これは代表制民主主義ではない

テキサス州の共和党議員らは、新たなジェリーマンダリングを行うことで米国下院議会の5つの民主党議席を追加する戦略を進めている。それらの議席は民主党が多数派であるダラスやヒューストンが含まれている。テキサス州の共和党が成功すると、全米に拡大する可能性があると予測されている。この動きは、下院議会の民主党が多数派を取り戻す希望を表明している為、それを阻止するためにホワイトハウスが、下院共和党に圧力をかけているとされている。

2026年の中間選挙において、共和党が上院または下院のいずれかで多数派を失う場合、トランプ大統領の政策を推進することは困難になるため、大統領は、テキサスだけでなく、「ミズリー州、インディアナ州、その他の州の共和党議員に対し、テキサス州の例に倣うよう圧力をかけている。30日にニューヨーク・タイムスが伝えたところによると、テキサス州の共和党は、ダラス、ヒューストン、オースティンなど、民主党優勢の地域で議席を奪還し、米国・メキシコ国境沿いのリオグランデ渓谷の二つの激戦地域での制圧を目指している。民主党のビセンテ・ゴンザレス下院議員は、新たにジェリーマンダリング(選挙区再編)を作成した共和党に言及し、「勝てないと分かると、彼らはズルイことをします」と批判した。昨年、共和党に有利となるよう再編された国境地区で辛うじて再選を果たした彼は、共和党の選挙区再編地図を「とんでもない不正な区割りで、トランプ不正選挙区」を作り出したと非難した。

共和党が作成した新たな議会地区再編地図は、民主党員をオースティン周辺の一つの選挙区に集めることになる。民主党のベテランであるロイド・ドゲット下院議員と、民主党の進歩左派の期待の新星であるグレッグ・カサール下院議員は、民主党支持が圧倒的な州都オースティンの残りの選挙区をめぐって対決することになる。カサール下院議員は声明で「第35区と第37区の合併は、テキサス州中部の黒人およびラテン系住民に対する違法な投票抑圧だ」と述べ、この地図が認められた場合、トランプの区画整理推進の動きは「国中に野火のように広がるだろう」と警告した。多数のメディアは、テキサス州の共和党が新たに作成した議会地区再編は、民主党に多大なリスクを及ぼすと表明している。この新たな編成のターゲットになっているテキサス州の民主党下院議員は少なくとも6人存在する。(1)第28選挙区:(サンアントニオ)ヘンリー・クエラー下院議員、(2)第32選挙区:(ダラス郡北東部)ジュリー・ジョンソン下院議員、(3)第33選挙区:(ヒスパニック系住民が多いダラス郡)マーク・ヴィージー下院議員、(4)第34選挙区:(ヒダルゴ郡東部)ビセンテ・ゴンザレス下院議員(5)第35選挙区:(オースティン)グレッグ・カサール下院議員、(6)第9選挙区:(ヒューストン)アル・グリーン下院議員。

現在下院議会は220対215議席で共和党が5 議席有利であるが、テキサス州の5つの地区で現役の民主党下院議員の議席が奪われることになる。下院共和党が他の州で多数の議席を失わない限り、2026年の中間選挙で多数派を取り戻すことは非常に困難になる。つまり、共和党の新たな議会地区再編で目立っている非常に不正直な一例を挙げると、これまで、二つの民主党地区で二人の民主党下院議会が代表していた二つの地区を併合することで、これら二人の民主党議員は、一つの地区で争うことを強いられるという信じられない変化が生じることになる。この方法によって、一人の民主党下院議員は、下院議会の議席から消滅することを意味する。これは代表制民主主義を破壊する一つの戦略である。

ジェリーマンダリングの起源は古く1812年3月26日にマサチューセッツ州上院選挙区の再編に反応したもので、当時の知事エルブリッジ・ジェリー(1744年〜1814年)は、自身の「民主共和党」に有利となるようマサチューセッツ州ボストン北部の歪んだ選挙の区画を整理するための法案に署名した時に、初めてジェリーマンダーの言葉が使われた。近年行われているジェリーマンダーリングは、議会の党派的利益を優先するために選挙区の境界線を設定する慣行になっており、ほとんど、複雑で曲がりくねった境界線を持つ選挙区の地図が作成されている。連邦議会および州議会の選挙区は、通常、米国国勢調査を受けて10年ごとに再編される。最新の地図は2020年国勢調査後に作成され、2022年に発効した。選挙区再編は主にこの10年周期で行われる。しかし、近年様々な理由により、特定の州は10 年ごとよりも頻繁に区画再編を行う場合もある。

加えて、選挙区再編は常に政治的行為であるとみなされているが、近年、共和党の区画再編は攻撃的になっている。人種的ジェリーマンダリングは特定の人種集団の影響を最大化または最小化することを目的とした選挙区画再編操作のことである。過去に米国最高裁は、政治的区画再編を違反ではないとみなし、人種に基づく議会の選挙区再編の極端な事例を違憲であると判定した。従来、有権者は彼らの地区を代表する議員を選出するが、議員らがその地区の地図を操作する場合、政治家が有権者を選択することになるので、これは代表制民主主義とは言えなくなる。テキサス州の民主党議員らは、2010年代の中頃に作成された選挙区再編をトランプ大統領の指示の下に、同州の共和党議員らが新たな選挙再編地図に書き換える計画を厳しく批判した。彼らは、これを「民主主義への脅威」と呼び、共和党議員らによる強引なジェリーマンダリングは後で彼らを苦しめることになるだろうと警告した。

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