米国議会は、大規模な減税法案の費用を部分的に相殺するための支出削減を含むドナルド・トランプ大統領の予算案の取り組みを行っているが、これにはメディケイドの削減が含まれている。加えて、多数の連邦支出削減が提案されている中で、議員らはほとんど意見が分裂していることを示唆している。
最近、共和党議員らはトランプ大統領の政策を推進するための取り組みの一環として、7月初期までに成立させることを目指している減税法案に取り組んでいる。下院共和党議員らは今後10年間で2兆ドルの連邦支出を削減するために、メディケイドへの大幅な削減を検討している。しかし、メディケイド支出削減をめぐり、共和党内で深刻な対立が起きており、前進するには困難な問題が生じている。共和党が大幅に支持している選択肢の一つは、成人受給者に最低限の就労要件を課すことである。トランプ大統領は、メディケアとメディケイドの利益を個人から略奪することを望んでいないが、改革することを要求していると語る共和党議員もいる。更に、共和党は、フード・スタンプとして知られる補足栄養支援プログラム(SNAP)などの他の連邦福祉プログラムの受給者の一部に対して、就労要件の拡大も提案している。つまり、下院の予算案は「農業関連支出を削減するため、SNAPの就労要件は下院予算案と整合する」よう提案している。
ワシントン・ポストが5日に伝えたところによると、上院議会で簡単明瞭にメディケイド削減に反対している穏健派の共和党議員スーザン・コリンズ(メイン州)は先月、予算案の枠組みがメディケイド削減への道を開くとの懸念から、共和党が提案している予算案に反対票を投じた。リサ・マーカウスキー上院共和党議員(アラスカ州)とジャシュ・ハーレイ上院共和党議員(ミズーリ州)は、「メディケイドに就労要件を追加することには前向きだが、メディケイド給付の削減には賛成しない」と述べた。下院共和党議員の中には、メディケイド削減法案に反対するという議員もいる。また、「州税と地方税の控除額が拡大されない限り、法案への支持を拒否する」議員もいる。上院共和党の中には、歳出をコロナウイルス蔓延時前の水準まで支出を削減しない限り、いかなる法案にも賛成しないと宣言した議員もいる。ロン・ジョンソン(ウィスコンシン州)は先週「支出を2019年の水準に削減しない限り、法案に賛成票を投じない」と表明した。同氏は「パンデミック前の支出水準への回帰を主張するグループが増えています。これは、下院でも上院でも取り組んでいる水準よりも遥かに低いものです」と述べた。 ジョンソンは共和党が現在、支出削減を十分に検討していないと述べ、「従って、私は賛成票を投じません」と宣言した。
上院共和党多数派のリーダーであるジョン・スーン(サウス・ダコタ州)および下院共和党議長マイク・ジョンソン(ルイジアナ州)にとって、両院で可決可能な法案を起草することは益々困難になっている。様々な要求は、十分な支出削減をほぼ不可能にする可能性があるという。例えば、財政委員会のトップ・メンバーであるジョン・コーニン上院共和党議員(テキサス州)は、「競合する要求があまりにも多い」ため、成立するには非常に困難であると述べた。下院共和党議員は「エネルギー・商業委員会に対し、法案の一環として、少なくとも8,800億ドルの削減案をまとめるよう求めている。議会予算局は、メディケイド、メディケア、または児童健康保険制度の削減なしには実現不可能である」と述べている。トランプ大統領とジョンソン下院議長は「給付金を廃止しない」と明言している。
下院共和党議員12名は先月、ジョンソン議長宛ての書簡で、「社会的弱者層のメディケイド適用範囲の縮小を含む最終和解法案は支持できないし、支持するつもりもない」と警告した。 書簡に署名したジェフ・ドリュー下院共和党議員(ニュージャージー州)は「本当に懸念を抱いている共和党議員は約25人いますが、心臓発作のように深刻な懸念を抱いている人は8人から10人いると承知しています」と述べた。ドリュー議員は5月1日、メディケイド削減は共和党の下院敗北につながる可能性があると警告し、「注意しなければ、中間選挙で敗北は確実です」と記者団に語った。
共和党は「2017年の増税費用を賄うため、連邦税申告書における州税および地方税の控除額を制限」した。現在、「高税率州の郊外地区を代表する共和党下院議員5名は、1万ドルの控除上限が撤廃されない限り、2017年の減税延長法案には賛成票を投じない」と表明した。 彼らは「できるだけ多くの中流家庭にとっての解決策という点で、私たち5人の考えはそれぞれ少しずつ異なりますが、可能な限りの前進を遂げるために一致団結していきます」と記者団に語った。 しかし、下院超保守派のフリードム・コーカスのメンバーであるチップ・ロイ下院共和党議員(テキサス州)は「計算が合う」限り、上限引き上げには反対すると述べた。加えて、下院運輸委員会は、「法案の財源確保のため、電気自動車の登録料を250ドル、ハイブリッド車の登録料を100ドルに引き上げる」ことを提案した。リック・スコット上院共和党議員(フロリダ州)は「私は増税には賛成しません。手数料引き上げにも賛成しません」と記者団に語った。
加えて、ランド・ポール上院共和党議員(ケンタッキー州)は、共和党がこの法案を用いて債務上限を5兆ドル引き上げる計画に反対票を投じた。 先週、法案にこのような増額を盛り込むことが反対につながるかと問われたポール議員は、「私は債務上限を5兆ドル引き上げることに賛成していない」ので投票しないと述べた。また、先月も予算枠組みに反対票を投じたトーマス・マシー下院共和党議員(ケンタッキー州)は、財政赤字を増やす法案には賛成できないと述べ、「共和党の法案は、年末に期限切れとなる2017年の減税措置を恒久化するのに費用はかからない」という。しかし、同氏は「減税措置を恒久化するには費用がかかる」と考えているようであり、「10年後の債務が今と比べてどうなっているかを見ているのです」と述べた。しかし、責任ある連邦予算センター(CRS)は「削減を恒久化すれば、今後10年間で利子を含めて債務が4兆ドル以上増加する」と推計している。下院歳入委員会の委員長として、法案の起草に関与しているジェイソン・スミス下院共和党議員(ミズーリ州)は4日、下院共和党議員らは「法案の詳細について依然として合意形成に苦慮している」と認めた。
ご承知のように、これまでほぼ恒久的であると見られている米国の健康保険は65歳以上を対象にした所得に制限がないメディケア及び年齢の制限はないが、他の医療システムを利用することが困難である8,000万人以上の低所得者層を対象に連邦政府と州政府が共同で資金を拠出しているメディケイドがある。いずれも1965年に生まれ、米国政府が支援する制度であり、米国居住者の医療費負担を軽減することを目的とし、納税者の資金で運営されている。トランプ大統領はメディケア、メディケイド、児童健康保険など、これらの給付を削減することに反対しているという説もあるが、共和党議員らは、これらも含めて多方面の削減を論議しているようである。主に、富豪者に利益が集中するとされる多額の減税を行うためには歳入を増やす必要があるため、論議を煮詰めるため、共和党議員らは今週複数の会議を行い、解決策を模索する予定であると言われている。要するに、共和党が現在目指していることはトランプ大統領が第一期目の最初の年である2017年12月に可決した2兆ドルの減税法案を延長するために、低所得者の重要な健康プログラムであるメディケイドさえ削減することも検討していると言うことである。そのような予算法案には下院民主党は全員が賛成票を投じる可能性はないため、下院共和党議員12名が反対票を投じた場合、可決しない可能性があることを示唆している。