生誕市民権に関連する米国最高裁の審理は何を示唆?

Photo credit : Chio Capital Journal

米国最高裁は15日、ドナルド・トランプ大統領の論争的な生誕市民権廃止に関連する大統領令に対する下級裁判所の判事らの決定について審理を行った。その審理は、トランプ大統領が1月20日に著名した生誕市民権を廃止する大統領令が合法的であるか否かではなく、その廃止命令に対する訴訟において、全米に向けたその大統領令に対して、一つの管轄区の一人の判事が阻止する権利があるかというトランプ政権の主張を聞き、論議することが主要点である。

今日15日に行われた米国最高裁での審理は、その大統領令が違法であるかどうかを論じることではない。論争の焦点は、これまで多くの下級裁判所が生誕市民権を廃止するよう求めたトランプ大統領の全米に適応する大統領令に対して、それぞれの連邦地方裁判所がブロックする権利があるかと言う点が論争の焦点である。トランプ政権の司法省の弁護士は、管轄的な問題を取り上げ、地方裁判所の判事には、その権利はないと主張している。つまり、政権は憲法に基づく生誕市民権を利用して、判事の権限を弱体化する前代未聞の試みがあることを示唆している。

トランプの大統領令には、長年遵守されている法律や憲法に関連する課題が含まれており、この生誕市民権はまさに、100年以上も米国で遵守されている合衆国憲法修正第14条に関連している。しかし、1月20日に、生誕市民権を廃止する大統領令にトランプ大統領が署名した時、その大統領令には合衆国憲法修正第14条についてのトランプの弁護士がこれまで多くの法律専門家および最高裁が一度も解釈したことのない解釈をしている。たとえば、「合衆国憲法修正第14条は、合衆国国内で生まれたすべての人に普遍的に市民権を与えると解釈されたことはありません」と主張している。しかし、法律専門家、私が講義を受けた大学の複数の教授、公的に語る法学者らは、まさに、合衆国憲法修正第14条は米国で生まれた全ての子供は両親の国籍および移民の地位に関係なく、米国市民であると解釈されていると述べている。この対極する違いは、現政権の法律関係者がホワイトハウスのプロパガンダに基づいて解説をしているのかという疑問を与えている。

15日の最高裁での論議は、トランプ大統領が生誕市民権を廃止すると言う大統領令を一つの管轄区で、一人の判事が全米に向けた大統領令に対して阻止する権利があるかどうかである。判事らの意見および司法省の弁護士の音声のみを聞くことが可能である15日の審理では、多数派の保守派判事らは、トランプ大統領の行政命令の正当性について、それを明確に表明することに葛藤があることを示した。しかし、リベラル系の判事エレナ・ケーガンは、下級裁判所の判定の仕方に複数の判事が「不満を表明した」ものの、今回のケースは典型的なケースとは「大きく異なる」と述べ、数人の判事の見解を代弁したことを示唆した。15日の審理では、ほぼ常にトランプ側に立つ二人の保守派判事は、下級裁判所の判事らが連邦政府に対する大統領の命令を阻止する権利はないと主張したトランプ政権の弁護士に同意していることを示唆した。しかし、下級裁判所の判事らの権威を弱体化することを狙っている政権側を極度に重視した場合、それは米国最高裁の判事らの権威にも影響を及ぼす可能性があるため葛藤があることを示唆した。

しかし、米国最高裁は、下級裁判所の裁判官がトランプ大統領の全米に向けたな大統領令を阻止するために、いわゆる「普遍的差止命令」を発行できるかどうかについて、遅かれ早かれ決定する可能性がある。1月20日の就任以来、トランプ大統領の多くの政策は、投票する必要のない議会を飛び越えた、大統領令で行われているため、既に多くの連邦地方裁判所の判事らはその「普遍的差止命令」を発行しているため、ホワイトハウスは怒りを表明し、判事らが現役大統領の政策をブロックすることを「違憲である」と強気の姿勢を示している。連邦裁判官らがブロックしたのは、その大統領令が違憲または非合法であるとの理由に基づいているため、ホワイトハウスは象徴的な権力争に挑戦していることを示唆した。15日の最高裁での審理は、3件の控訴裁判所の決定に対して、3州の地方裁判所が下した命令を部分的に阻止するための緊急申請をトランプ政権が提出した後に来ている。この緊急要請に対し、最高裁は15日、裁判所で論議せず、バーチャルで審理を行った。トランプ政権は、生誕市民権の憲法の合法性を論じることを目的とせず、単に「地方裁判所の命令の範囲を制限する」ことに焦点を当てていた。しかし最高裁は、生誕市民権の憲法の合法性についても自然に論議した瞬間もあった。これを論じることなく、生誕市民権を廃止しようとするトランプ大統領の命令に対する下級裁判所の判定を無視することはほぼ不可能であることを示唆した。トランプ政権の弁護士ジョン・ザウアーは、「両親が一時的に、または合法的な書類を保持せずに米国に滞在している」両親から生まれた「子供は米国の政治的管轄権の対象とならない」と主張した。

トランプ大統領は1月20日の就任初日に、不法移民の両親の間に生まれた子供達の生誕市民権を廃止するよう行政命令を下したことはご承知のとおりである。その後、控訴裁判所まで発展したケースは3件ある。ニューヨーク・タイムスの記録によると、「米国内で不法滞在の両親のもとで生まれた子どもを市民として認めないよう政府に指示した」大統領令は、⑴ ワシントン対トランプ大統領の裁判で、4人の州司法長官が提訴した訴訟において、ジョン・コーゲナー判事が、この大統領令の発効を無期限に差し止めたものである。政権は2月7日に控訴したが、控訴裁判所は大統領令を却下した。⑵  CASA対トランプ 移民擁護団体 の判例で、デボラ・ボードマン判事は、米国内で生まれた子どもの米国市民権の権利を保護するための仮差し止め命令を出した。「出生​​による市民権付与は違憲である」として訴訟を起こしたトランプ政権は、この判決を不服として2月11日に控訴した。⑶  ニュージャージー州対トランプ大統領の判例では、「米国内で不法滞在の両親のもとで生まれた子どもを市民として認めないよう政府に指示したことを受け、複数の州が政府の措置は違憲である」として告訴した。判事は大統領令の発効を差し止めた為、政権は3月4日控訴裁判所に上訴した。

要するに、トランプ大統領の生誕市民権を廃止するこの大統領令に対して全米の各地で、訴訟が相次ぎ、連邦地方裁判所はその大統領令に対する差し留め命令を行い、現在、控訴裁判所まで進んだ判例は3つの訴訟が記録されている。合衆国憲法修正第14条は1868 年 7 月 9 日に批准され、1898年の合衆国対ウォン・キム・アークの判例で、米国で生まれた個人は両親の国籍や移民の地位に関係なく米国市民であるとする憲法は125年以上遵守されている。ドナルド・トランプはこの憲法を廃止しようとしている最初の大統領である。そのような状況の中で、米国最高裁の6人は保守派であり、少なくともその中の二人はほとんどの場合、トランプを支持する傾向がある。三人の若い保守派はトランプの第一期の就任中に指名されたことから、トランプ政権は、米国最高裁の保守派判事らを試している可能性がある。大分以前にCNNのニュース・キャスターであったルー・ドブスが現在のトランプ政権の弁護士と同様の主張をしたことがあり、過去にも論争的であった生誕市民権の課題は、米国最高裁の権威を試す最も挑戦しやすい課題であることを示唆している。最終的に最高裁が却下したとしても、彼らが挑戦することで失うものは何もない。第十四条だけでなく、既存する憲法の改正を行うには、州の2/3が同意し、連邦議会両院で2/3が賛成票に投票する必要があるため、大統領令で排除できるほど簡単な挑戦ではないにも関わらず、一本のペンでこの困難な課題に大統領令で挑戦することで、全米の判事らがどのように反応するかを見るためには最適な課題であることを示唆している。

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