労働統計局は4月に雇用が増加したことを示し、これに反応した株式市場も明るい数値を示した。複数の専門家は警告を込めて楽観的に反応している。ある経済学の教授は、貿易戦争によって最も影響を受ける業界が何であるかを表明している。経済の強さのバロメーターの一つは、雇用情勢であると思う。近年の雇用記録は、ジョー・バイデンがどの大統領より、雇用拡大に力を入れた大統領であることを示唆している。
5月2日に労働統計局が公表した4月の非農業部門の雇用者数は177,000人増加し、失業率は4.2%で変化はなかった。2024年5月以降、失業率は4.0%から4.2%の狭い範囲に留まっている。成人男性は4.0%で成人女性は3.7%である。グループ別の失業率は低い順位から、アジア人(3.0%)、白人(3.8%)、ヒスパニック(5.2%)、黒人(6.3%)、10代(12.9%)である。月間を通してほとんど変化が見られない状態である。もっとも失業率が低いのはアジア系アメリカ人であり、最も高いのは引き続き10代である。
雇用増加が安定しているという報告に株式市場は肯定的に反応し、東部時間の11時半頃ダウ工業平均株価は600前後ポイントで良好な数値を示した。恐らく、その理由は一部の経済専門家が4月の雇用情勢は、景気後退を反映していないと評価したからである。株式市場ウォッチは「予想を上回るこの統計は、貿易戦争が経済にどのような影響を与えるかを見極めるまでFRBが政策金利を据え置き、現状維持を続けるための根拠となる」と述べている。CNNテレビ・ニュースによると、ムーディーズ・チーフ・エコノミストのマーク・ザンディは 「4月の雇用統計は、経済が景気後退に陥っていないことを示しています。ファイアウォール(防火壁)は脆弱な状態にあります。今後数週間で貿易戦争が緩和されなければ、ファイアウォールは崩壊し、景気後退に陥るでしょう」と警告した。
CNNビジネスによると、EYパルテノンのチーフ・エコノミストであるグレゴリー・ダコは2日、CNNのマット・イーガン記者に「この完璧な報告書は、関税が発動される前の米国経済がどうなっていたかを示しているように思えます。関税が影響し始めたのは月後半なので、需要と雇用へのショックは5~6月期のデータでより顕著になるでしょう」と述べた。また、シティグループのグローバル・チーフ・エコノミストのネイサン・シーツは「企業界からは、様子見という声が聞こえてきます。たとえ楽観的な見方をしているとしても、最終的にはまずまずの状況に落ち着くでしょう。それでも、全てがどうなるかを見極めたいと考えているため、企業投資の足かせとなる可能性があります」と述べた。ロヨラ・メリーマウント大学の経済学教授のサン・ウォン・ソーンは2日「4月の雇用統計は労働市場がまだ停滞していないことを確認しているものの、貿易摩擦の不確実性、連邦政府の人員削減、そして労働力供給の逼迫が明らかに打撃を与えています。今後数ヶ月で最も大きな打撃を受ける可能性が高い業界は、製造業、小売業、運輸業、農業、歓待業、そして連邦政府委託サービス業などです」と述べた。
最後に、良好な雇用情勢は、経済の強さのバロメーターの一つであると思われる。近年50年間の8人の大統領の中で、4年の任期であった大統領のうち、目立って雇用が拡大した政権の大統領はジョー・バイデンである。近年の大統領の月平均雇用拡大数は以下の通りである。
| 大統領名 | 月平均数 |
| ジミー・カーター | + 215,000 |
| ロナルド・レーガン | + 168,000 |
| ジョージH・Wブッシュ | + 55,000 |
| ビル・クリントン | + 239,000 |
| ジョージW・ブッシュ | + 14,000 |
| バラク・オバマ | + 121,000 |
| ドナルド・トランプ | – 56,000 |
| ジョー・バイデン | + 456,000 |
3月の雇用増加は185,000であった為、実際には若干減少している。一方、4月の雇用増加の予想は130,000以上であったことから、実際にはその予測を遥かに超えたため、経済専門家は肯定的に反応しているが、引き続き関税の悪影響を懸念している。現時点では景気後退の兆しはないものの、関税が施行された場合、間違いなく景気後退に陥ると警告している。これまでのところ、圧倒的多数の経済専門家は関税の利点を強調していない。むしろ、製品に高額の税金をかけることになる関税は、米国およびグローバル経済を崩壊すると警告しており、トランプ大統領は彼自身の計画を慎重に見直す必要があることを示唆している。これまで、数回関税の施行を延期していることから、最終的にはこのような経済専門家の声に耳を傾けると信じたい。