
IAEAの事務局長ラファエル・グロッシ Photo credit : IAEA
ドナルド・トランプ大統領は23日午後、突然イスラエルとイランは停戦に同意したと公表したが、それは当事国が発表していなかった。大統領の発表後も、イスラエルはテヘランを夜に爆撃したのである。トランプ大統領は、24日早朝、オランダで開催されるNATO首脳会議に向かう途中、ホワイトハウスの南芝で記者団に対して、停戦協定に違反したとして批判し、どちらに対しても嬉しくないと怒りを表明した。一方、IAEAの事務局長は21日に米国が爆破したサイトには放射線の漏れはないとのイランの報告を引用したが、何があっても軍隊が核サイトを爆破すべきではないと警告した。
トランプ大統領は23日、イランがカタールの米軍基地をミサイル攻撃した後に、イスラエルとイランは停戦に同意したと発表した。しかし、その後も二国間の爆撃があり、トランプ大統領は早朝、慌てて両国を叱責した。そして、24日午前中に11日間続いた戦闘に終止符が打たれ、不安定な停戦協定を締結した。大統領はツゥルース・ソーシャルでの投稿で「イスラエルもイランも、等しく戦争を止めたいと思っていた。すべての核施設と核能力を破壊し、そして戦争を止めることができたのは、私にとって大きな名誉だ!」と述べた。イランの核兵器が全て破壊されたかどうかは明白ではないが、副大統領J・ Dヴァンスは、イランはウラミニウムを埋めているのではないかと思うと言った。
国際原子力機関(IAEA)の事務局長は週末の米国とイスラエルの攻撃でイランの核施設は多大な被害を受けたが、施設外の放射線量の上昇はないと報告されている」と述べた。国連による23日の報告によると、IAEAの事務局長ラファエル・グロッシは23日「イランはフォルド、エスファハン、ナタンズの核施設の外で放射線レベルの上昇はないと報告した」と述べた。グロッシは「イランがウランを60%濃縮する主要施設であるフォルド施設では、クレーター(大きなボウル型の空洞)が目に見えるようになってきた。これは地中貫通型兵器が使用されたことを示唆している。これは米国の声明とも一致する。現時点では、IAEAを含め、フォルドの地下の被害を完全に評価できる立場にある者はいない」と、IAEA理事会で述べた。また、「これらの濃縮施設における放射線リスクは通常、原子炉よりも低いものの、化学物質による危険が地域に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と述べている。
国連によると、IAEAのグロッシ事務局長は、22日に国連安全保障理事会の緊急会合で演説を行い、さらに23日早朝、イスラエルによるイランの核施設への新たなミサイル攻撃おびイスラエル全土でもイランによるミサイルの発射が報告されている中で、IAEA理事会で演説を行い、「IAEAの兵器査察官はイランの核施設を再訪し、備蓄状況を確認するべきである」との緊急声明を発表した。これは米国大統領の決定による3つのイランの核物質施設が週末に米国の強力なバンカーバスター爆弾により爆破された後の23日の段階でもIAEAは現場での査定を行なっていないと示唆している。
21日のイランの核物質サイトを「完全に破滅した」との米国大統領の発表を受けて、国連では22日に緊急会議が行われた。同日の国連の報道 によると、イランはIAEAに対し、これら3施設の敷地外放射線レベルに上昇はないと報告したと述べ、IAEAの事故・緊急センターとの「不可欠な連絡」を維持するようイランに強く求めた。国連は「核施設への武力攻撃は決してあってはならない。攻撃を受けた国の内外に放射性物質の放出をもたらし、甚大な被害をもたらす可能性がある」と警告し、48時間前に最大限の自制と外交努力への回帰を改めて求めた」と述べている。さらに「 安全保障理事会の支援があれば、IAEAは必要に応じて、保障措置査察官に加え、核安全・核セキュリティの専門家をイランに派遣することができると述べている。また、「外交の窓を閉ざしてはなりません。世界中のより多くの国に核兵器が保有されれば、私たちはより安全になることはありません」と強調している。
要するに、トランプ大統領は、IAEAの事務局長が22日及び23日に国連とIAEA理事会でイランに対する緊急査定を促していることを知ってか、知らずにか、爆破の決意を非常に誇りに思っていることを率直に表現したものの、実際には国連とIAEAは、核物質を保管していた可能性がある施設やウラン濃縮サイトを軍事作戦で爆破するべきではなかったと慎重な表現で指摘している。そして、トランプ大統領の決定により、21日にイランの3つのサイトで強力な爆破が行われた後も、放射線の漏れはないとのイランの報告を伝えたが、その報告の信憑性の程度については不明であるため、IAEAの兵器査察官が現場に赴き直接検査するべきであることを緊急に求めている状況である。イスラエルは13日にイランの軍事施設や核兵器物質施設を含む複数の施設に空爆を開始したことで戦闘が勃発した。これにより、すでにIAEAは査定を行なったため、イランは再度IAEAの兵器査察官が調査することを制限する可能性があることから、IAEAのグロッシ事務局長は、21日の米軍の爆破を受けて、緊張した様子で緊急要請したことを示している。放射線漏れの是非を明確にすることはIAEAの緊急且つ不可欠の任務であるため、タイミングに制限なく、いつでも即時の行動が可能でなくてはならない。