米国下院議会は22日朝、ドナルド・トランプ大統領が深く関与した予算法案を1票の差で可決した。下院議員らは24時間徹夜でマラソン討議および投票を行い、東部時間午前7時前に215対214票で可決した。この投票率は、ほとんど共和党の希望のみが優先された完全に党派的な法案であることを示唆した。上院では、以前から可決が困難な兆候があった為、改正なしに投票する可能性はない。
下院委員会、 合同税制委員会、 議会予算局からの情報源を利用したワシントン・ポストによると、以下のプログラムが法案に含まれている。支出となる項目は、10年間で2.2兆ドルかかるトランプ大統領の2017年12月に可決した2兆ドルの減税法案の延長から、自宅学校と私立学校への税額控除の20億ドルまで11の分野が含まれている。一方、新たな削減や課税によって、従来の支出が減少する分野は連邦労働者保護制度の削減からメディケイドの削減に至るまで8分野に及んでいる。
2017年のトランプ減税の延長 2.2兆ドル
標準控除額の増額 1.3兆ドル
児童税額控除の増額 7,973億ドル
国防費 1,485億ドル
国境の壁と移民制限 1,473億ドル
残業代への課税なし 1,240億ドル
高齢者ボーナス 716億ドル
自動車ローン金利への課税なし 577億ドル
チップへの課税なし 397億ドル
新生児貯蓄口座 174億ドル
自宅学校と私立学校への税額控除 20億ドル
連邦労働者保護制度の削減 -161億ドル
石油・ガス生産の新規導入 -198億ドル
大学への新たな課税 -226億ドル
スペクトラムオークション -880億ドル
貧困対策食糧支援の削減 -2,946億ドル
学生ローン制度の変更 -2,950億ドル
気候変動対策資金の撤回 -6,778億ドル
メディケイドの削減 -7,922億ドル
トランプ大統領が「大きな美しい法案」と呼ぶ彼の予算法案は「すでに36兆ドルを超えている国の債務に、10年間で2.4兆ドルが追加されることになる」という。従って、米国の巨額の債務を案じた投資家が反応したため、21日の株式市場はダウ工業平均株が約816ポイント、S&Pが約 96ポイント、ナスダックが270ポイントも下落した。
この予算法案に、共和党215人が賛成票を投じ、民主党212人と二人の共和党議員が民主党に参加し、214人が法案に反対した。二人の共和党は投票に参加せず、一人の共和党議員は「ここにいる」と述べただけである。つまり215対214票の紙一重の差で可決した。数千万人に影響を与える可能性があるメディアケイドが削減されているため、民主党は誰一人賛成票を投じなかった。米国下院議会のリーダー達は、フリードム・コーカスの代表者も含めて、21日にホワイトハウスを訪問し、大統領と協議したようである。下院議長のマイク・ジョンソンは、その会議後に「計画は我々の期待通りに前進するでしょう。ホワイトハウスでの会談は非常に有意義でした。大統領がこのように直接関与してくださるのは素晴らしいことです。良い議論ができました。非常に良い状況にあると思います」と記者団に語った。
トランプは昨年のキャンペーンで、大規模な減税やレストランなどで寄付するティップや残業には課税しないと公約していた為、予算の取り組みを早くから開始していた下院議会の共和党はこれらのトランプの目標を考慮したことを示唆している。予算削減の規模に関して、共和党間で意見が対立し、何回も協議を行なったようである。トランプ大統領は、メディケイドの削減には反対していた時もあった。ホワイトハウスの3月11日のファクトチェックによると、「トランプ政権は社会保障、メディケア、メディケイドの給付を削減しません」と明言している。いずれにしても、民主党議員らはメディケイド削減に7,900億ドル以上が含まれているこの法案に背を向けたことを示唆している。
上院議会では数人の共和党議員らがメディケイドの削減に反対しているため、上院議会では下院の予算法案を改正する可能性がある。トランプ大統領は、下院で可決した後、上院議会でも「可能な限り早く」可決するよう、彼のソーシャル・メディアでの投稿で呼びかけたが、同じ法案に投票する可能性はない。上院議会はすでに、下院議会の法案の改正案を準備し始めており、上院で投票するまでに最低1ヶ月かかると予測している。既にトランプ大統領と連絡を取ったと語った上院議会多数派リーダーのジョン・スゥーンは、大統領が上院の方針に同意しているという。なぜなら、上院議会の複数の共和党議員らは、改正なしに投票できないと公的に明確にしている。米国上院議会の共和党議員で、ミズーリ州のジャシュ・ハーレイ、メイン州のスーザン・コリンズ、アラスカ州のリサ・マーカウスキーは、低所得者向けの医療扶助制度であるメディケイドの削減に強く反対している。他複数の共和党議員はグリーン・エネルギー税額控除の廃止に反対している。気候変動の対策はもはや党派的な問題ではないことを示唆している。ケンタッキー州のランド・ポールは債務上限引き上げを含む法案には支持できないと述べている。この状況は、トランプ大統領の「大きな美しい法案」は、引き続き上院議会でも葛藤があることを示唆している。上院議会で投票を失う余裕があるのは3票のみであるが、改正をしない場合、可決しない可能性が益々高くなることを示唆している。