿易機関の加盟国になった。また、北米自由貿易協定や中米自由貿易協定など、他の国々と多くの自由貿易協定を交渉し、貿易障壁を削減し、透明性のある開かれた貿易システムの構築に取り組んだ。自由貿易を支持した顕著な歴代大統領は、ドワイト・アイゼンハワーであり、同大統領は 1958 年の一般教書演説で、米国の国益と世界平和のための自由貿易を支持した。これまで、米国の貿易政策は米国と世界に経済的利益をもたらすという観点からほとんど成功している。
バイデン政権がUSスチールの買収を阻止している理由の一部として考えられる点は、1980年代に、USスチールが政府から経済救済を数回受けたことである。米国政府の企業に対する救済は直接的資金または税金削減である。このような経済救済をする理由として、USスチールは近代化するという公約に基づいていたが、どれほど近代化されたかは不明である。米国がUSスチールを日本に譲渡した場合、日本には有利になる可能性があるが、バイデンが反対している理由は、国土安全保障の脅威である。しかし、USスチールと日本製鉄は合併阻止の決定をめぐり、バイデン大統領を6日にワシントンDCの連邦裁判所に提訴した。この訴訟でバイデンと他の政権高官らが政治的利益のために審査プロセスを腐敗させ、虚偽の口実で取引を阻止することで鉄鋼労働者と米国の鉄鋼業界に損害を与えたと非難している。バイデンは、外国投資の審査を担当する政府委員会が合併を進めるかどうかの決定に至らなかった後に、合併を阻止しようと動いているようである。バイデン大統領は1月3日の声明で、米国が国内で所有・運営される強力な鉄鋼産業を維持できるよう行動していると述べた。大統領は以前、USスチールが米国所有のままであることを保証すると宣言した。バイデン政権は、日本製鉄によるUSスチールへの140億ドルの買収提案を取り下げており、日本が米国の緊密な同盟国であることを考えると、こうした権限が乱用されているのではないかという疑問を提起した。取引が阻止された稀なケースでは、通常、中国など米国の敵対国とつながりのある企業が関与しているという。
次期大統領ドナルド・トランプも12月初旬に日本の新日本製鉄によるUSスチールの買収を阻止すると宣言した。トランプは2024年の選挙キャンペーン期間に、反対を数回表明しており、12月2日、ツゥルース・ソーシャルへの投稿で「かつて偉大で強大だったUSスチールが外国企業、今回の場合は日本の新日本製鉄に買収されることに私は断固反対する」と述べたことはご承知の通りである。バイデン政権は、全米鉄鋼労働組合からの反発にも直面している。同組織の会長デビッド・マッコールは今年初め、「私たちの懸念は、豊富な証拠に根ざしている。日本製鉄は、日本と中国で1,600万トンの過剰生産能力を処分するにあたり、米国やその他の国々に基材と完成品の両方を戦略的に輸入してきた長い歴史があり、そのすべてが米国の鉄鋼製造と米国の鉄鋼労働者に損害を与えている」と主張した。
トランプは6日、USスチールの売却を望んでいないことを引き続き明らかにした。彼は 「関税によってUSスチールは遥かに収益性が高く、価値の高い企業になるのに、なぜ今売却したいのか?かつて世界最高の企業だったU.S.スチールが、再び偉大さへの道を先導するのは素晴らしいことではないですか?」とツゥルース・ソーシャルアに書いた。同様にこの取引に反対している第47代大統領トランプは1月20日の午後からすぐにこの問題に直面すると思われる。貿易となると、トランプは彼の最初の一期目より、世界の多くの貿易国に対して高い関税を課すと述べているため、経済専門家は広範な関税は、価格を上昇させ、米国の労働者に有害であり、経済成長を鈍らせ、グローバル問題の解決を困難にする可能性があるとの懸念を表明している。関税に影響を受ける大企業のアップル社、ウォールマート、ターゲットなどはその懸念を表明している。トランプに会ったアップル社のCEOティム・クックは、彼の会社の製品は中国で生産されるため、関税には全面的に反対している。
そのような状況で、次期大統領の経済政策を検討している側近らは、米国に輸出している全ての国に適用されるが、「重要な輸入品のみを対象」とする関税計画を検討しているようである。それでも、経済にマイナスの影響があるとの予測もある。マイナス側面を繰り返し懸念する専門家が増えている中で、トランプはある程度慎重になる可能性があることを示唆している。何しろ、二期目のトランプは、彼が世界の経済に悪い影響を及ぼすような経済政策を推進した場合、トゥルース・ソーシャルを所有するトランプメディア&テクノロジー・グループと彼が保持しているDJTの株値は直接影響を受けるからである。同社の株価は2024年3月下旬に特別買収会社(SPAC)と合併して株式を公開した当時、約71ドルで始まり、9月下旬には史上最安値の12ドル前後まで下落したが、現在約35ドル前後で取引されている。